
概要と開発の背景
M84スタングレネード(M84 Sound and Flash Grenade)は、1990年代初頭にアメリカの Universal Propulsion Company, Inc. などの防衛メーカーによって開発され、1995年にアメリカ軍および連邦捜査機関へ制式導入された非致死性の閃光音響手榴弾である。開発の背景には、1970年代から1980年代にかけて多発した航空機ハイジャックや人質籠城事件において、従来の破片手榴弾や化学ガス弾では人質や味方隊員への二次危害を防ぐことが困難であったという作戦上の課題が存在した。閉鎖空間(屋内や航空機内)に突入する際、破片を飛散させずに相手の視覚と聴覚を瞬間的に麻痺させ、抵抗不能状態へ追い込む特殊作戦用アセットが必要とされた。アメリカ軍は、安全性を極限まで高めた制式スタングレネードとして、耐久性の高いケース構造と確実な作動信頼性を備えた本機の開発と調達を決定した。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、側面に12個のガス放出孔が穿たれた重厚なスチール/アルミニウム合金製アウターチューブと、内部に収められた薄いアルミニウム製インナーキャニスターからなる二重構造を採用している点にある。内部には約4.5gのマグネシウムと過塩素酸塩系酸化剤を主成分とする火薬組成物が充填され、M201A1 Mod 2 延火信管が統合されている。作動時には内部キャニスターのみが破裂し、アウターチューブの放出孔から強烈な光(約150万〜200万カンデラ)と大音響(約170〜180デシベル)を全方位へ一気に放出する。アウターケース自体は破砕されず原形を保つため、危険な破片が周囲へ飛散するリスクを排除している。また、爆発時の熱や火花の飛散を抑え、室内での火災発生リスクを最小限に留める設計思想が組み込まれている。
運用実績と評価
1995年の制式化以降、M84はアメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー)、アメリカ海軍特殊戦コマンド(SEALs)、アメリカ海兵隊などの各種特殊作戦部隊をはじめ、FBI HRT(人質救出チーム)や警察のSWAT組織へ標準装備として広く導入された。実際の運用においては、対テロ突入作戦、人質救出ミッション、建物の室内清掃(CQB作戦)や各種訓練において過酷な現場へ投入された。従来の簡易型や初期の民間向けスタングレネードと比較して、二重構造による圧倒的なケース耐久性と二次被害の抑止性能、ならびに一瞬で相手の平衡感覚と視界を奪う強烈な非致死性抑制効果が高く評価されている。繰り返し使用可能な訓練用モデル(M102)などの派生展開も行われており、現在もアメリカ軍および同盟国の特殊作戦・法執行機関において第一線の近接戦闘用アセットとして運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | M84 stun grenade (通称 flashbang) |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Combined Systems Inc. (CSI) / Universal Propulsion Company, Inc.(※ピカティニー・アーセナルの基本設計および政府仕様に基づき量産を担当) |
| Designed (設計年) | ピカティニー・アーセナル(Picatinny Arsenal)によって1980年代に開発・設計が実施され、1995年に軍の制式装備(In service)として導入されたのち、1998年12月に正式な制式区分(Type Classified)を取得し、2002年6月から実戦部隊への本格的な支給および部隊運用が開始された。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ海軍、アメリカ空軍(陸軍の各種歩兵部隊や全軍の特殊作戦部隊[SOF]、憲兵・警備コンポーネント、およびSWATをはじめとする各種連邦・地方警察法執行機関の戦術部隊において、屋内突入や人質救出、近接戦闘[CQB]用の標準非致死性アセットとして調達・運用) トルコ:トルコ軍(トルコ陸軍等の主要軍種において、国営軍事企業MKE社[Makine ve Kimya Endüstrisi]がM84の仕様に基づくライセンス生産[M84 Stun grenade produced under license by MKEK]を行い、対テロ作戦部隊や近接戦闘ユニットの制式装備として調達・運用) ジョージア:ジョージア国防軍(ジョージア陸軍等の制式ハンドグレネード装備リスト[List of equipment of the Defense Forces of Georgia]に組み込まれており、標準的な非致死性スタングレネードアセットとして調達・運用) |
| Type (種類) | 音響閃光(Stun / Flash-bang / Non-lethal diversionary) |
| Filler Type (炸薬・内蔵化学物質の種類) | マグネシウム / 硝酸アンモニウム 火工混合物(Magnesium / Ammonium nitrate pyrotechnic metal-oxidant mix) |
| Filler Weight (炸薬・薬量) | 0.16 oz (4.5 g) |
| Fuze Type (信管方式) | 延期信管(Pyrotechnic delay M201A1 MOD 2 / M201 type igniting fuze) |
| Delay Time (遅延時間) | 1.0 – 2.3 seconds |
| Dimensions (外寸) | 全長(全高)133 mm (5.25 in) × 直径 44 mm (1.73 in) |
| Total Weight (総重量) | 13.2 oz (370 g)(※民間のデータ上は 8.33 oz (236 g) とされる場合もある) |
| Effective Radius (有効加害・効果半径) | 効果範囲:半径 5 feet (1.5 m) 以内(この範囲内で 170 〜 180 dB の爆音と 100万〜800万カンデラの強烈な閃光を放ち、対象の感覚を一時的にマヒさせる) |
| Deployment Method (投擲・運用方式) | 手動投擲(Hand-thrown) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Sgt. Timothy Stephens, U.S. Army – This image was released by the United States Army with the ID 061029-A-2089S-018 (next).This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing.العربية ∙ বাংলা ∙Bahaso Jambi ∙Deutsch ∙ Deutsch (Sie-Form) ∙ English ∙ español ∙ euskara ∙ فارسی ∙ français ∙ italiano ∙ 日本語 ∙ 한국어 ∙ македонски ∙ മലയാളം ∙ Plattdüütsch ∙ Nederlands ∙ polski ∙ پښتو ∙ português ∙ русский ∙ slovenščina ∙ svenska ∙ Türkçe ∙ українська ∙ 简体中文 ∙ 繁體中文 ∙ +/−, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20759990












