Whiskey MMRC (Multi-Mission Reconnaissance Craft)

Whiskey MMRC
アメリカ海兵隊

概要と開発の背景

Whiskey MMRC は、2020年代初頭にオーストラリアおよびニュージーランドの The Whiskey Project Group が開発し、2024年よりアメリカ海兵隊へ導入されている次世代多目的戦術小型偵察舟艇(Multi-Mission Reconnaissance Craft)である。開発の背景には、インド太平洋地域などの沿岸部や群島部における遠征前進基地作戦(EABO)や対抗偵察作戦の重要性が高まる中、従来用いられてきたリジッドインフレータブルボート(RHIB)や従来型小型舟艇における機能的限界が存在した。過酷な沿岸・河川環境において、優れた水上展開力、隊員や資材の迅速な離着艇能力、高度な指揮統制(C2)センサーシステムの統合、および衝撃緩和による乗員保護を同時に実現する専用プラットフォームの獲得ニーズに応える形で本機が構築された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、高強度アルミニウム製の船体に特許取得済みの革新的な船体形状(ハル構造)を採用し、前部開閉式バウドアー(Bow Door)およびノッチ付きガンネル(舷側構造)を統合している点にある。これにより、浅瀬や海岸線における隊員や機材の迅速かつ安全性に配慮した離着艇(乗降)が可能となっている。操縦席および搭乗区画には Ullman Dynamics 製の衝撃緩和(Shock Mitigation)サスペンションシートと人間工学に基づくコンソールを配置し、高速航行時の不規則な波浪衝撃から乗員の疲労や身体負担を大幅に低減させる。パワートレインには OXE 製 300 馬力ターボディーゼル船外機 2 基を搭載し、軍事標準のディーゼルおよび JP-8 重質油に対応する燃料共通化を達成している。さらに、Aries Defense 社との提携による「WHISKEY HORIZON STRIKE」C2 統合アビオニクス、Teledyne FLIR 製センサー、複合防弾パネル、取り外し可能な 4 箇所の兵装マウントを備える。トレーラー牽引、輸送機(C-130 等)による空輸、および空中投下(Air-drop)に対応したモジュール構造を有する。

運用実績と評価

2021年に米国ワシントンD.C.で開催された AUSA(アメリカ陸軍協会展示会)での初公開以降、Whiskey MMRC はアメリカ国防総省の関心を集め、アメリカ海兵隊の評価・調達プログラムに選定された。2024年には 11 メートル仕様の「Whiskey Bravo」型がアメリカ海兵隊へ納入され、その後の追加契約を通じて配備が進められた。実際の運用においては、西太平洋や台湾近海を含むインド太平洋エリアの沿岸演習へ投入され、海兵隊の遠征前進基地作戦における偵察・対偵察ミッションや多領域作戦において実用性が検証された。優れた短時間での展開力、最大 40〜50 ノットに達する高速航行性能、4 箇所の兵装マウントによる柔軟な機動火力、サスペンション構造による隊員防護能力が高く評価されている。8.5〜9.5 メートル級の「Whiskey Alpha」および 11 メートル級の「Whiskey Bravo」などの派生展開が行われ、アメリカ海兵隊の次世代沿岸戦術舟艇として第一線で運用評価が続けられている。

Official Name (正式名称)Whiskey MMRC (Multi-Mission Reconnaissance Craft)
Country of Origin (開発国)オーストラリア
Manufacturer (製造メーカー)The Whiskey Project Group (TWPG)(※アメリカ市場向けは現地法人 The Whiskey Project Group USA がノースカロライナ州エデントンの自社プラントにて製造・アセンブリを担当)
Designed (設計年)The Whiskey Project Group(TWPG)によって開発された「Whiskey MMRC」の設計・開発は、同社が設立され初期のプロトタイプデザインを初公開した2019年から2年間に及ぶ米海兵隊(USMC)ベテラン勢とのコラボレーションを経て行われ、ミリタリー仕様としての基本設計が完了し初公表された設計年は2021年(10月)であり、その後米海兵隊の国防イノベーションユニット(DIU)等を介した実地評価フェーズを経て、最初の試作艇がカリフォルニアへ納品され公式な運用開始(プロトタイプ評価・実地試験運用)となったのは2024年2月である
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ海兵隊(DIUの調達パスウェイおよびプロトタイプ評価フェーズを経て、前線遠征部隊における littoral manoeuver[沿岸機動]および戦術偵察・索敵アセットとして本格導入。第3海兵師団管轄の沖縄[日本]や、カリフォルニア州キャンプ・ペンドルトンなどの前線戦闘・遠征部隊において運用中)、アメリカ海軍(NAVSEA[海軍海上システムコマンド]との間で2026年6月に最大3,600万ドル規模の正式な生産・供給契約を締結し、沿岸・内水域の戦術ISRおよび特殊作戦支援アセットとして本格配備・運用を進行)
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量(乾燥重量):6,490 kg (14,308 lb) ※9.5m基本モデル仕様
満載排水量:最大積載容量(Payload Capacity)として 2,000 kg (4,409 lb) 以上の搬送能力が公表されているが、総満載時の最大排水量数値は非公開
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水L (全長):9.5 m (31.1 ft) ※基本仕様モデルのサイズ(発展型の「Whiskey Alpha」は 8.0 m (26.2 ft)、「Whiskey Bravo」は 11.0 m (36.1 ft))
H (全高):センサーマスト等を含む喫水線からの構造物垂直全高データは環境および装備構成により異なるため不明
D (喫水):静止時および滑走時の詳細な公式喫水深データは仕様書に明記されておらず不明
Propulsion (機関):2x OXE 300 hp Turbo-Diesel Outboards
出力:計 600 PS (※高効率・商用オフザシェルフのOXE社製300馬力ターボディーゼル船外機を2基搭載)
Speed (速力):最大速力 40 kt (約 74 km/h) 以上
Range (航続距離):燃料タンク総容量 700 liters (185 gallons) に基づくが、特定の巡航ノット数(kt)における公式な最大航続海里(nm)数は海象環境に依存するため開示されておらず不明
Complement (乗員数):2名(操縦・運行要員)+ 衝撃緩和仕様のサスペンションシートに完全装備の隊員を最大8名から10名(機体・バリアント規模による)搭乗可能
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):Whiskey Horizon Strikeテクノロジー統合パッケージ
統合暗号化視線外(BLOS)データリンク、戦術無線ネットワーク通信システム(Silvus, TrellisWare, Persistent Systems などのMIL規格戦術無線機を統合可能)、高解像度昼夜用EO/IR(電気光学/赤外線)ジンバルカメラセンサーシステム、航海用レーダーシステムを包括的に統合し、AIを活用した「Sense First, See First, Strike First(最初に感知し、最初に見つけ、最初に打撃する)」自律索敵支援機能を備える。
Armament (兵装):固有の固定兵装はなし
ただし、船首、船尾、およびガンネル(舷側)部にモジュール式の戦術マウントレール・ピボットシステムを複数装備しており、Dillon Aero社製7.62mmミニガンや各種重機関銃(M240等)、40mm自動擲弾銃などの戦術兵装を取り付け・構成可能
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
C4ISRシステムの一部としてHoverfly社製などの有線給電式(テザー型)戦術UAS/ドローンシステムを船上から展開・係留運用し、低高度からの広域状況認識(ISR)を拡張する能力を有する
貨物積載能力:モジュール式ミッションベイ・デッキシステムにより、最大 2,000 kg (4,409 lb) 以上のペイロード/貨物を搬送・再構成可能

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By The Whiskey Project Group Ltd. – https://www.thewhiskeyprojectgroup.com/post/australian-designed-whiskey-bravo-selected-for-us-marine-corps

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