


概要と開発の背景
あかし(AGS-5107)は、2020年代(令和4年度計画)に日本の防衛省および三菱重工業株式会社(下関造船所江浦工場 / 三菱造船)によって開発・建造され、2026年3月に海上自衛隊へ導入された最新鋭の海洋観測艦(AGS)である。海上自衛隊では、1969年に配備された海自初の専用観測艦である初代「あかし(AGS-5101)」以来、対潜戦(ASW)の優位性確保に向けた海洋環境データの収集を継続してきた。しかし、1980年代半ばから長年にわたり運用されてきた旧式の海洋観測艦「わかさ(AGS-5104)」の老朽化に伴う除籍と、その更新対応が喫緊の課題となっていた。周辺海域における他国潜水艦の活発化や、海中防衛網を支える精密な海底地形・音響伝播特性の収集要求が高まる中、前級「しょうなん(AGS-5106)」の成果を継承しつつ観測機材の高度化と静粛性・位置保持能力を強化した最新鋭アセット(計画時名称: 令和4年度計画3,500トン型海洋観測艦5107号艦)として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、前級しょうなん(基準排水量2,950トン)から3,500トン(満載排水量4,700トン、全長113.7m)へと船体を大型化し、観測機器の搭載・運用性と長時間の過酷な海洋観測における耐航性を大幅に引き上げた点にある。推進機構には海中への動作音波放出を抑える優れた静粛性を備えたディーゼル・エレクトリック推進方式(発電用ディーゼル4基+推進装置2基)を採用し、主機出力4,600馬力を発揮する。さらに、360度全周旋回可能なポッド式アジマススラスター2基とバウスラスター2基を集中配置することで、潮流や風浪の中でも特定海域に留まる極めて高度な艦位保持能力と小回り性能を獲得した。艦首にはマルチビーム音響測深装置や観測用バウ・ソナーを配し、艦尾には観測用A型フレームクレーンや各種無人水上・水中機材(USV/UUV)の展開・回収システムを集約させた設計思想が具現化されている。
運用実績と評価
2025年5月に命名・進水し、2026年3月9日に引渡式・自衛艦旗授与式を経て就役した「あかし(AGS-5107)」は、作戦情報群第1海洋業務隊(旧海洋業務・対潜支援群隷下第1海洋観測隊)へ編入され、横須賀基地を定係港として制式運用されている。初代「あかし(AGS-5101)」が30年間にわたり海洋観測194回・総航程約68万海里に及ぶ広範なデータ収集の功績を残した歴史を踏まえ、本艦はその名を受け継ぐ4代目の自衛隊・日本艦艇として就役した。実際の運用においては、アジマススラスターとバウスラスターの組み合わせによる圧倒的な定位置保持性能と優れた静粛性が発揮されており、日本周辺の重要海峡や深海域における精密な3次元海底地形マッピングおよび水温・音響特性データの収集任務に従事している。現代の海上自衛隊において、高度化する対潜作戦と海中防衛網を水面下から支える最新鋭の基幹インフラとして極めて重要な立ち位置を占めている。
| Official Name (正式名称) | あかし (海洋観測艦) / JS Akashi |
| Country of Origin (開発国) | 日本 |
| Manufacturer (製造メーカー) | 三菱重工業 下関造船所 |
| Designed (設計年) | 令和4年度計画(2022年度計画)において基本設計・予算化が行われ、2026年3月9日に竣工・引渡式および自衛艦旗授与式が執り行われて就役(運用開始)した艦艇 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本: 海上自衛隊 情報作戦集団隷下 作戦情報群 第1海洋業務隊 |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 基準排水量 3,500 t / 満載排水量 4,700 t |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | 全長 113.7 m × 最大幅(W) 17.8 m × 深さ(H) 9.2 m (※喫水(D)の公式数値は非公開。同等排水量の従来艦から推算される計画値は約4.5m前後) |
| Propulsion (機関): | ディーゼル・エレクトリック推進(電気推進)/ ディーゼル機関 3基、推進電動機 2基2軸駆動、アジポッド(旋回式ポッド型プディーゼル・エレクトリック推進(電気推進) / ディーゼル機関および推進電動機、推進器:2軸(アジマスプロペラ/旋回式ポッド型プロペラ 2基、バウスラスター 2基装備)、出力 4,600 PS |
| Speed (速力): | 16 kt |
| Range (航続距離): | 非公開 |
| Complement (乗員数): | 約90名(女性自衛官最大12名対応) |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | 航海用レーダー、最新型海洋観測装置一式(マルチビーム音響測深装置、水温・塩分・海中音響特性等の計測・収集システム、衛星通信装置など) |
| Armament (兵装): | なし |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | 搭載機数:固有の有人艦載ヘリ・無人航空機は0機 ヘリコプター運用能力:なし(飛行甲板、発着艦能力は非装備) 車両・貨物運搬能力:一般的な貨物や車両の輸送を目的とした設計ではない。ただし、観測作業艇を搭載するほか、艦尾等に観測資材や機器(ソナー、サンプラー等)を揚降・運用するための大型クレーン装置一式、および観測ウインチ装置を装備 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=185832780
- By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=185832781
- By PhantomII.Rider – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=189311073









