


概要と開発の背景
L16A1 / A2 81mm迫撃砲(L16A1/A2 81mm Mortar)は、1950年代末から1960年代初頭にかけてイギリスの王立兵器研究開発機構(Royal Armament Research and Development Establishment)およびRoyal Ordnance(現:BAE Systems)がカナダと共同開発し、1965年にイギリス陸軍へ制式採用された歩兵用中迫撃砲である。第二次世界大戦期から長年運用されてきた旧式のML 3インチ迫撃砲(口径76.2mm)は、重量の重さや射程性能の限界が指摘されており、より軽量で可搬性に優れ、長射程かつ高い威力を備えた後継火器の整備が急務とされていた。これを受け、歩兵部隊が人力で運搬可能な軽量性を維持しつつ、広範囲への効果的な曲射火力支援を可能にする新世代の中迫撃砲として開発がスタートした。改良型のL16A1および砲身強度を高めたL16A2へと発展し、アメリカ陸軍・海兵隊(M252)や日本の陸上自衛隊(豊和工業株式会社によるライセンス生産)をはじめ、世界各国で主力中迫撃砲として広く導入された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、砲身、支持架(脚)、底板の3大主要パーツに迅速に分解可能で、歩兵3名による手搬送で過酷な地形へ持ち込める優れた可搬性と軽量化を達成している点にある。16口径の滑腔砲身には高強度の特殊鋼が採用されており、下部外周には連続した放熱用フィン(リング状溝)が削り出され、連続射撃時の過熱を抑制する仕組みが備わっている。旧式のML 3インチ迫撃砲や同世代の従来型81mm迫撃砲と比較して、全備重量を抑えつつ最大射程を5,600m超へと大幅に延伸させた。専用設計の強靭な高力アルミニウム合金製丸型底板と、スプリング式緩衝器を内蔵した単脚状の支持架を組み合わせることで、射撃衝撃を効率的に分散し精密な照準維持を可能にする構造が採られている。
運用実績と評価
1965年の制式採用以降、イギリス陸軍をはじめ、アメリカ軍(M252)、陸上自衛隊、カナダ軍、オーストラリア軍(F2)など、世界30カ国以上の軍事組織で主力間接火力として導入された。実際の運用においては、1982年のフォークランド紛争における険しい山岳・島嶼地形での人力輸送をはじめ、湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタン紛争などの実戦環境に投入された。車両の進入が不可能な密林や山岳地帯においても迅速に陣地へ展開し、毎分最大20〜30発の急速射撃で機動部隊に対し即応的な火力支援を提供する性能が高い評価を獲得した。アメリカ軍における軽量改良型のM252A1/A2やデジタル照準器の導入など、時代に合わせた近代化改修が継続的に実施されており、誕生から半世紀以上が経過した現代においても、歩兵中隊・大隊の即応火力を支える信頼性の高い基幹火器として運用され続けている。
| Official Name (正式名称) | L16A1 / A2 81mm mortar |
| Country of Origin (開発国) | イギリス / カナダ |
| Manufacturer (製造メーカー) | Royal Ordnance (現在は BAE Systems Land & Armaments) |
| Designed (設計年) | イギリスとカナダの共同設計チームによって1956年に設計され、1965年から1966年にかけてイギリス軍への導入を機に正式に運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | イギリス:イギリス陸軍(歩兵大隊・装甲歩兵大隊の迫撃砲小隊)、王立海兵隊、イギリス空軍(RAFレジメント)L16A2を運用 アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊(※L16A2の米軍仕様派生品M252A1,M252A2を運用) カナダ:カナダ陸軍(共同開発国として導入) 日本:陸上自衛隊(※81mm迫撃砲 L16、豊和工業によるライセンス生産品。普通科連隊の普通科中隊・重迫撃砲中隊等に配備) オーストラリア:オーストラリア陸軍(※国内ライセンス生産の派生品「F2 81mm迫撃砲」を運用していたが、現在はM252A1へ更新) オーストリア:オーストリア連邦軍(※国内では「M8迫撃砲」の名称で運用) オランダ:オランダ王立陸軍(改良型の「L16A2」を運用) ニュージーランド:ニュージーランド陸軍(改良型の「L16A2」を運用) ノルウェー:ノルウェー陸軍 ポルトガル:ポルトガル陸軍 エストニア:エストニア陸軍 ブラジル:ブラジル陸軍 インド:インド陸軍 マレーシア:マレーシア陸軍 タイ:タイ王国陸軍 オマーン:オマーン王立陸軍 カタール:カタール軍 サウジアブアラ:サウジアラビア陸軍 アラブ首長国連邦:アラブ首長国連邦軍 ケニア:ケニア陸軍 ナイジェリア:ナイジェリア陸軍 マラウイ:マラウイ陸軍 ベリーズ:ベリーズ国防軍 ガイアナ:ガイアナ国防軍 マルタ:マルタ軍 ネパール:ネパール軍 イエメン:イエメン陸軍 シリア:シリア軍 バーレーン:バーレーン陸軍 ジャマイカ:ジャマイカ国防軍(2024年時点でL16A1を12門保有・運用) ラトビア:ラトビア陸軍(2023年時点で170門を保有・運用) ジンバブエ:ジンバブエ陸軍 シエラレオネ:シエラレオネ軍 南スーダン:南スーダン人民防衛軍(※正規軍のほか、内戦時の反政府武装組織などでも鹵獲・運用実績あり) チャド:チャド国家陸軍 モロッコ:モロッコ王立陸軍 ウクライナ:ウクライナ陸軍、ウクライナ空中襲撃軍(※ロシアによる侵攻開始以降、イギリスや米国、その他の供与国から「L16」および米軍仕様の「M252」が大量に緊急供与され、実戦の第一線部隊で広く運用されている) |
| Type (種類): | 中迫撃砲 |
| Caliber (口径): | 81 mm |
| Operation / Mechanism (作動・推進方式): | 砲口装填式(Muzzle loading)/滑腔砲(Smoothbore)、墜発式(Breech: none / スプリング緩衝クランプ付き装置) |
| Barrel Length / Total Length (砲身長/全長): | 砲身長:1,280 mm / 全長(L16A2等を含む最大構成時):約1,400 mm 〜 1,500 mm |
| Total Weight (総重量): | 戦闘時総重量:35.3 kg(初期L16型、L16A2型は39.6 kg) ※分解時の各重量:砲身(Barrel)約11 kg(12.3 kg)、二脚(Bipod)約11 kg(11.8 kg)、底板(Baseplate)約11 kg(11.2 kg) |
| Rate of Fire (発射速度): | 最大:毎分15発(短時間であれば毎分20発) / 持続:毎分1発〜12発 |
| Elevation & Traverse (射角・旋回角): | 仰角(Elevation):+45度 〜 +85度 / 左右旋回角(Traverse):計 11度 〜 18度(バイポッド固定時設定による) |
| Effective Range (射程): | 最小射程:100 m 〜 最大射程:5,650 m(使用弾薬の仕様により最大5,675 m) |
| Ammunition & Feed (使用弾薬/装填方式): | 高爆発弾(HE)、発煙弾(Smoke)、照明弾(Illumination/Flare) / 手動砲口装填(Manual / Muzzle loading) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Pfc. Lloyd Justine Villanueva – https://www.dvidshub.net/image/1731293, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=39474937
- By Photo: Corporal Gary Kendall RLC/MOD, OGL v1.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26907498
- By Rikujojieitai Boueisho (陸上自衛隊 / Japan Ground Self-Defense Force) – http://www.mod.go.jp/gsdf/fan/photo/equipment/index.html, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=55174613











