



概要と開発の背景
M1064自走迫撃砲(M1064 Mortar Carrier)は、1980年代末から1990年代初頭にかけてアメリカのFMC Corporation(現 BAE Systems Systems Platforms & Services)が開発し、アメリカ陸軍に導入された120mm口径の履帯式自走迫撃砲システムである。開発の背景には、アメリカ陸軍の機甲部隊や装甲歩兵部隊が長年運用してきたM106迫撃砲担架車(M30 4.2インチ / 107mm迫撃砲搭載)の老朽化と、現代戦における射程および威力の不足が存在した。従来の107mm迫撃砲と比較して遠距離の目標へ大きな火力を供給できる新世代のM121 120mm滑腔迫撃砲システムを採用し、既存のM106A2およびM113A2/A3装甲兵員輸送車の車体を基盤として改修・新造する形で開発が進められた。1990年代前半より部隊配備が開始され、機甲部隊に追従して即座に間接火力支援を提供する中核自走迫撃砲として制式化された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、軽量かつ頑丈な5083アルミニウム合金装甲で構成されたM113シリーズの履帯式車体をベースに、車体上部に三分割開閉式の大型迫撃砲ハッチを配置し、車内から直接射撃を行えるメカニズムを備えている点にある。車内床面には360度旋回可能な回転式ターンテーブルマウントが設置されており、車体を固定したまま全方位へ迅速に砲身を指向して射撃できる。車内には最大60〜69発の120mm迫撃砲弾薬を安全に格納する専用弾薬ラックが配置されているほか、車外での地上設置射撃にも対応できるよう、M9大型円形底板およびM190二脚を車体外部へ標準固定している。改修型であるM1064A3では、パワートレインに出力275馬力を発揮するDetroit Diesel 6V53TターボディーゼルエンジンとAllison X200-4自動変速機が統合され、車体後部両側に外部燃料タンク(EFT)を移設することで車内居住空間の確保と走行持続性能の向上が図られている。
運用実績と評価
1990年代の導入以降、アメリカ陸軍の機甲旅団戦闘団(ABCT)に属する歩兵大隊や機甲大隊の迫撃砲小隊を中心に主力自走迫撃砲として広範に運用された。実戦においてはイラク戦争(イラクの自由作戦)や各地の治安維持活動へ投入され、M1エイブラムス主力戦車やM2ブラッドレー歩兵戦闘車で構成される機甲部隊に完全追従する不整地走破性と、車内からの迅速な120mm高威力火力支援能力が高く評価された。車外に露出することなく車内ハッチ開口部から素早く着弾修正・連続射撃を行える運用性能は、過酷な前線環境における乗員の生存性向上に大きく寄与した。アメリカ軍のほか、エジプト、タイ、ポルトガルなどの同盟国軍へも導入・移管されている。現在、アメリカ陸軍では後継となるAMPVベースの迫撃砲担架車への更新が進められているが、長年にわたる高い信頼性と可搬性から、依然として多くの部隊で現役運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | M1064 mortar carrier |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | FMC Corporation(現 BAE Systems Land & Armaments) |
| Designed (設計年) | 前世代の107mm重迫撃砲搭載型であるM106の車体をベースに120mm仕様へ更新する目的で1980年代後半にFMCコーポレーション(現BAEシステムズ)によって設計開発が行われ、1990年にアメリカ陸軍への最初の公式デリバリーおよび実戦部隊への配備が完了したことで公式に運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(各正規陸軍および陸軍州兵の機甲旅団戦闘チーム(ABCT)に所属する機械化歩兵大隊・装甲大隊の支援中隊)にて、デジタル射撃統制システム(MFCS)を統合した主力仕様である「M1064A3」を大量現役運用中(※順次、新型のAMPVベースであるM1287への更新が計画・進行中) エジプト:エジプト陸軍(各機械化歩兵師団および機甲師団所属の支援大隊)にて、米国からの公式な安全保障援助およびFMS調達プログラムを通じて公式導入された「M1064A3」を、砂漠地帯における機動間接火力支援アセットとして現役運用中 タイ:タイ王国陸軍(各歩兵旅団、機械化歩兵大隊、および機甲部隊)にて、1990年代半ばに米国へ公式発注・納入された「M1064A3」フリートを、地上軍の機械化部隊に随伴する中核自走迫撃砲アセットとして現役運用中 ウクライナ:ウクライナ陸軍(各独立機械化旅団の親衛迫撃砲部隊など)にて、ロシアによる侵略への対抗軍事援助パッケージの一環としてアメリカ合衆国政府から直接、公式に譲渡・引き渡された「M1064A3」を、最前線の高機動防護間接火力として現役運用中 |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 車長、操縦手、迫撃砲班長、装填手、砲手、予備砲手の計6名 兵員輸送用のアシストスペース(APCとしての純粋な追加兵員輸送数)は存在せず、車内スペースの大部分は120mm迫撃砲本体、回転ターンテーブルマウント、および大量の120mm砲弾ラックによって占有される |
| Combat Weight (戦闘重量) | 12.88 t (28,400 lbs ※M1064A3フル戦闘装備状態基準。ベース車両であるM113A3の基本重量より迫撃砲システム分重くなっている) |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | W: 2.69 m (106 in) / L: 5.30 m (208.5 in ※砲身は完全に車内に収容されているため、砲身含む/含まずの寸法の差はなし) / D: 2.52 m (99 in ※全高。車頂の12.7mm重機関銃マウント上部までの高さ) |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | 5083アルミニウム合金溶接構造装甲(5083 Aluminum armor 構造。基本仕様において複合装甲や爆発反応装甲(ERA)は装備していない。小銃弾や砲弾の破片からの全周囲防護を基本とし、アメリカ陸軍の現役戦闘運用においては必要に応じて側面・底面に中空装甲板(アップリケ・アーマー)や対地雷防護キットを追加装着する仕様が存在する) |
| Main Armament (主武装) | 1x 120mm Mortar M121(120mm滑腔重迫撃砲。車体後部コンパートメント内のM25ターンテーブルマウントに設置されており、車頂の3分割ハッチを開くことで車内から直接360度全周囲への即応間接射撃が可能。緊急時には砲本体を車外へ分解・降ろして通常の地上設置型牽引迫撃砲としても運用できる) |
| Secondary Armament (副武装) | 1x 12.7mm Heavy Machine Gun M2(車長用キューポラに設置、対空および近接自衛戦闘用として手動運用される) |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | Detroit Diesel 6V-53T(2x ストローク・水冷V型6気筒ディーゼルエンジン、出力:275 hp / 205 kW ※M1064A3仕様における高出力ターボ型基準) |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | Paved (整地): 66 km/h (41 mph) / Unpaved (不整地): 40 km/h (25 mph) / 水上浮航速度: 5.8 km/h (3.6 mph ※履帯の回転駆動による推進) |
| Operational Range (航続距離) | 483 km (300 miles ※整地巡航速度時) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Spc. Devone Collins – https://www.dvidshub.net/image/3106648/3-4-soldiers-hang-round, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=97292259
- By U.S. Army National Guard photo by Spc. Hedil Hernandez – This image was released by the United States National Guard with the ID 220817-Z-XV469-1222 (next).This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing.العربية ∙ বাংলা ∙Bahasa Indonesia ∙Bahaso Jambi ∙Deutsch ∙ Deutsch (Sie-Form) ∙ English ∙ español ∙ euskara ∙ فارسی ∙ français ∙ italiano ∙ 日本語 ∙ 한국어 ∙ македонски ∙ മലയാളം ∙ Plattdüütsch ∙ Nederlands ∙ polski ∙ پښتو ∙ português ∙ русский ∙ slovenščina ∙ svenska ∙ Türkçe ∙ українська ∙ 简体中文 ∙ 繁體中文 ∙ +/−, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=157241375
- By U.S. Army National Guard photo by Spc. Hedil Hernandez – This image was released by the United States National Guard with the ID 220817-Z-XV469-1222 (next).This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing.العربية ∙ বাংলা ∙Bahasa Indonesia ∙Bahaso Jambi ∙Deutsch ∙ Deutsch (Sie-Form) ∙ English ∙ español ∙ euskara ∙ فارسی ∙ français ∙ italiano ∙ 日本語 ∙ 한국어 ∙ македонски ∙ മലയാളം ∙ Plattdüütsch ∙ Nederlands ∙ polski ∙ پښتو ∙ português ∙ русский ∙ slovenščina ∙ svenska ∙ Türkçe ∙ українська ∙ 简体中文 ∙ 繁體中文 ∙ +/−, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=157241375
- By Spc. Marcus Floyd – https://www.dvidshub.net/image/1920070/firing-mortars-down-range, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=92658135












