



概要と開発の背景
M1129 Mortar Carrier(MCV / ストライカー自走迫撃砲)は、2000年代初頭にアメリカのGeneral Dynamics Land Systems(GDELS)によって開発され、2005年にアメリカ陸軍へ部隊配備が開始された8×8の装輪自走迫撃砲システムである。開発の背景には、アメリカ陸軍が21世紀初頭に掲げた変革構想に基づく「ストライカー旅団戦闘団(SBCT)」の創設が存在した。SBCTは、C-130輸送機での迅速な戦術空輸と高水準の路上機動性能を併せ持ち、世界中へ即座に展開できる中型歩兵部隊を目的としていた。この新構想において、従来の履帯式迫撃砲搬送車(M106やM1064)は走行速度や自走航続距離の面でストライカー車台に追従できず、また歩兵牽引式の迫撃砲は陣地設営や撤収に時間を要することが課題であった。これを受け、8×8共通車台による高い機動力と、歩兵部隊への即時かつ高精度な間接火力支援を両立する車載型迫撃砲として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、ストライカー装輪車台の後部戦闘室に、イスラエルのSoltam Systems(現:Elbit Systems)が開発した120mm反動吸収迫撃砲システム「Cardom」(米軍名称:RMS6-L / 120mm M298迫撃砲)を統合し、車内からの直接射撃を可能にしたメカニズムにある。特殊な油圧反動吸収装置を組み込んだ構造により、発射時に車体へ加わる衝撃荷重を約75%削減させ、軽量な装輪車台でありながら車内天井ハッチを開けた状態での360度全周囲射撃を実現している。車内には車載型射撃統制システム(M95 MFCS-M)と慣性航法装置(INS)が配置され、デジタル通信で目標諸元を受信後、電動サーボモータにより方位角・仰角の照準補正が全自動で行われる。これにより、停車から30〜60秒以内に初弾を発射できる「シュート・アンド・スクート」性能を備える。車体構造には高硬度スチール装甲とケブラー製スボールライナーが導入され、Caterpillar製350馬力ターボディーゼルエンジンとAllison Transmission製自動変速機により高水準の路上走破性を発揮する。
運用実績と評価
2005年春のアメリカ陸軍第172ストライカー旅団戦闘団への部隊配備以降、同年のイラク戦争(自由イラク作戦)での実戦展開をはじめ、アフガニスタン紛争など多様な作戦環境へ投入された。歩兵部隊と同等の移動速度で随伴し、デジタルデータリンクを駆使して即座に高角火力を投射できる即応性と、発射後わずか数分で反撃を回避して陣地転換を行える機動性が現場で高く評価された。前級の履帯式M1064迫撃砲車と比較して長距離自走性能と整備性が飛躍的に向上したほか、車外へ迫撃砲を降ろして使用する必要のあった初期型のMC-A(M1129A1)と比較しても、車内射撃に対応した本機(MC-B / M1129B)は展開時間の大幅短縮と乗員防護の双方を達成した。近年では、車体下部を二重V字形状にして地雷や爆風への耐性を高めた改修モデル「M1252(DVH-A1仕様)」への再構築が進められており、ストライカー旅団戦闘団における基幹間接火力アセットとして配備・運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | M1129 MC-B mortar carrier |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | General Dynamics Land Systems (GDLS) |
| Designed (設計年) | ストライカー・ファミリー共通のベース車体として2000年代初頭の2002年より本格的な量産・設計の最適化が開始され、車内射撃が不可能な初期輸送型(MC-A)の改修を経て、120mm自走迫撃砲用制御システム(Cardom)による車内からの戦闘射撃を完全に可能にした制式仕様「MC-B」が2005年春にアメリカ陸軍の第172ストライカー旅団戦闘チームへ初配備されたことで公式に運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(開発国かつ最大の筆頭運用国。各ストライカー旅団戦闘チーム(SBCT)傘下の機動 infantry(歩兵)大隊・迫撃砲小隊、および偵察・監視・標的獲得(RSTA)騎兵大隊に広く配備。基本型の「M1129(MC-B)」に加え、現在は底面を爆風分散型のV字構造に刷新した生存性向上型バリアント(派生品)である「M1252(Double-V Hull:DVH)」、および最新の電子・足回り改修型「M1252A1(DVH-A1)」を主力現役運用中) タイ:タイ王国陸軍(初の公式な国外輸出・FMS受領国。陸軍の近代化計画および米タイ合同演習(コブラ・ゴールド)を通じた相互運用性強化のため導入。第11歩兵師団傘下の第112歩兵連隊(ストライカー装甲部隊)等において、120mm Cardomシステムを統合した「M1129 ストライカーMC」を中核自走迫撃砲火力アセットとして公式現役運用中) 北マケドニア:北マケドニア陸軍(NATO加盟に伴う防衛力近代化計画に基づき、米国政府(DSCA)からの公式FMS承認を経て計54両のストライカー・ファミリーを調達。陸軍の主要な軽歩兵大隊・即応部隊戦闘群の自動車化・機械化アセットとして、基本のM1126等とともに「M1129 迫撃砲車(MCV)」仕様を公式配備・運用中) |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 3名 (操縦手、車長、砲手) + 兵員輸送数: 2名(総員 5名 ※迫撃砲の運用要員として乗車) |
| Combat Weight (戦闘重量) | 18,764 kg (18.76 t) |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | W (全幅): 3,890 mm (3.89 m ※サイドミラー・各種マウント部含む) / 車体幅:2,720 mm (2.72 m) L (全長 / 砲身含まず車体長): 7,540 mm (7.54 m) H (全高 / D指定の垂直高): 3,180 mm (3.18 m ※車長キューポラ部含む) / 車下・車体天面高:2,640 mm (2.64 m) |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | High-hard steel structure hull with optional bolt-on ceramic armor and slat/cage armor options (高硬度鋼板溶接構造車体 + ボルト留め式セラミック増加装甲、内面防破ライナー、スラット装甲オプション、最新型はM1252二重V字ハル仕様) ※基本装甲で14.5mm重機関銃弾や砲弾破片に対する防御力を有する。複合装甲や爆発反応装甲(ERA)は装備していない。 |
| Main Armament (主武装) | 1x 120 mm Mortar System (エルビットシステムズ製 Cardom 120mm自走迫撃砲用制御システム / 米軍制式名称:M121 または RMS6-L) ※車体上面の大型ハッチを展開し、車内からの直接射撃を行う |
| Secondary Armament (副武装) | 1x 7.62 mm M240B machine gun (車長キューポラ部マウント) 1x 81 mm M252 mortar (車外・地上展開用として車載携行 ※大隊所属車の場合) 1x 60 mm M224 mortar (車外・地上展開用として車載携行 ※中隊所属車の場合) 4x M6 smoke grenade launchers |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | Caterpillar 3126 6-cylinder inline 4-cycle turbocharged diesel engine (キャタピラー社製 3126 直列6気筒4サイクルターボチャージドディーゼル、出力: 350 hp / 260 kW ※2,500 rpm時 ※後期の改修型仕様には Caterpillar C7 エンジン(350 hp)を搭載) |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | Paved (整地): 96 km/h 〜 100 km/h Unpaved (不整地): 約 40 km/h 〜 50 km/h |
| Operational Range (航続距離) | 500 km 〜 530 km |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By The U.S. ArmySGT William A. Tanner Sr./2 CR Print Journalist – 2/2 and Romanian platoon live-fire, Apr. 8, 2015, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=53584171
- By Samuel W Brooks – https://www.dvidshub.net/image/3456035/saber-strike-2017, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=105230682
- By Petty Officer 2nd Class Christopher Lange – https://www.dvidshub.net/image/3791640/orient-shield-2017-mortar-training, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=105230521
- By Sgt. William Tanner – https://www.dvidshub.net/image/1537371, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=39652648












