
概要と開発の背景
Hirtenberger M6C-210は、1980年代から1990年代にかけてオーストリアのHirtenberger Defence Systems(現:Hirtenberger Defence)が開発した口径60mmの歩兵用超軽量コマンドー迫撃砲である。山岳地帯や密林、市街地といった車両や大型火器の進入が困難な厳しい地形において、特殊部隊や空挺部隊、山岳歩兵などの小規模部隊が即座に運用可能な自前間接火力支援アセットが求められていた。従来の大規模な三脚(支持架)や大型底板を備える標準的60mm迫撃砲は、重量が15kg〜20kg前後におよび、歩兵数名による手搬送では機動力が著しく削がれる課題が存在した。これを受け、兵士1名で容易に携帯・即時着発射撃が可能な極限まで軽量化された小隊・分隊級の近接火力支援火器として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、三脚(支持架)を完全に排除し、砲身、超小型底板(ベースプレート)、手元握り(グリップ)、および直感的な照準器のみで構成された超軽量設計(全備重量約5.1kg〜5.3kg)を採用している点にある。本砲は一般的な迫撃砲のような自然落下の底突針点火方式に加え、グリップ部分にトリガー(引き金)機構を備えており、手動操作による安全確実な発射が可能となっている。60mm滑腔砲身(砲身長約815mmまたは短砲身モデル)には高強度軽量合金が使用されており、平手や足で地面に押し付ける小型底板と組み合わせることで、設置場所を選ばない即応射撃構造を確立した。従来の三脚式60mm迫撃砲と比較して精度や連続射撃能力は劣るものの、短時間での陣地進入・照準・発射・離脱(シュート・アンド・スクート)を1名で完結させられる卓越した機動性と取り回しの容易さを両立させている。
運用実績と評価
1980年代後半からオーストリア軍に制式採用されたのを皮切りに、イタリア陸軍(アルピーニ山岳部隊等)、ギリシャ軍、ブルガリア軍、ジョージア軍、スイス軍、さらには日本の陸上自衛隊(水陸機動団・特殊作戦群等における評価・導入)など、世界各国の軍事組織や特殊作戦部隊へ導入された。実際の運用においては、アフガニスタン紛争などの厳しい山岳戦や各種小規模対テロ作戦において、歩兵分隊・小隊に即時追従する精密な至近間接火力として投入された。大型の迫撃砲のような設営時間を一切必要とせず、標準的な各種60mm迫撃砲弾(榴弾、発煙弾、照明弾等)を最大1,600m〜2,000m先まで迅速に投射できる優れた実用性が高く評価されている。誕生以降も各種改良型や砲身長の異なるバリエーション(M6C-640等)へと発展し、小規模部隊の超軽量間接火力ソリューションとして各国で運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | Hirtenberger M6C-210 |
| Country of Origin (開発国) | オーストリア |
| Manufacturer (製造メーカー) | Hirtenberger Defence Systems (ヒルテンベルガー・ディフェンス・システムズ) |
| Designed (設計年) | M6迫撃砲ファミリーの系譜として設計・開発され、2006年にオーストリア連邦軍への導入を機に正式な運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | オーストリア:オーストリア連邦軍(陸軍の特殊部隊・前線歩兵分隊等に配備) オランダ:オランダ王立陸軍、オランダ王立海兵隊(※M6迫撃砲のバイポッド仕様、および手持ちコマンド仕様であるM6Cを分隊・小隊支援火力として運用) ニュージーランド:ニュージーランド陸軍(※軽量歩兵部隊や特殊作戦部隊支援用としてM6迫撃砲シリーズを運用) イタリア:イタリア陸軍(空挺連隊や特殊作戦部隊などの機動展開部隊へ配備) スイス:スイス軍(特殊部隊や歩兵部隊の隠密・急速展開用火力として運用) ギリシャ:ギリシャ陸軍(特殊部隊、島嶼防衛部隊、軽歩兵部隊で運用) ブルガリア:ブルガリア武装組織/ブルガリア陸軍(特殊作戦部隊や山岳歩兵部隊に配備) ジョージア:ジョージア軍(陸軍の特殊作戦部隊や迅速展開部隊で運用) アルバニア:アルバニア陸軍(特殊部隊および機動歩兵部隊に配備) 日本:陸上自衛隊(※西部方面普通科連隊などの水陸両用・特殊作戦部隊、または評価・研究用として限定数を保有・運用) |
| Type (種類): | 軽迫撃砲 (Light mortar) / コマンド迫撃砲 (Commando mortar) |
| Caliber (口径): | 60 mm |
| Operation / Mechanism (作動・推進方式): | 砲口装填式(Muzzle loading)/ 滑腔砲(Smoothbore)/ 墜発(自重落下)および撃発(トリガー・引き金)の選択式 |
| Barrel Length / Total Length (砲身長/全長): | 砲身長815 mm |
| Total Weight (総重量): | 総重量5.1 kg(砲身および小型底板を含む戦闘時重量) |
| Rate of Fire (発射速度): | 最大:毎分30発 / 持続:毎分15発 |
| Elevation & Traverse (射角・旋回角): | 仰角(手動保持による自由調整):通常プラス45度からプラス85度 / 左右旋回角:360度(バイポッドがないため射手の向きにより全周射撃可能) |
| Effective Range (射程): | 最小射程150 m / 最大射程1,600 m(使用する擲弾・装薬の仕様により最大1,921 m) |
| Ammunition & Feed (使用弾薬/装填方式): | 高爆発弾(HE)、発煙弾(Smoke)、照明弾(Illumination)/ 手動砲口装填 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
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