特別機動船 (SB) / Special Boarding Boat

特別機動船 (SB) / Special Boarding Boat

概要と開発の背景

特別機動船(Special Boarding Boat / SB)は、2000年代初頭に防衛庁(現・防衛省)がニュージーランドのRayglass Boats社(Protectorシリーズ)などをベースに調達・導入し、海上自衛隊へ配備した高速複合型ゴムボート(RHIB)である。1999年に発生した能登半島沖不審船事件において、当時の護衛艦に搭載されていた木製やFRP製の作業艇では、高速で逃走する不審船への追跡や機動的な臨検・立入検査(VBSS)に迅速に対応しきれない課題が露呈した。これを受け、不審船対処、海上警備行動、ならびに特殊作戦時における水上機動力を飛躍的に高める必要性が生じた。自衛隊初となる本格的な特殊作戦艇・立入検査用高速舟艇として、優れた走航性能と高い波浪克服能力を備えた専用アセットの導入が進められた。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、高強度のFRP製ディープV型船底(深Vハル)と、船外周を囲むハイパロン(合成ゴム)製インフレータブルチューブを組み合わせた複合構造(RHIB)を採用している点にある。この構造により、高速航行時の波浪衝撃を効果的に吸収しつつ、高い浮力と復元性を確保している。推進機関には高出力の船外機(Yamaha Motor Co., Ltd.製などの大型船外機2基ないし3基)を搭載し、40ノット(約74km/h)を超える高速度と優れた旋回追従性能を発揮する。船体中央のコンソール周りには防護用装甲プレートが組み込まれているほか、夜間や視界不良下でも目標を探知・追跡できるよう赤外線暗視装置(FLIR)や各種航海レーダー、高度な無線通信機が統合されており、過酷な海象条件下でも確実に作戦を完遂できる設計が採られている。

運用実績と評価

2000年代前半より海上自衛隊の特殊部隊である「特別警備隊(SBU)」や、各護衛艦に組織されている「立入検査隊(EAT)」へ順次配備された。実際の運用においては、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動へ派遣された護衛艦に搭載され、周辺海域の警戒や不審船に対するアプローチ・臨検活動へ継続的に投入された。また、日米共同統合演習をはじめとする各種実地訓練においても、高速アプローチおよび接舷・乗込み訓練の主要艇として多大な実績を重ねている。優れた防護性と機動性を活かし、日本の領海や排他的経済水域(EEZ)における水上警戒ならびに臨検体制を現場から直接支える基幹アセットとして機能している。

Official Name (正式名称)特別機動船 (SB) / Special Boarding Boat
Country of Origin (開発国)ニュージーランド / 日本
Manufacturer (製造メーカー)Rayglass Boats (Protector 11m Interceptor / ニュージーランド) 等
主要エンジンメーカー: Yamaha Motor Co., Ltd. (ヤマハ発動機株式会社) 等
Designed (設計年)1999年(平成11年)の能登半島沖不審船事件を契機とした特別警備隊(SBU)の創設(2001年3月)に合わせて導入が進められ、2001年(平成13年)から運用を開始
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊 護衛艦隊(各護衛艦)および自衛艦隊直轄 特別警備隊
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量:約1.9 t (※防衛省の物品調達公示等に記載される船体重量データに基づく。なお、全長11m仕様の複合艇(RHIB)としての運用総重量)/ 約4〜5 t(運用時総重量 / 全備状態)
満載排水量:非公開
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水全長 (Overall Length): 約 11.0 m (11m型)
全幅 (Overall Width / Beam): 約 3.5 m
喫水 (Draft): 約 0.8 m (浅喫水設計)
Propulsion (機関):ディーゼル推進(船内機仕様)、またはガソリン推進 4ストローク V型6気筒 大型船外機 ×2基 (または3基) Yamaha Motor(ヤマハ発動機)製など
最高出力: 計 約 500 〜 700 PS (500 〜 700 hp)
Speed (速力):最高速度 (Max Speed): 40 ノット以上 (約 74 km/h 以上 / 推定50ノット級)
Range (航続距離):非公開
Complement (乗員数):操舵員等 数名 + 立入検査隊もしくは完全武装した特別警備隊(SBU)等の隊員1個チームを搭載可能
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):航海用コンパクトレーダー、GPSプロッター、夜間暗視装置、各種無線通信通信システム 等
Armament (兵装):任務に応じて艇体にM2 12.7mm重機関銃などの小火器をマウントして武装運用
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
完全武装の隊員および特殊エントリー用資機材を安全かつ確実に現場海域へ送り届ける積載運用能力を有する

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

PR:関連商品

楽天ブックス
¥4,620 (2026/10/26 09:31時点 | 楽天市場調べ)
  1. By 陸自調査団 – https://rikuzi-chousadan.com/2014karenda/2023info/msdf20230603yokosukayynorimono.html

上部へスクロール