FV434 ARV (Armoured Repair Vehicle)

FV434 ARV (Armored Repair Vehicle)

概要と開発の背景

FV434 ARV(Armoured Repair Vehicle)は、1960年代にイギリスのGKN Sankey(現BAE Systems)が開発し、イギリス陸軍に制式採用された履帯型装甲野戦整備車である。当時、イギリス軍では機械化部隊の再編に伴い、FV432装甲兵員輸送車をはじめとするFV430シリーズの大量導入が進められていた。前線で作戦行動を行う機甲・装甲部隊の車両が故障や戦闘損傷を起こした際、装甲防護のない一般的な整備トラックでは前線へ伴走・追従することが困難であり、乗員の安全確保と迅速な現場修復(パワーパックの交換等)が大きな課題となっていた。こうした背景から、FV432の車体構造をベースに、装甲下で安全かつ迅速に野戦修理・エンジン換装作業を行える専用の装甲回収・修理プラットフォームとして開発が進められ、1960年代半ばから配備が開始された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、FV432の車体後部上部構造を取り除き、オープンデッキ状のピックアップ型作業スペースと、車体右側に油圧駆動式のHIABクレーン(最大吊り上げ能力約2.5〜3.0トン)を統合している点にある。このクレーンにより、FV430シリーズやCVR(T)などのパワーパック(エンジン・変速機一体構造)を野戦環境下で直ちに吊り上げて交換できる。作業時にはサスペンションを固定(ロックアウト)して車体の傾きを防ぐ機構を備えており、作業の安定性を確保している。車体は全溶接鋼鐵装甲(厚さ約6〜12mm)で構成され、小火器弾薬や砲弾破片に対する防御力を保持する。パワートレインにはRolls-Royce製K60 2ストローク対向ピストン多燃料ディーゼルエンジン(最高出力240馬力)を搭載し、足回りには5軸の転輪とトーションバー・サスペンションを採用している。車体底部には整備用工具ラックや予備部品スペースを備え、悪路や悪天候下での作業用に車体後部へ拡張キャンバステント(ペントハウス)を架設できる技術的工夫も施されている。

運用実績と評価

1960年代の正式採用以降、イギリス陸軍の王立電気機械工兵隊(REME)を中心に配備され、冷戦期の西ドイツにおける駐留部隊(BAOR)や各種海外派遣で主要な機甲・装甲部隊に伴走運用された。フォークランド紛争や湾岸戦争(グランビー作戦)、イラク戦争(テリック作戦)などの実戦下において、最前線での車両修復やパワーパック交換任務に投入され、部隊の稼働率維持において極めて優れた実績を残した。チーフテン主力戦車のエンジン交換にも使用されたが、より重厚なチャレンジャー1・2主力戦車のパワーパック吊り上げにはクレーン能力が不足したため、主力戦車領域ではChieftain ARRVやChallenger ARRV等に役割を譲った。しかし、FV430シリーズや各種軽装甲車輌の修理車としては後継のBulldog改修を経ながら長年運用が続けられた。2020年代においてもウクライナ軍への供与車輌として実戦配備されるなど、登場から半世紀以上を経た現在も野戦整備領域における実用的な歩みを進めている。

Official Name (正式名称)FV434 ARV (Armoured Repair Vehicle)
Country of Origin (開発国)イギリス
Manufacturer (製造メーカー)GKN Sankey (現 BAE Systems Land Systems)
Designed (設計年)ベースとなるFV430シリーズ車体の開発が1950年代後半から1960年代初頭にかけて進められ、1960年代半ばから後半にかけて設計・開発されたのち、1967年にイギリス陸軍(王立電気機械工兵隊等)へ部隊配備・運用が開始された。
Primary Operators (主な運用組織)イギリス:イギリス陸軍(王立電気機械工兵隊(REME)などの部隊において装甲車両の野戦修理・パワーパック交換任務で運用)
ウクライナ:ウクライナ陸軍(イギリスからの軍事支援を通じて供与され、前線での装甲車両の修理・回収支援用として運用)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)4名 (Driver, Commander, Riggers/Mechanics)
Combat Weight (戦闘重量)約 17,750 kg (17.75 tonnes / 19.5 short tons)
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)L (全長): 5.70 m (224.4 in / 18.7 ft)
W (全幅): 2.80 m (110.2 in / 9.2 ft)
D (全高): 2.80 m (110.2 in / 9.2 ft) [※クレーン収納時]
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)Base Steel Armor (ベース車体: 6 – 12.7 mm 全溶接鋼鉄装甲)
Main Armament (主武装)1x 7.62 mm L7 GPMG (General Purpose Machine Gun)
Secondary Armament (副武装)2x 3-barrel Smoke Grenade Dischargers (3連装煙幕発射機)
Engine (エンジン出力 hp/kW)Rolls-Royce K60 Multi-fuel Engine (直列6気筒水冷対向ピストン・マルチフューエルエンジン)
出力: 179 kW (240 hp / 240 bhp) [※トランスミッションは Allison TX-200-4A 半自動変速機]
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地): 約 47 km/h (29.2 mph)
Unpaved (不整地): 不明
Operational Range (航続距離)Paved (整地): 約 480 km (298 mi)
Unpaved (不整地): 不明

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By AlfvanBeem – Own work, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20306689
  2. Crown Copyright / Photo by Shaun C. Connors. UK Ministry of Defence, via Defence Imagery (Filename: 45101114.jpg).
  3. Crown Copyright / Photo by Shaun C. Connors. UK Ministry of Defence, via Defence Imagery (Filename: 45100955.jpg).
  4. By AlfvanBeem – Own work, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20306686

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