V-22 Osprey

V-22 Osprey
陸上自衛隊輸送航空隊所属のV-22 Osprey

概要と開発の背景

V-22 オスプレイは、1980年代から1990年代にかけてアメリカのBell Textron Inc.とBoeing Defense, Space & Security(旧:Boeing Vertol)によって共同開発され、2007年に初期作戦能力を獲得した世界初の量産型ティルトローター輸送機である。1980年に発生したイラン人質救出作戦(イーグルクロウ作戦)の失敗を受け、長距離を高速で進出しつつ狭小地に垂直離着陸できる革新的な航空機の獲得構想(JVX計画)が1981年に発足した。当時、米海兵隊や米海軍で広く使用されていた中型輸送ヘリコプターCH-46 シークナイト等の老朽化が進んでおり、従来のヘリコプターを超える航続距離、速度、積載能力を備えた次世代機への更新ニーズが強く存在した。これに伴い、ヘリコプターの垂直離着陸能力と固定翼機の高速航行性能を同一の機体で統合させたV-22の開発が本格化した。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、主翼両端に配置されたエンジンナセルを垂直から水平まで可変可動させるティルトローター機構を採用している点にある。離着陸時にはナセルを垂直(約90度)に立ててヘリコプターのように垂直上昇し、上空ではナセルを水平に倒して固定翼機と同様の高速巡航を行う。機体構造には軽量かつ高強度の炭素繊維強化複合材料(CFRP)が多用されており、構造剛性の確保と自重の軽量化が図られている。パワートレインにはRolls-Royce plc製のAE 1107C-Liberty(T406-AD-400)ターボシャフトエンジン(各6,150馬力)を双発搭載し、両ナセルはドライブシャフトで相互連結されているため、万が一片方のエンジンが停止した場合でも他方の出力で両側のプロプロターを同時に駆動できる冗長性を備える。従来機CH-46と比較して最大速度は約2倍(約520km/h以上)、行動半径は約4倍(約600km)、積載量は約3倍(約9t)に達し、艦載運用に対応して主翼とプロプロターを畳み込んでコンパクトに格納する自動折りたたみ機構を有する。

運用実績と評価

2007年に米海兵隊でMV-22Bが制式採用されて以降、米空軍特殊作戦コマンド(CV-22B)、米海軍(艦載輸送型CMV-22B)、および陸上自衛隊(水陸機動団支援等のV-22)で広く導入・運用されている。イラク戦線やアフガニスタンにおける実戦投入、ならびに各種人道支援・災害派遣においては、強襲揚陸艦や遠隔地の前線基地から離れた目標地点へ即座に人員や給弾物資を輸送する高い即応展開力と長距離進出性能が示された。特に、従来の輸送ヘリコプターでは到達不可能な距離を無給油でカバーする航続性能は、遠征作戦や離島防衛における兵站概念を大幅に刷新した。初期の開発段階における技術的困難や操縦系統の複雑さに伴う課題は存在したものの、各種システムの改修や熟練度の向上を経て実用化が進められた。現代においては、米軍の遠征展開および自衛隊の島嶼部防衛における中核的な空中輸送手段としての地位を確立している。

Official Name (正式名称)V-22 Osprey
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)ベル・テキストロン社 / ボーイング・ディフェンス・スペース&セキュリティ(共同開発・製造)
Designed (設計年)1980年代前半にアメリカ軍の統合輸送機計画として開発が始まり、2007年にアメリカ海兵隊で運用が開始されたティルトローター機
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ海兵隊(海兵航空群など) ― MV-22Bを運用、アメリカ空軍(特殊作戦コマンド隷下部隊など) ― CV-22Bを運用、アメリカ海軍 ― CMV-22Bを運用
日本:陸上自衛隊(輸送航空隊・水陸機動団支援部隊など) ― V-22 Osprey(MV-22B準拠仕様)を運用
Crew (乗員)3 – 4名 (操縦手、副操縦手、機上整備員1〜2名) + 24名 (後部キャビン・完全武装の隊員輸送時。補助シート使用時は最大32名)、あるいは貨物等
Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高L: 17.48 m (胴体長:17.48 m / 前後プロペラ含む全長:22.07 m), W: 25.78 m (主翼幅:14.12 m / 両端プロップローター含む全幅), D: 6.73 m (垂直尾翼上端まで / エンジンナセル垂直時全高:5.28 m)
Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量)Empty Weight (自重): 約15,032 kg / Max Takeoff Weight (最大離陸重量): 23,981 kg (垂直離着陸(VTOL)時) / 短距離離着陸(STOL)時の最大離陸重量は27,442 kg (60,500 lb)
Powerplant (エンジン):型式、推力2x Rolls-Royce製 T406-AD-400 (米国型式:AE 1107C) ターボシャフトエンジン×2基, Output: 6,150 shp × 2基 (計12,300 shp / 離昇最大出力。プロップローター直径:11.58 m、エンジンナセルを0度〜95度の間で傾斜制御)
Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度Max Speed (固定翼モード時): 275 knots (約509 km/h), Max Speed (回転翼モード時): 100 knots (約185 km/h)
Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離)Combat Range: 約722 km (完全武装隊員24名を乗せた水陸機動展開作戦プロファイル時) / Ferry Range: 約3,590 km (本体内タンク燃料+機内増設補助燃料タンク満載時の最大転送仕様距離。空中給油リセプタクルによる航続距離拡張プロファイルを標準装備)
Service Ceiling (実用上昇限度)約7,620 m (25,000 ft ※1基のエンジン停止時の緊急ワン・エンジン不作動(OEI)上昇限度は約3,440 m)
Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力なし (自衛隊仕様においては、主翼下や胴体脇にミサイルや爆弾を搭載するハードポイントやスタブウイングは非搭載。ただし、機体下面にカーゴフックを備え、最大約4,536 kg (10,000 lb) の外部吊下輸送(スリング輸送)能力を保持)
Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数なし (基本固定武装は非搭載。ただし、後部ランプドア(キャビン後方出口)に専用マウントを介して7.62mm機関銃または12.7mm重機関銃M2を据え付け、着陸ゾーン(LZ)の自衛・制圧火線を形成するドアガン運用プロファイルが標準化されている)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Bernardo Fernandez copado – NZ9_8378, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=134962073

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