
概要と開発の背景
Support Vehicle Heavy Cargo EPLS(MAN HX77 8×8 Enhanced Palletized Load System / 強化型パレット・ロード・システム仕様)は、2000年代初頭にドイツのRheinmetall MAN Military Vehicles(RMMV)が開発し、2000年代後半よりイギリス軍をはじめとする各国軍に導入された8×8駆動の高機動重戦術トラックである。開発の背景には、冷戦期よりイギリス陸軍の重物流を支えてきた旧式のFoden 8×8トラックや各種手動荷役車両の老朽化と、現代戦の高速機動展開に追従できる重物資の自力昇降・急速展開能力の不足という深刻な課題が存在した。過酷な戦術環境下において、弾薬、水・燃料、整備資材、および20ft ISO規格コンテナやフラットラックパレットを、車外での手動作業や外部クレーンに頼らず迅速に離着脱・積載できる防護性能の高い重機甲ロジスティクスアセットを獲得すべく、イギリス国防省の「サポート・ビークル(SV)」大規模調達計画における重貨物・強化型パレット輸送(Heavy Cargo EPLS)枠として配備が進められた。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、高剛性スチール車体フレームを備えたMAN HX77 8×8シャーシに、Hiab Multilift社製のEPLS(強化型パレット・ロード・システム)油圧フックリフト機構およびコンテナ・ハンドリング・ユニット(CHU)を完全統合している点にある。本機構により、オペレーターは防護されたキャビン内から車載コントロールレバーを操作するだけで、最大15t(車輪軸許容積載能力により約15t〜17t)のフラットラックパレットや20ft ISO規格コンテナを僅か数分で車体上面へ引き揚げ・固定、または地上へ離着脱できる。パワートレインには440馬力を発揮するMAN D2066 10.5L 直列6気筒水冷ターボディーゼルエンジンとZF製12速TipMatic全自動トランスミッションを搭載し、フルタイム8輪駆動とパラボリック・リーフスプリング懸架機構により、泥濘地や過酷な不整地でも優れた走破性能を発揮する。防護面では、モジュール式増加装甲キャビン(MAC)への換装適合性に加え、Project Fortress改修プログラムによる底面・側面の耐爆装甲パッケージが標準適用可能であり、高い乗員生存性を備える。
運用実績と評価
制式導入以降、Support Vehicle Heavy Cargo EPLSはイギリス陸軍の王立物流軍団(RLC)や機甲旅団戦闘団における基幹重ロジスティクス支援車両として幅広く運用されている。実際の運用においては、中東や欧州での大規模機動演習や前線作戦へ投入され、脅威下での弾薬補給、陣地建設資材、および医療・通信用20ft ISOコンテナの即応展開ミッションを完遂した。2018年には、前線での物流要求の高まりに応じて既存のHX77標準型から382両を最新のEPLS仕様へアップグレード改修する契約が締結され、機甲・野戦部隊への直接支援能力が大幅に強化された。手動荷役や外部の大型クレーン車輛を必要としない単体での自力脱着(Self-loading/unloading)プロセスと、公道上90km/h以上の長距離移動速度、ならびに戦車部隊と同等の不整地走破性が前線物流部隊から極めて高く評価されている。現代の重機甲部隊における補給線の生命線を担う最新鋭の重戦術ロジスティクスアセットとして不可欠な地位を維持している。
| Official Name (正式名称) | Support Vehicle Heavy Cargo EPLS / MAN HX77 32.440 8×8 Enhanced Palletized Load System |
| Country of Origin (開発国) | ドイツ / イギリス ※ドイツ MAN 社開発、イギリス国防省 Support Vehicle 計画主運用 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Rheinmetall MAN Military Vehicles (RMMV / 旧 MAN Nutzfahrzeuge) |
| Designed (設計年) | ベースとなる車両本体(RMMV HX77)の設計年は2002年であり、イギリス軍等でのベース車両自体の運用開始年は2007年–2008年である。なお、DROPS車両の退役に伴う改修として既存のHX77をEPLS仕様(ロードハンドリングシステムおよび追加装甲等の標準装備)へコンバート・大規模導入する契約は2018年に締結・運用開始されている。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | イギリス:イギリス陸軍(ロイヤル・ロジスティック・コー(王立輸送軍団/RLC)等の後方支援・補給部隊において、Support Vehicle(SV)計画に基づき既存のHX77 8×8トラック382台を改修した「EPLS(Enhanced Palletized Load System)」型を主軸として運用) |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 2名 (Driver, Commander) + 兵員輸送数: 不明 [※キャビン座席は標準2名〜最大3名用] |
| Combat Weight (戦闘重量) | 車両自重 (Kerb / Unladen Weight): 20,660 kg (20.66 tonnes / 22.77 short tons / 45,547 lb) 車両総重量 (Laden / GVW): 36,000 kg (36.0 tonnes / 39.68 short tons / 79,366 lb) 最大積載量 (Load capacity): 15,000 kg – 16,000 kg (15.0 – 16.0 tonnes / 16.53 – 17.63 short tons / 33,069 – 35,274 lb) |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | L (全長): 10.5 m (10,500 mm / 413.4 in / 34.4 ft) [※EPLS ロードハンドリングシステムおよび装甲装着状態] W (全幅): 3.1 m (3,100 mm / 122.0 in / 10.2 ft) [※サイドプロテクション・装甲を含む最大幅] D (全高): 4.05 m (4,050 mm / 159.4 in / 13.3 ft) [※キャビン上部・フックリフト構造物頂部含む全高] |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | Appliqué Armor Packs / Modular Armoured Cabin (MAC) / Project Fortress Protection Upgrade (対弾・対爆破防護の追加装甲パッケージ標準装着) |
| Main Armament (主武装) | None |
| Secondary Armament (副武装) | 1x 7.62 mm L7A2 GPMG (General Purpose Machine Gun) または1x 5.56 mm L110 LMG (キャビンルーフの旋回ハッチマウントに搭載可能) |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | MAN D2066 10.518-litre 6-cylinder Turbocharged Diesel Engine 出力: 324 kW (440 hp / 443 bhp) / トルク: 2,100 Nm |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | Paved (整地): 約 90 km/h – 100 km/h (56 mph – 62 mph) [※スピードリミッター調整時] |
| Operational Range (航続距離) | Paved (整地): 約 400 km – 500 km (250 mi – 310 mi) [※標準燃料タンク装着時] |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
PR:関連商品
画像の引用元
- By Hullian111 – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=147418073












