
概要と開発の背景
UP-1は、2010年代半ばの2015年に日本の防衛省防衛装備庁(旧・技術研究本部)とKawasaki Heavy Industries, Ltd.(川崎重工業株式会社)によって開発・改修され、海上自衛隊へ導入された四発ターボファンエンジン搭載の多用途評価機(装備評価・試験機)である。海上自衛隊では従来、プロペラ機であるP-3Cをベースとした装備評価機「UP-3C」を運用し、新装備や航空アビオニクス等の飛行試作・評価試験を実施してきた。しかし、量産型「P-1」哨戒機の本格導入に伴い、高速ジェット推進システムや世界初の実用「フライ・バイ・ライト(FBL)」操縦系統など、最新プラットフォームに適合した試験評価環境の構築が強く求められた。これを受け、長期間にわたる技術実証・各種試験を終えたP-1の試作1号機(XP-1・機体番号5501)をベースに、次世代航空兵装や各種計測機器の飛行試験・評価研究に特化した日本独自の多用途試験アセットとして改修・開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、P-1の優れた基本構造(IHI製F7-10ターボファンエンジン4基、FBL操縦系統、グラスコックピット)を踏襲しつつ、各種実験機器や試作装備品を迅速に着脱・計測できる特殊なテストプラットフォーム構造を備えている点にある。機体外観には試作機時代の白地に赤のストライプと灰色下面の専用カラーリングが保持されており、実戦配備機(青灰単色迷彩)とは明確に区別される。前級のUP-3Cと比較して、巡航速度や到達高度が向上したジェット機ベースとなったことで、より高高度・高速域における実情に近い航空環境下での各種データ計測が可能となった。主翼下のハードポイントには新型誘導弾(17式艦対艦誘導弾をベースとした対潜哨戒機用新対艦誘導弾等)や各種計測ポッドを懸射・搭載して投射試験を行うメカニズムを備える。機内には高精度のデータ収集・解析装置や計測オペレーター用ワークステーションが構築され、多様な開発・評価用途に対応する柔軟な設計思想が具現化されている。
運用実績と評価
2015年6月に試作1号機からの改修が完了し、機体番号を「9501」へ変更した上で、海上自衛隊厚木基地に所在する第51航空隊(VX-51)に制式配備された。世界でわずか1機のみ存在する極めて希少な多用途評価機として、自衛隊における航空装備品やセンサー技術の技術実証・運用試験に従事している。実際の試験運用においては、新型空対艦ミサイルの模擬弾4発を懸射した高荷重飛行試験や、新世代ソノブイ・アビオニクス機器の各種計測飛行において、ジェット機ならではの優れた応答性と高いデータ取得精度が具体的に証明された。前級UP-3Cの担ってきた試験機能を昇華させ、P-1および後継・改修システムの技術的信頼性を担保する上で不可欠な存在として高く評価されている。現代の海上自衛隊における最新航空兵装およびセンサー技術の将来発展を支える唯一無二の試験・評価アセットとして確固たる地位を築いている。
| Official Name (正式名称) | UP-1 / Kawasaki UP-1 |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国(日本でライセンス生産機をベースに独自電子戦改造) |
| Manufacturer (製造メーカー) | 川崎重工業(主契約企業・改造開発) / Lockheed (原設計) |
| Designed (設計年) | 2013年に次期固定翼哨戒機XP-1の試作1号機を、各種装備品の性能試験や飛行試験を行うための「多目的支援機UP-1」へと改修することが決定・公表、2015年に改修が完了し部隊配備 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本:海上自衛隊(航空集団直轄の「第51航空隊(厚木航空基地)」にて、新型装備品や航空機システムの性能試験・評価を行うための多目的支援機としてUP-1を運用。※なお、これとは別にP-3C哨戒機をベースとした多目的支援機「UP-3A」および電子戦訓練支援機「UP-3D」は、第31航空群第81航空隊・第91航空隊(岩国)にて運用されていた(現在は退役済み)) |
| Crew (乗員) | 11名(テスト内容や任務により変動) |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | W: 35.4 m × D: 38.0 m × H: 12.1 m |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | 自重(空虚重量):約 33.0 t / 最大離陸重量:約 79.7 t |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 4x IHI F7-10 (ターボファン)、出力:各基 約 60 kN(約 6,120 kg) |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | マッハ表記:約 Mach 0.83(高高度)、高度別の速度:540 kt(約 1,000 km/h)(高高度における最大速度) |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | 戦闘行動半径:非公開(各種試験支援を行うための十分な滞空性能を保持) / 航続距離:約 8,000 km |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 約 13,520 m(44,360 ft) |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | なし(試作機ベースの計測・試験用機体であり、攻撃兵装の搭載能力はなし) |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | なし |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- 海上自衛隊, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=57293709による







