
概要と開発の背景
BAe U-125(BAe U-125)は、1980年代にイギリスの British Aerospace(現 BAE Systems plc)が開発した双発ビジネスジェット機 BAe 125-800 をベースに改造し、1990年(平成2年)度予算より導入が決定された双発ジェット飛行点検機(航法施設検査機)である。導入の背景には、自衛隊の各基地や演習場に設置されている TACAN(戦術航法装置)、ILS(計器着陸装置)、VOR/DME などの「航空保安無線施設」が正確な電波信号を発信しているか上空から動作検査を行う既存の点検機(MU-2J や YS-11FC 等)の更新および補完ニーズが存在した。前衛機であるプロペラ機の航続距離や高度上昇性能の限界を克服し、高高度における精密な点検作業と全国の自衛隊施設への高速進出に対応するため、優れた機体信頼性を誇るビジネスジェットを母機とする U-125 が選定され、計3機が調達・配備された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、BAe 125-800 が有する滑らかな全金属製低翼構造と静粛性に優れたキャビンを活かしつつ、機内に高精度な自動飛行点検装置(AFIS)を統合している点にある。推進システムには Honeywell International Inc.(旧 Garrett)製 TFE731-5R-1H ターボファンエンジン2基を搭載し、低高度の滑走路進入ルートから標高の高い山岳上空、ならびに高度約13,000mにおよぶ高高度領域まで安定した速度と飛行姿勢を維持できる優れた操縦安定性を備える。機体胴体の上面・下面および各部には、地上施設からの各種電波(ILS、TACAN、VOR、DME 等)を受信する点検専用の外部アンテナ群が配置されている。外観デザインには、上空からの視認性と識別性を極めて高く保つため、飛行点検隊固有の白と赤の鮮やかなグラフィック塗装が施されている。
運用実績と評価
1992年の初号機受領以降、U-125 は航空自衛隊の航空支援集団傘下にある飛行点検隊(埼玉県入間基地)に配備され、全3機(041号機、042号機、043号機)が制式運用された。実際の運用においては、北海道から沖縄に至る全国の航空自衛隊・陸上自衛隊・海上自衛隊の各基地・飛行場に配備された航空保安無線施設の機能を定期的に検査する任務に投じられ、自衛隊機の安全な離着陸および航法の精度維持に貢献した。従来のプロペラ点検機と比較して格段に高速な巡航速度(約740km/h)と長大な航続距離(約3,900km〜5,500km)を発揮し、全国各地の点検空域へ迅速に移動して検査業務をこなす運用効率の高さを示した。後年、後継の飛行点検機である U-680A への交代が進められる中、自衛隊全体の航空交通インフラの安全基盤を影で支え続けたアセットとして位置づけられている。
| Official Name (正式名称) | BAe U-125 |
| Country of Origin (開発国) | イギリス / アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | British Aerospace (BAe) / Raytheon Aircraft Company / Hawker Beechcraft |
| Designed (設計年) | 開発ベースとなった原型機の初飛行は1962年に行われている。運用開始年については、平成2年度(1990年度)予算より調達が開始、1993年7月1日に飛行点検隊への配備が開始され運用が始まっているが、民間公開データの一部には1995年配備開始と記載するものも存在する。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本:航空自衛隊(航空支援集団飛行点検隊) |
| Crew (乗員) | 5名 または 7名(航空自衛隊の公式データ内で、防衛省JASDF装備ページでは「7人」、航空支援集団飛行点検隊ページでは「5人」と異なる記載が存在する) |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | L (全長): 15.60 m (51 ft 2 in) [一部の公式データでは 15.59 m] W (全幅/翼幅): 15.66 m (51 ft 4 in) H (全高): 5.36 m (17 ft 7 in) [一部の公式データでは 5.37 m] |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | 自重 (Empty Weight): 約6,860 kg (15,123 lb) [一部の公式データでは 7,350 kg 、開発ベースの基本仕様データでは 7,076 kg (15,600 lb)] 最大離陸重量 (Max Takeoff Weight): 12,750 kg (28,108 lb) [開発ベースの基本仕様データでは 12,700 kg または 28,000 lbs と記載される] |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 型式: 2x Honeywell (Garrett) TFE731-5R-1H ターボファン・エンジン 推力: 1基あたり 4,300 lbf (約1,950 kg / 19.1 kN) |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | マッハ表記: Mach 約0.8 高度別の速度: 最高速度として 980 km/h または 845 km/h、巡航速度として約740 km/hとするデータが存在する |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | 航続距離 (Ferry Range): 約3,900 – 約5,500 km [防衛省JASDF装備ページでは「約3,900km」、航空支援集団飛行点検隊ページでは「約5,500km」とそれぞれ異なる記載が存在する] |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 43,000 ft (約13,100 m) [開発ベースの基本仕様データでは 41,000 ft (12,497 m) ] |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | None |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | None |
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画像の引用元
- Autorstwa 航空自衛隊ホームページ, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=57179961







