M27 Infantry Automatic Rifle (IAR)

M27 Infantry Automatic Rifle

概要と開発の背景

M27 インファンタリー・オートマチック・ライフル(M27 Infantry Automatic Rifle)は、2000年代後半にドイツの Heckler & Koch 社が開発し、2010年にアメリカ海兵隊(U.S. Marine Corps)へ制式採用された5.56×45mm NATO弾を使用するアサルトライフル・分隊支援火器である。開発の背景には、1980年代からアメリカ海兵隊の歩兵分隊において制式配備されてきたベルト給弾式軽機関銃 M249 SAW(Squad Automatic Weapon)の重量とサイズに起因する機動性の制限、および市街地戦や近接戦闘(CQB)における運用の課題が存在した。M249 SAW は給弾機構や重量(空虚重量約7.5kg〜10kg)の面で遠距離の面制圧火力を提供する一方、歩兵部隊の機動性を阻害し、敵からの射撃標的になりやすいデメリットを有していた。アメリカ海兵隊は分隊の機動性と迅速な初弾着弾精度を向上させつつ、抑制火力を維持可能な軽量マガジン給弾式自動ライフルを求めて「IAR(Infantry Automatic Rifle)」プログラムを発注した。これに対し Heckler & Koch 社が自社の自動小銃 HK416D(16.5インチバレル仕様)をベースとして提案したモデルが最終選定され、M27 として部隊配備が決定された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、Heckler & Koch 社が誇るショートストローク・ガスピストン作動機構と、16.5インチの重厚なヘビー・フリーフローティングバレル(冷間鍛造製)を統合している点にある。従来の M16 や M4 で採用されていたダイレクト・インピンジメント(リュングマン)式と異なり、発射ガスや燃焼残留物(カーボン)がレシーバー内部へ直接流入しない機構を採用することで、泥や砂塵などの過酷な環境下においてもボルト作動の安定性と耐久性を維持する。また、ハンドガードが直接銃身に接触しないフリーフローティング構造と精密バレルの組み合わせにより、単発および連射時における優れた射撃精度を実現している。標準装備として Trijicon 製 3.5倍光学照準器 SU-258/PVQ(TA11SDO-CP)とその上面にマウントされた近接用 RMR 小型レッドドットサイトが統合され、中・長距離での精度維持と近接戦闘への即時対応を両立。通常の STANAG 30連マガジン(M16/M4規格)をそのまま使用可能であり、部隊内での弾薬共有が容易な設計となっている。

運用実績と評価

2010年の制式採用以降、M27 IAR はアメリカ海兵隊の歩兵大隊を中心に順次配備が進められ、従来各分隊に配置されていた M249 SAW の一部を置き換える形で運用がスタートした。実際の運用(アフガニスタン紛争や各種派遣任務等)においては、通常の歩兵小銃(M4カービン等)と区別がつかないシルエットを持つため、敵からの優先攻撃対象となるリスクが大幅に低減された。さらに、M249 よりも大幅に軽量(空虚重量約3.6kg)であり、迅速な目標捕捉と高い初弾命中精度を発揮したことで現場の海兵隊員から高く評価された。その優れた射撃性能と高い稼働信頼性が認められた結果、アメリカ海兵隊は2017年末、歩兵分隊の全小銃手を M27 に更新する方針を発表した。また、本機をベースに Leupold 製 2.5-10倍スコープやサプレッサーを装備したマークスマン・ライフル仕様の M38 DMR(Designated Marksman Rifle)も展開され、アメリカ海兵隊の基幹小銃として第一線で現役運用が続けられている。

Official Name (正式名称)M27 Infantry Automatic Rifle (IAR)
Country of Origin (開発国)ドイツ / アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)Heckler & Koch
Designed (設計年)設計年は2008年であり、アメリカ海兵隊において正式に制式名称が与えられ、限定的な部隊配備に伴う運用が開始された年は2010年である
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ海兵隊(歩兵大隊、軽装甲偵察大隊、戦闘工兵部隊等における主力制式仕様・標準自動小銃として全面的に運用。また、高精度個体を選定・改修した派生品「M38 DMR」を分隊選抜射手用として運用。偵察部隊向けには11インチ短銃身仕様の「Reconnaissance Weapons Kit[RWK]」が導入されている)
Type (種類)アサルトライフル
Caliber (口径)5.56x45mm NATO
Action (作動方式)Gas-operated short-stroke piston, rotating bolt(ガス圧利用・ショートストロークピストン、回転ボルト方式)
Overall Length (全長)36.9 inches (940 mm) [ストック展開時]
33.0 inches (840 mm) [ストック縮小時]
Barrel Length (銃身長)16.5 inches (419 mm)
Weight (重量)7.9 lbs (3.6 kg) [弾薬を含まない状態]
Rate of Fire (発射速度)Cyclic: 700–900 rpm / Sustained: 36–40 rpm
Effective Range (有効射程)550 m (Point target) / 700 m–800 m (Area target)
Feed System (給弾方式)30-round STANAG magazine

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画像の引用元
  1. By Lance Cpl. Hunter J. Kuester – https://www.dvidshub.net/image/8718233/intrepid-maven-251-rocket-range-day-two, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=160406818

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