
概要と開発の背景
無人機雷排除システム用水上無人艇(USV)は、2010年代後半に日本の JMUディフェンスシステムズ株式会社(ジャパン マリンユナイテッドグループ)が開発し、2020年代より海上自衛隊の「もがみ型護衛艦(FFM)」等に配備された11メートル型自律型水上無人機である。開発の背景には、沿岸部や重要航路における機雷の脅威増大と、有人艦艇(掃海艇等)を直接危険な機雷敷設海域へ進入させる運用リスクの低減、および少子化に伴う防衛省・海上自衛隊の省人化・無人化要求が存在した。母艦となる護衛艦が安全な海域にとどまったまま、機雷の検索から発見、処分に至る一連の対機雷作戦(MCM)を遠隔・自動で遂行する「無人機雷排除システム」の中核アセットとして開発がスタートした。同社は自社開発の技術検証用試作艇「うみかぜ」で蓄積した自律航行・定点保持技術を活用し、実用装備として制式化を達成した。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、高耐久かつ高耐航性を備えたガラス繊維強化プラスチック(GFRP)製のハードチャインV型船体(全長11.0メートル、全幅3.2メートル)を採用し、完全無人での自律運用に特化して設計されている点にある。乗員用設備や居住区画を完全に省いた設計により、後部甲板には自走式機雷処分用弾薬(EMD)の格納・投下装置が整然と配置され、船底には多目的なセンサー類を装着できる格納式ドームを備えている。推進システムには電子制御式ディーゼルエンジン2基とウォータージェット推進器2基を搭載し、危険海域への迅速な進出と優れた高速・旋回性能を両立している。制御面では、プログラムによる自動航走機能やアンカーを使用しない高度な定点保持・方位保持機能を備えるほか、船体カメラのリアルタイム映像をもとに母艦のCIC(戦闘指揮所)や陸上基地から無線で遠隔操縦・任務変更を行う高度な制御メカニズムが導入されている。
運用実績と評価
2020年代より海上自衛隊に制式配備されて以降、本USVは「もがみ型護衛艦(FFM)」の艦尾汎用区画から昇降・展開される対機雷戦の中核装備として運用されている。無人水中航走体(UUV)である「OZZ-5」などの機雷探知データと連携し、目標海域へ自動航行で進出後、搭載した自走式機雷処分用弾薬(EMD)を海中へ投下して機雷の識別および爆破処分を安全に遂行する。2025年に実施された各種運用試験においては、護衛艦からの遠隔操作により機雷の発見から処分までを完遂し、水上無人機を用いた安全な機雷排除プロセスを確立した。人命リスクを完全に排除しつつ、従来の専用掃海艇と同等以上の対機雷戦能力をフリゲート艦へ付与できる先進的アセットとして高く評価されている。2023年度からは本格的な量産体制に移行したほか、本艇で培われた自律運航・定点保持技術は民間船舶の自動運航支援へ応用されるなど、防衛・民生両面で大きな注目を集めている。
| Official Name (正式名称) | 無人機雷排除システム用水上無人機(USV)/ Mine Countermeasures Unmanned Surface Vehicle (MCM USV) 製造元名称:無人機雷排除システム用水上無人艇(USV) |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | 三菱重工業 / JMUディフェンスシステムズ (ジャパン マリンユナイテッド関連企業) ※JMUディフェンスシステムズが事前に社内開発していた実験艇「うみかぜ」の成果が実用装備の開発に反映されている |
| Designed (設計年) | 不明 (2018年3月に防衛装備庁から三菱重工業へ「無人機雷排除システム用水上無人機(試験用)の研究及び設計」が契約されているが、固有の明確な設計年は公式データがなく不明) |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本:海上自衛隊(もがみ型護衛艦(FFM)等の艦艇に搭載され、遠隔操縦による対機雷戦任務に運用中) |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 基準排水量: 不明・非公開 満載排水量: 不明・非公開 (ベースとなった実験艇「うみかぜ」の排水量は11t、JMUの多目的水上自律無人艇の軽荷重量は9.2tと公表されているが、実用・量産化された本機自体の公式な排水量データは非公開・不明) |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | L (全長): 不明・非公開 W (最大幅): 不明・非公開 D (喫水): 不明・非公開 (ベースとなった実験艇「うみかぜ」や多目的水上自律無人艇の諸元として全長11.0m、全幅3.2m、深さ1.5m、喫水0.7mという記載はあるが、量産・運用されている本機自体の確定的な公式寸法データは明記されておらず不明) |
| Propulsion (機関): | 2x ウォータージェット推進器 (スクリューではなく、進行方向と反対方向に高圧の水流を噴出するウォータージェット方式を採用。出力を含む詳細な機関形式や馬力データは不明・非公開) |
| Speed (速力): | 不明 (ベースとなった実験艇「うみかぜ」等の最大速力は23ktとされるが、実用されている本機自体の公式な最高速力データは不明・非公開) |
| Range (航続距離): | 不明 (※公式な航続距離および巡航時ノット数のデータは非公開・不明) |
| Complement (乗員数): | 0名 (自律航行型の水上無人機であり、母艦からの遠隔操作や自動航行が基本となるため通常乗員は存在しない。なお、有人運用も可能とする資料や、ベース艇において最大12名の搭載人数とする記載もあるが、本システムにおける正確な常駐・運用人数は不明) |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | 2x 遠隔操縦用カメラ (マスト部分に前方と後方を捉えるカメラを搭載し、周囲ほぼ360度の状況を把握。母艦と無線接続して映像を視認しながら遠隔操作するシステム)、設定ルート自動航行機能、定点保持・方位保持機能 |
| Armament (兵装): | 自走式機雷処分用弾薬(EMD) (母艦から離れた海域の機雷を処分するために搭載したEMDを発射する) |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | 貨物運搬能力: 不明 (自走式機雷処分用弾薬(EMD)の搭載・発射能力を備えるが、具体的な貨物運搬能力の数値データは非公開・不明) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=172030655








