もがみ型護衛艦 / Mogami-class frigate

Mogami-class frigate
FFM-1 もがみ

概要と開発の背景

もがみ型護衛艦は、2010年代末から2020年代にかけて日本の防衛省および三菱重工業株式会社、三井E&S造船株式会社(現:三菱重工業玉野艦船工場)によって開発・建造され、2022年(令和4年)より海上自衛隊へ導入された新世代の多用途護衛艦(FFM)である。海上自衛隊では長年、沿岸・近海の警戒監視に「あぶくま型護衛艦(DE)」を、艦隊防空や対潜戦に汎用護衛艦(DD)を運用してきた。しかし、人口減少に伴う自衛官の確保や少人数化への対応、日本周辺海域における警戒監視ニーズの急増、平時・不測の事態における複合的脅威(機雷・水上・水中)への即応が喫緊の課題となった。これを受け、従来の護衛艦と掃海艦艇の機能を統合し、極限までの省人化と多様な任務への柔軟な適応力を目指したまったく新しいフリゲート枠組み(計画時名称: 30FFM)として開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、従来の護衛艦から一線を画す滑らかな多面体ステルス船体構造と、各種アンテナ類を筒状のタワー内に全統合した多機能複合マスト「UNICORN(NOLQ-3E)」の採用にある。外観から手すりや出っ張りを排し、レーダー反射断面積(RCS)を大幅に低減させている。推進機関には海上自衛隊の護衛艦として初となるCODAG(ガスタービン・ディーゼル複合)方式を採用し、Rolls-Royce plc製「MT30」ガスタービン1基とMAN Energy Solutions製「12V28/33D STC」ディーゼル2基を組み合わせることで、高い燃費効率と30ノット以上の高速巡航を両立した。戦闘指揮所(CIC)には全周を360度大型円形ディスプレイで囲む先進的なグラスコックピットを導入し、水上無人機(USV)や水中無人機(UUV)を用いた機雷捜索・排除システムを標準統合することで、乗員数を従来の汎用護衛艦の半数以下となる約90名へ削減した省人化メカニズムを確立している。

運用実績と評価

2022年3月に1番艦「もがみ(FFM-1)」および2番艦「くまの(FFM-2)」が同時に就役して以降、順次量産配備が進められ、全国の地方配備部隊および護衛隊部隊へと配備されている。制式採用以降、日本周辺海域における常時継続的な洋上警戒監視任務や情報収集活動、機雷戦訓練に従事している。実際の運用においては、従来のDD級護衛艦と比較して大幅に抑えられた人員と優れた燃費性能により、高い稼働率と優れた運用コストパフォーマンスを具体的に証明した。さらに、機雷戦機能と対潜・対水上戦闘機能を1隻に完結させた柔軟な多用途性は防衛関係者から高く評価されている。本型で確立された最新のステルス設計と省人化統合システムは、オーストラリアをはじめとする海外諸国への防衛装備移転の提案対象となったほか、後続の改もがみ型(新型FFM)の基盤となり、現代の海上自衛隊における次世代フリゲートの先駆けとして極めて重要な立ち位置を占めている。

Official Name (正式名称)もがみ型護衛艦 / Mogami-class frigate
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)三菱重工業 長崎造船所、三井E&S造船 玉野艦船工場(現:三菱重工マリタイムシステムズ)
Designed (設計年)2010年代半ばから、人手不足に対応する徹底した省力化や多機能化(FFM)を目指し、初の機雷掃海能力の付与や統合型先進情報処理室(OIC)を導入した新型護衛艦(30FFM)として設計が進められ、2019年に建造を開始
2022年に2番艦「くまの」および1番艦「もがみ」が相次いで就役したことで、従来の約半数の乗員で運用可能な新世代の多機能フリゲートとしての本格的な運用が開始された護衛艦
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊(自衛艦隊 護衛艦隊:掃海隊群、または各護衛隊群において「FFM-1 もがみ」「FFM-2 くまの」「FFM-3 のしろ」「FFM-4 みくま」「FFM-5 やはぎ」「FFM-6 あがの」「FFM-7 によど」「FFM-8 ゆうべつ」「FFM-9 なとり」「FFM-10 ながら」「FFM-11 たつた」「FFM-12 よしい」の各艦を配備・運用中)
オーストラリア: オーストラリア国防軍 オーストラリア海軍(次期汎用フリゲートプログラムにおいて、もがみ型の発展改良型である「新型FFM(改もがみ型)」の採用を決定し、2026年4月に3隻の建造に関する正式契約および防衛協力の覚書を締結。最終的に計11隻を導入・運用予定)
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量:3,900 t / 満載排水量:約 5,500 t
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水L: 133 m(全長) × W: 16.3 m(最大幅) × D: 4.7 m(喫水)
Propulsion (機関):CODAG(コンバインド・ディーゼル・アンド・ガスタービン)方式、1x ロールス・ロイス MT30 ガスタービン、2x MAN 12V28/33D STC ディーゼル(川崎重工業ライセンス生産)、2軸推進、出力:70,000 hp
Speed (速力):30 kt(約 56 km/h)
Range (航続距離):非公開(一般的なフリゲートに準ずる約 4,500 nm/20 kt 巡航程度と推定)
Complement (乗員数):約 90 名(高度な自動化・省力化により従来の汎用艦の約半分に抑制)
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):OYQ-1 統合情報処理ディスプレィシステム(多機能円形モニター付きOIC(先進情報処理室)に設置)
OPY-2 多機能レーダー(Xバンド、アクティブ・フェーズドアレイ・レーダー、4面に固定配置)
OAX-3 光学複合センサー
OQQ-25 水上艦用ソナーシステム(OQQ-11可変深度ソナー(VDS)および曳航ソナー(TASS)を統合)
Armament (兵装):Mk.41 VLS(垂直発射システム):16セル(艦首配備。07式垂直発射魚雷(VLA)および発展型シースパロー(ESSM)短SAM、または12式地対艦誘導弾能力向上型(艦載型)などの装填が可能。※初期建造艦はVLS後日装備、順次改修中)
1x 62口径5インチ単装砲(アメリカ・BAEシステムズ社製 Mk.45 Mod 4、日本製鋼所ライセンス生産)
1x SeaRAM(近接防空ミサイル連装発射機)
2x HOS-303 3連装短魚雷発射管
2x 4連装17式SSM(対艦誘導弾)発射筒
水中無人機(UUV)用架台および自航式可変深度ソナー(USV)運用設備、簡易型機雷敷設装置(機雷掃海・敷設戦用)
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
搭載機数:定数1機。船体後部にヘリコプター格納庫および飛行甲板、着艦拘束装置を装備。SH-60K哨戒ヘリコプターを1機艦載・運用可能。
車両・貨物運搬能力:専用の貨物・車両格納エリアは非装備。ただし、多目的甲板(マルチ・ミッション・デッキ)を備えており、ここにUUV/USVなどの各種無人機や掃海具、あるいは少数の救援物資や作業用舟艇を状況に応じて柔軟に積載・運用できる能力を持つ。

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Hiroshi miyaji – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=125836718

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