M1255A1 CVVA1

M1255A1 CVVA1

概要と開発の背景

M1255A1 CVVA1(Commander’s Vehicle Variant A1)は、2010年代後半よりアメリカのGeneral Dynamics Land Systems(GDELS)が開発を進め、2020年頃よりアメリカ陸軍へ部隊配備された8×8の装輪式移動指揮通信車両である。本車両は、ストライカー旅団戦闘団(SBCT)の旅団司令部や大隊司令部で運用されてきたM1130 CV(指揮車)の近代化更新型として開発された。開発の背景には、非対称戦における地雷や即席爆発装置(IED)の底面爆風脅威から乗員や幕僚を防護する性能の向上と、車上戦術ネットワーク端末や多系統無線通信機器の増設に伴う車内給電能力およびパワートレイン性能の不足を解消するニーズが存在した。これにより、二重V字底構造(DVH-A1)の採用と動力・電子インフラの全面更新を図った次世代移動指揮アセットとして開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、底面からの爆風エネルギーを側面へ分散・拡散させる二重V字型(DVH-A1)構造を車体下部に標準採用し、爆風緩衝シートとの組み合わせによって対地雷・対IED防護性能を高めた点にある。パワートレインには450馬力を発揮するCaterpillar C7ターボディーゼルエンジン、910アンペアの大容量発電機、および55,000ポンド(約25トン)対応の強化サスペンションが統合された。車内にはFBCB2/JCR戦術デジタルネットワークや各種セキュア無線通信機器が配置され、高容量化された車内データバスと大容量給電系により、行軍中や静止時(APU運用時)を問わず多系統のデジタル通信を持続して処理する。自衛兵装としてリモートウェポンステーション(M151 RWS等)を備え、車内から12.7mm M2重機関銃や40mm Mk 19自動擲弾銃を遠隔操作できる。

運用実績と評価

2020年以降、アメリカ陸軍のストライカー旅団戦闘団(SBCT)における各旅団司令部、大隊司令部、中隊本部の指揮部隊へ順次配備・導入されている。実戦配備や大規模演習においては、従来のM1130と比較して向上した底面爆風防護性能と、450馬力エンジンによる走破性の向上、多系統通信機への安定した給電能力が評価された。多重無線回線とデジタル戦術ネットワークを統合運用できる車内環境により、行軍中においても即時かつ広域な作戦指導と情報伝達を行う能力が実証された。現在においても、ストライカー旅団戦闘団におけるネットワーク中心戦(NCW)と広域指揮統制を維持する基幹移動指揮アセットとして配備・運用が拡充されている。

Official Name (正式名称)M1255A1 CVVA1
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国 / カナダ
Manufacturer (製造メーカー)General Dynamics Land Systems (GDLS)
Designed (設計年)アメリカ陸軍のストライカー近代化プログラム(エンジニアリング変更提案:ECP)に基づき2012年から約6年をかけて二重V字型車体底面の導入や新型450馬力パワーパック、最新C4ISR通信機材の統合設計が行われ、2018年9月に実戦部隊による最終的な全規模運用試験をクリアしたことで量産が承認され、翌2019年から2020年にかけて最初のストライカー旅団戦闘チームへ配備されたことで公式に運用を開始
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(開発国かつ筆頭運用国。各ストライカー旅団戦闘チーム(SBCT)傘下の旅団司令部(BCT HQ)、歩兵大隊司令部(Infantry Battalion HQ)、偵察大隊司令部(RSTA Squadron HQ)などの「戦術作戦センター(TOC:Tactical Operations Center)」に主力現役実戦配備。既存の平底型「M1130」や初期の二重V字底面型「M1255」からの近代化アップグレード(ECP改修)を完了した最新仕様の「M1255A1(DVH-A1 CV)」として、遠隔での戦術作戦の指揮・統制・通信管理アセットの主軸として独占運用中)
ブルガリア:ブルガリア陸軍(公式な国外輸出・FMS受領国。2023年末に米国政府と総額15億ドル規模のストライカー大量調達契約(計183両)を公式締結し、2026年2月より米国およびカナダからの第一波となる戦闘車両群の本国到着・TEREM工場でのノックダウン最終組み立てが正式に始動。同国陸軍が進めるNATO標準規格の近代化機械化歩兵旅団(第61機械化旅団など)の戦術ネットワークおよびコア移動指揮ポストとして、二重V字型車体底面・A1パワーパック仕様の「M1255A1 指揮車(契約内計33両割り当て)」が公式に導入・運用中)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)2名 (操縦手、車長) + 兵員輸送数(作戦幕僚等収容数): 3名 ※車内後部の指揮作戦スペースに、作戦指揮官や幕僚、戦術通信オペレーターなど計3名の専門人員を収容
Combat Weight (戦闘重量)28,576 kg (28.58 t / 63,000 lbs) ※最新の二重V字型車体底面(DVH)構造、足回りの強化、各種通信アンテナマウント、および追加装甲マウントをすべて含む最大総重量
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)W: 3,406 mm (3.40 m ※サイドミラー・外装マウント部含む) / L: 7,381 mm (7.38 m ※車体バンパー等を含む車体長) / D: 3,020 mm (3.02 m ※車長キューポラ、および閉鎖時のアンテナ基部マウントを含む垂直高。各種通信アンテナ展開時はさらに高くなる) / 基本車体幅:2,720 mm (2.72 m) / 車体天面高:2,640 mm (2.64 m)
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)High-hard steel structure hull with Double-V Hull (DVH) design, optional bolt-on ceramic armor, and internal spall liners (高硬度鋼板溶接構造に加え、地雷・IEDの爆風を外側へ逃がす特殊な二重V字型車体底面(DVH)構造を標準採用。さらにボルト留め式セラミック増加装甲、内面防破ライナー、スラット/ケージ装甲オプションを統合) ※14.5mm重機関銃弾や152mm砲弾の空中炸裂破片、および地雷に対して極めて高い防御力を有する。複合装甲や爆発反応装甲(ERA)は装備していない。
Main Armament (主武装)1x パワーアシスト付き車長キューポラマウントに以下のいずれか 1基を選択装備
1x 12.7 mm M2HB heavy machine gun
1x 40 mm Mk 19 automatic grenade launcher
※作戦指揮と通信管理に特化した車両であり、主要な自衛武装はこの1基のみとなる
Secondary Armament (副武装)4x M6 smoke grenade launchers
Engine (エンジン出力 hp/kW)Caterpillar C7 6-cylinder inline 4-cycle turbocharged liquid-cooled diesel engine (キャタピラー社製 C7 直列6気筒4サイクルターボチャージドディーゼル
出力: 450 hp (336 kW) ※重量増加に対応するため、従来の350馬力から450馬力へ完全強化され、多数のC4ISR戦術通信通信機材を安定稼働させるための910アンペア大容量オルタネーターを備えた最新パワーパック仕様)
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地): 96 km/h (運用制限値)
Unpaved (不整地): 約 40 km/h 〜 50 km/h
Operational Range (航続距離)483 km (300 miles) ※車体底面の重装甲化および高出力パワーパックへの刷新に伴い、従来の530kmから483kmへ変更。

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By United States Army Acquisition Support Center (USAASC) – https://asc.army.mil/web/news-stryker-ready/

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