SIG SAUER M18

M18

概要と開発の背景

SIG SAUER M18は、2010年代半ばにアメリカ合衆国のSIG Sauer社(SIG Sauer Inc.)が開発した9x19mmパラベラム弾を使用する米軍制式コンパクト半自動拳銃である。1980年代から長年にわたり運用されてきたBeretta M9や、海兵隊・海軍等で使われていたM11(SIG P228)などの旧式拳銃は、経年劣化による老朽化に加え、航空機乗員や憲兵、私服捜査官、車両乗員らが狭小空間や衣服の下に隠蔽携帯(コンシールメント)して運用するにはサイズや重量の面で非効率であった。こうした課題に対応するため、アメリカ陸軍および空軍主導の「モジュラー・ハンドガン・システム(MHS: Modular Handgun System)」計画において、フルサイズモデルのM17と並行して小型・軽量なコンパクトモデルの調達が推進された。2017年1月、SIG Sauer社が提案した同社の「P320」ベースの設計案が採用され、同ラインのコンパクト仕様が「M18」の制式名でアメリカ軍へ導入されることが決定した。

構造と技術的特徴

最大の特徴は、フルサイズモデルであるM17と同等の拡張性と内部機構を備えつつ、銃身長およびスライド長を極限まで短縮して高い携帯性を実現した点にある。作動方式にはショートリコイル方式とチルトバレル(閉鎖機構)を採用し、撃発機構には撃ちやすさと均一なトリガープルを提供するストライカー・ファイア方式(ハンマーレス構造)を統合している。中核構造には独立したステンレススチール製のファイア・コントロール・ユニット(FCU)が採用されており、ポリマー樹脂製のグリップモジュールやスライド部を用途に応じて容易に組換可能な高度なモジュール性を有する。M17との最大の違いはサイズにあり、M17の4.7インチ(約120mm)砲身に対してM18は3.9インチ(約99mm)砲身を採用し、全幅や全長を小型化している。これにより、操作系や内部部品の共通性を保ちつつ機動性を大幅に向上させている。また、レシーバー下部へのMIL-STD-1913ピカティニー・レールの標準装備、小型ドットサイトをダイレクトに装着できるオプティック・レディ・スライド構造、アンビ仕様のマニュアル・サム・セフティ、および夜間照準用のSIGLITEナイトサイトを踏襲している。

運用実績と評価

2017年の制式採択以降、アメリカ海兵隊が主力サイドアームとしてM17ではなくM18を全面的に採用することを決定し、歩兵将校や航空機乗員をはじめとする全軍規模での受領が進められた。さらにアメリカ海軍、空軍、陸軍、宇宙軍の各軍種においても、パイロット、ヘリコプター搭乗員、軍用犬ハンドラー、憲兵(MP)、捜査官(NCISやOSI)などのコンパクトな火器を要求する部隊へ広く配備された。実戦および訓練における運用では、短銃身化されながらも高い命中精度と良好な取り回しを維持している点が高く評価されている。給弾系においては標準の17発装弾数マガジンに加え、延長型の21発マガジンもそのまま使用可能であり、コンパクト拳銃でありながら優れた持持火力を提供する。アメリカ軍のみならず米国の法執行機関や同盟国軍への導入、民間市場における「P320-M18」としての展開も行われており、現代の軍用自動拳銃におけるコンパクト・モジュラー・ハンドガンの決定版として高い評価を獲得している。

Official Name (正式名称)SIG SAUER M18
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国 / ドイツ
Manufacturer (製造メーカー)SIG Sauer
Designed (設計年)原型となるベースモデル(P320)の基本設計は2013年頃から本格化し、MHSコンペティションに向けた試作機の設計・改修は2015年から2017年にかけて完了した。その後、2017年1月19日にアメリカ陸軍よりMHS選定プログラムの勝者として公式発表され、同年11月17日にアメリカ陸軍の第101空挺師団への最初の機材引き渡し(デリバリー)が行われたことで本格的な軍の作戦運用が開始
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海軍、アメリカ海兵隊、アメリカ空軍、アメリカ宇宙軍
コソボ:コソボ治安軍
Type (種類)半自動式拳銃
Caliber (口径)9×19mm Parabellum
Action (作動方式)Short recoil-operated(ティルトバレル方式ショートリコイル)
Overall Length (全長)約183mm(7.2 in)
Barrel Length (銃身長)約99mm(3.9in)
Weight (重量)0.8 kg
Rate of Fire (発射速度)セミオートマチック
Effective Range (有効射程)50 m
Feed System (給弾方式)17- or 21-round magazine

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. Vicki Stein – https://www.afimsc.af.mil/News/Article-Display/Article/1770730/afsfc-begins-delivery-of-new-air-force-wide-handgun/, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=97323448による

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