
概要と開発の背景
とわだ型補給艦は、1980年代半ば(昭和59年度および昭和62年度計画)に日本の防衛庁(現・防衛省)および日立造船株式会社(舞鶴工場)、石川島播磨重工業株式会社(現:株式会社IHI東京工場)によって開発・建造され、1987年(昭和62年)より海上自衛隊へ導入された量産型補給艦(AOE)である。海上自衛隊では、昭和50年代から昭和60年代にかけて、機動運用を担う「4個護衛隊群(いわゆる8-8艦隊)」体制の整備・拡張が進められていた。当時運用されていた前級の補給艦「さがみ(AOE-421)」は高い補給能力を備えていたものの、1隻のみでは4つの護衛隊群すべての長距離洋上行動をサポートするには数が圧倒的に不足していた。また、日本周辺海域の荒天時における安全な荷役作業と、補給物資の大量かつ迅速な自動移送能力の強化が急務とされた。これを受け、前級さがみの運用実績を踏まえて船体を一段と拡大・発展させ、各護衛隊群へ1隻ずつ配置可能な洋上機動補給アセット(計画時名称:昭和59年度計画8,100トン型補給艦)として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、前級さがみ(基準排水量5,000トン)から8,100トン(満載12,100トン、全長167.0m)へと艦体を飛躍的に拡大し、乾舷の高い遮浪甲板型船体を導入することで悪天候下での安全な作業メカニズムを確立した点にある。艦橋前方に門型補給ポスト3基を集中配置し、両舷計6箇所の補給ステーションを備える配置を踏襲しつつ、艦内における荷役・移送プロセスを全面的に新設計・自動化した。従来の天井クレーン方式から転換し、運搬通路の床面に埋設された転倒防止用レールをガイドに走行する電動式「サイドフォークトロリー」を導入したほか、糧食用冷蔵庫内には長円形レール上を動く自衛艦初の「循環式回転ラック」を完備し、庫内移送の完全自動化を達成した。推進機関には三井造船製「16V42M-A」ディーゼルエンジン2基(26,000馬力)を搭載し、無人化機械室(M0思想)の採用により22ノットの高速巡航性能と高い省力化を実現している。
運用実績と評価
1987年3月に1番艦「とわだ(AOE-422)」が就役したのを皮切りに、1990年に2番艦「ときわ(AOE-423)」、3番艦「はまな(AOE-424)」が相次いで制式配備され、前級さがみと合わせた「4群4艦」の洋上即応補給体制が完成した。制式採用以降、日本周辺海域における護衛艦隊の長期機動演習や各種共同訓練の支援に従事したほか、2000年代のテロ対策特別措置法に基づくインド洋補給支援行動へ派遣された。過酷な熱帯海域において、アメリカ海軍やイギリス海軍などの多国籍部隊艦艇に対して膨大な艦船用軽油、ジェット燃料、糧食、真水の洋上補給を長期間遂行し、極めて高い稼働率と優れたロジスティクス実効性を国際的に証明した。また、東日本大震災等の大規模災害派遣でも洋上補給拠点として機能した。艦齢35年を超えた現在も延命改修を受けながら現役で運用されており、海上自衛隊の遠洋展開能力を長年にわたり根底から支え続けた基幹アセットとして極めて高い評価を得ている。
| Official Name (正式名称) | とわだ型補給艦 / Towada-class replenishment ship |
| Country of Origin (開発国) | 日本 |
| Manufacturer (製造メーカー) | 日立造船 舞鶴工場(現:ジャパン マリンユナイテッド株式会社 舞鶴事業所) |
| Designed (設計年) | 昭和59年度(1984年度)計画において1番艦「とわだ」の基本設計・予算化が行われ(追加建造の2・3番艦は昭和62年度計画)、1番艦が1987年3月24日に竣工・就役したことで運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本: 海上自衛隊 水上艦隊隷下 第1水上補給隊 |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 1番艦「とわだ」:基準排水量 8,100 t / 満載排水量 12,100 t 2番艦以降(ときわ・はまな):基準排水量 8,150 t / 満載排水量 12,150 t |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | 全長 167.0 m × 最大幅(W) 22.0 m × 深さ(H) 15.9 m 喫水(D):1番艦「とわだ」 8.1 m / 2番艦以降「ときわ・はまな」 8.2 m |
| Propulsion (機関): | ディーゼル推進 / 三井造船製 16V42M-A ディーゼルエンジン 2基、2軸駆動、総出力 26,000 PS |
| Speed (速力): | 22 kt |
| Range (航続距離): | 非公開 |
| Complement (乗員数): | 約140名 |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | 対水上捜索レーダー(OPS-18-1 または OPS-28)、航海用レーダー(OPS-20) |
| Armament (兵装): | 12.7mm重機関銃M2を必要時にのみ舷側へ最大2挺設置可能 |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | 搭載機数:固有の有人艦載ヘリ・無人航空機は0機(常駐機はなし) ヘリコプター運用能力:船体後部に広大なヘリコプター発着艦甲板を装備、ただし、固定の格納庫や整備設備は持たず、他艦からのヘリによる物資受け入れ(VERTREP:垂直補給)に対応する能力 車両・貨物運搬能力:洋上補給用ポストを門型に3基(計6座)装備。液体物資(各種艦艇燃料、航空燃料、真水)および固体物資(弾薬、各種糧食、予備部品)の洋上移送に対応、液体物資の補給能力は片舷あたり1分間に約11 kl(キロリットル)を誇る。自動化倉庫や移送用フォークリフトなどの艦内高速移送装置を完備しており、一般的な車両・コンテナ輸送用の設計ではない |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
PR:関連商品
画像の引用元
- By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=100706934







