RCH 155 (Remote Controlled Howitzer 155 mm)

RCH 155 (Remote Controlled Howitzer 155 mm)

概要と開発の背景

RCH 155(Remote Controlled Howitzer 155mm)は、2000年代半ばから2010年代にかけてドイツのKrauss-Maffei Wegmann社(現 KNDS Deutschland)が開発し、2020年代より量産・配備が進められている155mm 52口径全自動無人砲塔型装輪式自走榴弾砲である。開発の背景には、同国の主力履帯(クローラー)式自走砲であるPzH 2000が誇る高い火力を維持しつつ、道路網を活用した長距離の戦術・戦略機動性と維持運用コストの削減を達成する次世代火砲システムに対する獲得ニーズが存在した。従来の履帯式自走砲は重装甲と高い悪路走破性を備える反面、重量過大によるトレーラー輸送の制約や維持運用コストの高さが課題となっていた。また、対砲兵レーダーが高度化した現代戦において、従来の牽引砲や車外操作型自走砲では陣地転換中に敵の即時反射を受ける危険性が高まっていた。これらを解決し、乗員2名という徹底した省力化を図りつつ、走行中の連続射撃が可能な革新的自走砲として本機が開発された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、全自動・無人のAGM(Artillery Gun Module)砲塔と、実績あるBOXER 8×8多目的装甲車用ドライブモジュールを統合している点にある。乗員2名(車長・操縦手)は防弾・対地雷およびNBC防護を備えた車体前部の装甲キャビン内に着座し、砲塔内へ入ることなく全自動火器管制システム(FCS)を介して遠隔操作で射撃を実施する。主砲にはPzH 2000と共通の155mm 52口径ライフル砲を搭載し、自動装填装置により毎分8発以上の高頻度射撃を全方位360度(アウトリガー不要)で達成する。最先端の技術的優位性は、反動吸収機構と先進の安定化制御系により、世界初となる「Firing on the Move(走行中の射撃)」能力を実現している点にある。また、同一目標へ異なる弾道で最大5発をほぼ同時に着弾させる同時弾着(MRSI)能力や、オプトロニクスを用いた直接照準射撃能力も備えており、敵の対砲兵砲撃を未然に回避する卓越した運用柔軟性を保持している。

運用実績と評価

2020年代からの本格導入に伴い、RCH 155は開発国であるドイツ連邦軍(主力装輪自走砲として導入枠組みが決定)をはじめ、イギリス軍(試作・検証プログラムでの導入決定)、およびウクライナ軍(ドイツ政府の軍事支援により合計54両調達)などで制式化・導入が進められている。実際の運用においては、2025年よりウクライナ軍への初号機引き渡しが開始され、実戦環境下における過酷な泥濘地走破性や敵の対砲兵射撃を回避する「走行射撃」性能が高く評価された。標準の155mm NATO弾薬で約40km、V-LAP等の射程延伸弾薬で約54km、さらにVULCANOやExcalibur等の精密誘導砲弾により70kmから80km超の長距離精密攻撃が可能である。乗員の生命リスクを極限まで低減した無人砲塔構造と高い戦術機動性が評価され、現代の装輪自走砲における最高峰モデルとして各国防衛機構から注視されている。

Official Name (正式名称)RCH 155 (Remote Controlled Howitzer 155 mm)
Country of Origin (開発国)ドイツ
Manufacturer (製造メーカー)KNDS Deutschland
Designed (設計年)設計・開発は製造元であるKrauss-Maffei Wegmann(現KNDS Deutschland)によって2014年から2024年にかけてプロトタイプの構築やシステム統合が進められた。運用開始年については、本国ドイツ軍が2025年12月に正式発注し2027年以降の本格導入を予定しているほか、イギリス軍へのデモンストレーター車の引き渡しや初期配備が2028年から始まる予定である。なお、世界で最初の実質的な運用国となる予定のウクライナ軍向け車両は当初2025年前半の引き渡し計画であったが、独自の戦場管理システムとの統合プロセス等の影響で数ヶ月以上の遅延が生じている。
Primary Operators (主な運用組織)ウクライナ:ウクライナ軍(最初の調達国として54門を契約・順次導入中であり、実戦環境下における戦闘適合テストが既に開始されている)
ドイツ:ドイツ連邦軍(2025年12月に500門の枠組み協定のうち、初期84門を正式発注し、2027年からの本格部隊配備に向け試験・訓練運用を実施中)
イギリス:イギリス陸軍(王立砲兵連隊向けに総計72門を正式発注し、2028年の初期デモンストレーター車受領に向けたプロセスを進行中)
スイス:スイス陸軍(次世代装輪自走砲として、RCH 155と同一の完全自動無人砲塔AGMをPiranha IV車体に搭載した派生・姉妹モデルであるDONAR 10×10を32門公式契約し導入中)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)2名(車長、操縦手/砲手兼用。高度な完全自動化により2名のみでの戦闘運用が可能)
Combat Weight (戦闘重量)39,000 kg未満(約85,980 lb未満)
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)W: 2.99 m(約9 ft 10 in)
L: 10.50 m(約34 ft 5 in)
D: 3.60 m(約11 ft 10 in / ※車体ルーフ高。砲身を含む全長Lは10.50m、全幅Wは2.99m、全高Dは3.60m)
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)Modular composite armor(モジュラー式複合装甲。ベースのBoxer装甲車モジュールに準じた高い防弾・防爆・破片防護性能を備える)
Main Armament (主武装)155mm / 52口径(8,060mm / 約317.3 in) L52 Main Gun × 1門(PzH 2000自走砲の主砲システムをベースとしたNATO-JBMoU規格適合砲)
Secondary Armament (副武装)Optional Remote Controlled Weapon Station (RCWS / オプション搭載式リモートウェポンシステム。7.62mm機関銃や12.7mm重機関銃、40mm自動グレネードランチャー等を選択可能)
Engine (エンジン出力 hp/kW)MTU V8 199TE20/21 Diesel(出力:最大 600 kW / 815 hp)
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地):100 km/h 以上(約62 mph 以上)
Unpaved (不整地):不明
Operational Range (航続距離)700 km 以上(約435 mi 以上 / 整地・道路上)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By KMW – https://www.kmweg.de/fileadmin/user_upload/Bilddownloads/KMW-RCH155-02.jpg, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=123088149

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