Polaris Sportsman 500 / Sportsman MV7

ニューヨーク空軍州兵 第106救難航空団 第106警備中隊 (MV7)
ニューヨーク空軍州兵 第106救難航空団 第106警備中隊 (Sportsman 500)

概要と開発の背景

Polaris Sportsman 500(ポラリス・スポーツマン 500)およびその発展型軍用モデルであるPolaris Sportsman MV7(ポラリス・スポーツマン MV7)は、アメリカのPolaris Inc.(現 Polaris Government & Defense)が開発した全地形対応車(ATV)である。まず1996年に民生用・産業用として開発されたSportsman 500は、独立後輪サスペンションと高い路面踏破性能を備えていたことから、アメリカ陸軍をはじめとする各国の軍事組織や治安機関において標準型軽量四輪ATVとして採用された。しかし、2000年代初頭の対テロ戦争が本格化すると、山岳地帯や砂漠などの厳しい環境下での戦術作戦において、民生流用機体では資材の積載能力や機体の機械的耐久性、長距離航続力に限界が生じる事例が報告された。こうした野外運用上のニーズを受け、Polaris社は民生モデル「Sportsman 700」の基本構造を根底から見直し、軍用規格の強化フレーム、前後Warn製ウインチ、デュアル燃料タンクなどを最初から標準装備したミリタリー専用仕様「Sportsman MV7」を2004年に開発し、2005年より本格的な配備を開始した。

構造と技術的特徴

構造上の技術的特徴として、Sportsman 500は499 cc 水冷4ストロークSOHC単気筒エンジンと自動無段変速機(PVT)を搭載し、独立後輪サスペンション(IRS)とオンデマンド型全輪駆動(On-Demand True AWD)の組み合わせにより、凹凸の激しい不整地でも車輪を確実に接地させる走破性能を確保している。これに対し、軍事専用モデルとして設計されたSportsman MV7は、683 cc Liberty水冷V型2気筒ガソリンエンジンを採用し、悪路での走破性を一段と引き上げた。MV7の最大の特徴は、前後に分割配置された合計8.75ガロン(約33.1 L)のデュアル燃料タンク構造にあり、補給基地から離れた前線領域での優れた自律航続能力を実現している点にある。さらに、車体前後には極めて頑牢な高強度のミリタリースチール製キャリアラックを装着し、フロント150 lb(約68 kg)、リア300 lb(約136 kg)の積載能力と1,500 lb(約681 kg)の牽引能力を付与した。加えて、自力脱出や障害物開拓を可能とする牽引力2,500 lb(約1,134 kg)のWarn製ウインチを車体の前後に標準装備し、軍用車両にふさわしい機能拡張が施されている。

運用実績と評価

運用実績において、Sportsman 500はアメリカ陸軍の標準ATVとして各種演習や警備タスクで運用されたほか、デンマーク陸軍などのNATO加盟国でも国際平和維持活動(INTOPS)や地上訓練用アセットとして制式配備された。一方、純軍用モデルのSportsman MV7は、アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)等の各部隊に導入され、過酷な山岳地帯や不整地における戦術偵察、部隊連絡、通信機材および物資の輸送、さらには傷病者の後方搬送タスクにおいて実用性の高さを実証した。両機ともCH-47輸送ヘリコプターやMV-22ティルトローター機等の貨物室への機内格納(Internal Aircraft Transportable)や機体吊り下げ輸送に対応しており、空中機動部隊が展開先で素早く地上機動へ移行するための足回りとして極めて高い評価を受けた。Sportsman 500およびMV7で構築された軍用ATVの運用概念や技術ノウハウは、その後の後継機であるSportsman MV850や多人数乗車型超軽量戦術車両(MRZRシリーズ)の開発へと直結し、現代の軍用軽量全地形対応車両におけるパイオニアとしての位置付けを確固たるものにしている。

Official Name (正式名称)Polaris Sportsman 500 / Sportsman MV7
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)Polaris Inc.(現 Polaris Government & Defense)
Designed (設計年)Polaris Sportsman 500は1996年に設計され同年に運用が開始された一方、軍事専用モデルであるSportsman MV7は2004年に設計・選定され2005年より本格的な運用が開始された。
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)等において戦術偵察・長距離連絡・不整地物資輸送用途でSportsman 500およびSportsman MV7を運用
デンマーク:デンマーク陸軍(国際平和維持活動[INTOPS]派遣部隊およびデンマーク機甲学校[Training Area Oksboel]等において訓練・機動用途でSportsman 500を運用)
オーストラリア:オーストラリア陸軍(特殊部隊[SF]および軽歩兵部隊等においてポイント・オブ・エントリー作戦や部隊再補給、患者搬送用途でSportsman 500 6×6/4×4等を運用)
ポーランド:ポーランド軍(特殊部隊[JW GROM等]において特殊作戦・不整地機動用途でSportsman MV7等のミリタリー仕様モデルを運用)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)乗員 1名
Combat Weight (戦闘重量)Sportsman 500: 車両装備重量: 367 kg (813 lb) / 乾燥重量: 324 kg 〜 351 kg (715 lb 〜 773 lb)
Sportsman MV7: 乾燥重量: 450 kg (992 lb) / 車両総重量: 771 kg (1,700 lb)
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)Sportsman 500:
W: 1.22 m (48 in)
L: 2.11 m (83 in)
H: 1.19 m (47 in)

Sportsman MV7:
W: 1.19 m 〜 1.22 m (47 in 〜 48 in)
L: 2.26 m (89 in)
H: 1.27 m 〜 1.30 m (50 in 〜 51 in)
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)None (高強度スチールフレーム構造、アンダーボディ・スキッドプレート / Full Skid Plate, Heavy-Duty Bumpers, A-Arm Protection 装備)
Main Armament (主武装)None
Secondary Armament (副武装)None
Engine (エンジン出力 hp/kW)Sportsman 500: Polaris ProStar 499 cc 水冷4ストロークSOHC単気筒ガソリンエンジン 1基 / 出力: 33 hp (33 PS / 約 25 kW)
Sportsman MV7: Liberty 683 cc 水冷4ストロークV型2気筒ガソリンエンジン 1基 / 出力: 不明
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地): 約 80 km/h 〜 90 km/h (約 50 mph 〜 56 mph) ※Sportsman 500公表値
Operational Range (航続距離)不明 (燃料タンク容量: Sportsman 500: 17.0 L [4.5 gal] / Sportsman MV7: 合計 33.1 L [8.75 gal])

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. Photo: Staff Sgt. Christopher S. Muncy / U.S. Air National Guard (VIRIN: 160818-Z-SV144-014 / Photo ID: 2801585 / Public Domain)
  2. Photo: Sara Goodeyon / U.S. Army Corps of Engineers (VIRIN: 210624-A-VS667-001 / Photo ID: 6707247 / Public Domain)
  3. Photo: Cpl. Richard Blumenstein / U.S. Marine Corps (VIRIN: 090219-M-5023B-004 / Photo ID: 159712 / Public Domain)
  4. By Senior Airman Julianne Showalter – VIRIN: 090507-F-5957S-110, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12738063

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