
概要と開発の背景
Landing Craft Air Cushion(LCAC:エア・クッション型上陸用舟艇)は、1970年代末から1980年代にかけてアメリカ合衆国のTextron Marine & Land SystemsおよびAvondale Gulfport Marine等で開発され、1986年にアメリカ海軍へ就役したエアクッション型揚陸艇である。従来のLCMやLCUといった排水量型の揚陸艇は、航行速度が10ノット前後と遅く、上陸可能な海岸が世界沿岸の約15%に限られるという大きな課題を抱えていた。また、水上脅威や沿岸防備の高度化に伴い、揚陸艦隊を沿岸から離れた沖合(水平線外:Over-The-Horizon)に配置し、そこから迅速に部隊や重装備を直接海岸線奥深くへ送還する新たな水上機動構想が強く求められた。こうしたニーズに応える「JEFF」実験艇プロジェクトの成果を踏まえ、全天候型かつ超高速の上陸用舟艇として量産化が進められ、1982年より建造が開始された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、船体周囲に装着されたゴム被覆ナイロン製の柔軟なスカート内部へ高圧空気を送り込み、船体を水面や地上から浮上させるエアクッション構造を採用している点にある。主要構造体には耐食性に優れた軽量アルミニウム合金が多用され、軽量化と高い耐久性を両立させている。機関部にはTextron Lycoming(現Vericor Power Systems)製TF40Bガスタービンエンジン4基(合計約16,000馬力)を完備し、2基でリフトファンを駆動して浮力を生成し、残り2基でダクテッド・シュラウド付き可変ピッチプロペラを駆動して推力を得る。従来の排水量型舟艇と異なり、水上だけでなく泥濃地や湿地、傾斜地などの陸上へ直接乗り上げて揚陸作業を行える。これにより世界沿岸の約70%以上へ直接上陸可能となり、最大60トン(過荷重時75トン)の積載能力によりM1A2エイブラムス主力戦車1両または車両群を一度に高速輸送できる構造的アプローチが組み込まれている。
運用実績と評価
1986年の初号機導入以降、アメリカ海軍およびアメリカ海兵隊の機動揚陸部隊において主力水上輸送アセットとして制式運用されている。また、海外同盟国としては日本の海上自衛隊(おおすみ型輸送艦の搭載艇として計6隻)に導入・配備された。アメリカ海軍では強襲揚陸艦(LHD/LHA)やドック型輸送揚陸艦(LPD)、ドック型揚陸艦(LSD)のウェルドックに収容されて世界各地へ展開した。1990年以降のペルシャ湾での作戦展開や、2004年のスマトラ沖地震後の大規模救援活動、東日本大震災における「トモダチ作戦」での物資・重機輸送に至るまで、軍事・人道支援の両面で多大な成果を挙げた。旧式舟艇と比較して、40ノット以上の圧倒的な超高速性と、水際にとどまらず陸上の集積地まで直接乗り入れ可能な着岸能力が高次元で具体的に評価された。艦齢延長プログラム(SLEP)による近代化改修を経て運用が継続されており、後継であるShip-to-Shore Connector(SSC / LCAC-100級)への順次引き継ぎが進みつつも、現代の強襲揚陸と水上機動展開力の要として不変の位置づけを保っている。
| Official Name (正式名称) | LCAC(Landing Craft Air Cushion) |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Textron Marine and Land Systems / Avondale Gulfport Marine |
| Designed (設計年) | 1970年代にアメリカ海軍とアメリカ海兵隊によって次世代揚陸艇として設計・開発が進められ、1984年に1番艇が就役し運用開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ海軍 (第4突撃艇隊 [ACU-4]、第5突撃艇隊 [ACU-5]、第7海軍ビーチ・ユニット [NBU-7]) 日本:海上自衛隊(掃海隊群 第1輸送隊 ※1号型の名称で運用) 大韓民国:大韓民国海軍、派生品:LSF-II(ソルゲ型) |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 166.6 tons |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | L: 26.80m / W: 14.33m / D: 0.78m |
| Propulsion (機関): | 4x Avco Lycoming TF40B, 4,390 shp (3,270 kW) each |
| Speed (速力): | 40+ knots |
| Range (航続距離): | 200 nmi at 40 kn |
| Complement (乗員数): | 5 |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | なし |
| Armament (兵装): | 2x M240B machine guns. Gun mounts : Mk 19 Mod 3 40 mm grenade launcherの追加装備が可能 |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | M1エイブラムスであれば1両、Strykerであれば4両、AAV7装甲兵員輸送車であれば3両(増加装甲キットを装着した状態なら2両)、M198 155mm榴弾砲であれば2門 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Michael Starkey – この画像データはアメリカ合衆国海軍が ID 080827-N-5681S-037 で公開しているものです。العربية ∙ বাংলা ∙Bahaso Jambi ∙Deutsch ∙ Deutsch (Sie-Form) ∙ English ∙ español ∙ euskara ∙ فارسی ∙ français ∙ italiano ∙ 日本語 ∙ 한국어 ∙ македонски ∙ മലയാളം ∙ Plattdüütsch ∙ Nederlands ∙ polski ∙ پښتو ∙ português ∙ русский ∙ slovenščina ∙ svenska ∙ Türkçe ∙ українська ∙ 简体中文 ∙ 繁體中文 ∙ +/−, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8201775による

