Jackal 2 High Mobility Weapons Platform / Supacat HMTV 400

Jackal 2

概要と開発の背景

Jackal 2(ジャッカル2)は、2000年代後半にイギリスの防衛企業であるSupacat(SC Group)が開発した4×4輪駆動の高機動兵器プラットフォーム(HMWP: High Mobility Weapons Platform)および戦闘・偵察車である。同社が設計したHMT 400(High Mobility Transporter 400)シャーシをベースとしており、初期型であるJackal 1(MWMIK: Mobility Weapon-Mounted Installation Kit)の戦場での運用評価に基づいて改良が施された。開発が開始された背景には、イラク作戦およびアフガニスタン作戦(Operation Herrick)において、イギリス陸軍が過酷な砂漠や急峻な不整地を高速で移動し、長距離哨戒、車列警護、火力を伴う機動強襲を迅速に行える高機動アセットを緊急に求めていた経緯が存在する。従来運用されていたLand RoverベースのWMIK(Weapon-Mounted Installation Kit)は、車載重量、機動力、即席爆発装置(IED)からの防護力に限界を抱えており、敵の弾幕や爆発物の脅威が多発する前線環境への適応が困難であった。これに対応するため、イギリス国防省はSupacatおよび生産を担当するBabcock Land Defenceと連携し、積載能力、防御力、火力の交戦範囲を拡張した改修型プラットフォーム「Jackal 2」の調達を決定した。

構造と技術的特徴

Jackal 2の構造における最大の技術的特徴は、Supacatが独自開発した可変高独立エアサスペンション(空気圧式サスペンション)システムと中央フレーム構造を組み合わせたシャーシ設計にある。各車輪にはダブルウィッシュボーン式サスペンションとダブルショックアブソーバーが配備され、地上高を約0.5mまで調整可能とすることで、岩場や砂地などの極めて過酷な不整地における圧倒的な走破性と、高速走行時の操作安定性を両立させている。パワートレインには、Cummins製の6.7リットル(一部仕様では5.9リットル)ターボディーゼルエンジンとAllison製5速自動変速機が組み合わされ、総重量約6.6〜6.7トンの車体を路上最高速度130km/hまで加速させる性能を備える。車体は視界を確保するオープン・トップ構造を採用しており、搭乗員に優れた状況把握能力(Situational Awareness)を提供する。防護性能面では、Jankel Armouring Ltd.が設計した装甲パッケージと爆風緩衝シートが採用され、車体底部からの爆風脅威に対する生存性が高められている。前級のJackal 1からの重要な変更点として、主武装リング(ガンリング)の位置が前方へ移設されたことで全周360度の広範な射撃領域が確保され、乗員数も従来の3名から最大4名(操縦手、車長、砲手、追加乗員)へと増強された。

運用実績と評価

Jackal 2は、イギリス陸軍の王立装甲軍団や歩兵部隊、イギリス空軍連隊(RAF Regiment)、ならびにイギリス海兵隊(Royal Marines)に制式採用され、初期型のJackal 1や大型派生車であるCoyote 6×6 TSVとともに配備された。実戦においては、アフガニスタン紛争(ヘリック作戦)のヘルマンド州などにおける過酷な広域偵察や警戒任務へ集的に投入された。IED攻撃のリスクが高い主要な舗装道路を避け、道なき過酷な不整地を高い機動速度で走破する戦術運用が可能となった点が高く評価された。イギリス軍での運用のほか、エストニア国防軍の特殊部隊がアフリカ・マリでの治安維持作戦においてイギリス軍から貸与された本車を運用した実績も存在する。戦場からのフィードバックに応じ、防護装甲を強化したJackal 2Aや、車軸追加機能を備えたモジュール構造への派生、さらには最新型のJackal 3(HMT Extenda Mk3)へと技術的発展が続けられている。広大な過酷環境において長距離自立運用が可能な機動性と展開力を有する軽装甲打撃・偵察アセットとして、現在も統合陸上作戦の一翼を担っている。

Official Name (正式名称)Jackal 2 High Mobility Weapons Platform / Supacat HMTV 400
Country of Origin (開発国)イギリス
Manufacturer (製造メーカー)Supacat (開発・主契約者) / Babcock Marine (Devonport Dockyard / 共同量産・製造担当)
Designed (設計年)設計年(契約・開発年)は2008年から2009年(イギリス国防省による発注および初期型Jackal 1からの改良設計・開発年)であり、運用開始年は2009年(7月〜8月にイギリス軍での運用および配備が開始された年)である
Primary Operators (主な運用組織)イギリス:イギリス陸軍(王立機甲軍団(RAC)所属の偵察連隊、各歩兵大隊の機動支援中隊、王立砲兵連隊、イギリス空軍連隊(RAF Regiment)等において高機動兵器プラットフォーム・巡察車として配備・運用)、イギリス海軍(SBS: Special Boat Serviceにて運用)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)3名 (Driver, Commander, Gunner) + 兵員輸送数: 1名 (最大4名)[※Jackal 2 で後部スペースが拡張され追加乗員1名の搭乗が可能]
Combat Weight (戦闘重量)約 6,650 kg – 6,750 kg (6.65 – 6.75 tonnes / 7.33 – 7.44 short tons / 14,660 – 14,880 lb) [※最大許容総重量 (GVW) は約 7,000 kg (7.0 tonnes / 15,430 lb)]
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)L (全長): 5.39 m (212 in / 17.7 ft) [※車体全長(固定火器の突出し部含まず)]
W (全幅): 2.00 m (78.7 in / 6.6 ft) [※サイドミラーおよび追加オプション展開前の車体幅]
D (全高): 1.97 m (77.6 in / 6.5 ft) [※ルーフ上部マウント・武装未搭載時の車体高] / 武装マウント部格納時: 2.00 m (78.7 in / 6.6 ft)
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)Plasan Composite Armor Kits / Appliqué Armor (イスラエル Plasan 社製複合装甲モジュール)
Blast-protected Chassis / Mine-blast Armor (地雷および即席爆風装置 (IED) に対抗する底面・シャーシ強度の防護強化構造)
※爆発反応装甲(ERA)は非搭載 [※車体側面に小型ドアー・装甲パネルの装着が可能]
Main Armament (主武装)1x 12.7 mm M2HB Heavy Machine Gun または1x 40 mm Heckler & Koch GMG (Grenade Machine Gun) を前方へオフセット配置され 360 度全周射撃が可能な主旋回ガンリングに搭載
Secondary Armament (副武装)1x 7.62 mm L7 GPMG (General Purpose Machine Gun) ※助手席・車長用フロントマウントに搭載
Engine (エンジン出力 hp/kW)Cummins ISBe 5.9-litre 6-cylinder Turbocharged Diesel Engine
出力: 138 kW (185 hp / 185 bhp) [※トランスミッションは Allison 2500 5速全自動変速機、可変車高調整式エアサスペンションを装着]
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地): 約 129 km/h – 130 km/h (80 mph – 81 mph)
Unpaved (不整地): 約 89 km/h (55 mph)
Operational Range (航続距離)Paved (整地): 約 800 km (500 mi) [※補助燃料タンク(50L)使用時最大: 約 1,000 km (620 mi)]

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Airwolfhound from Hertfordshire, UK – Jackal, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=126730558
  2. By Airwolfhound from Hertfordshire, UK – Jackal, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=126730555
  3. By Photo: Cpl Ian Houlding/MOD, OGL v1.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26913035
  4. By Airwolfhound from Hertfordshire, UK – Jackal, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=126730557
  5. Photo by Corporal Nathan Tanuku / UK MOD via Defence Imagery (Filename: AHQCPL11-OFFICIAL-20230510-025-068.jpg / Crown Copyright 2023)

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