ひうち型多用途支援艦 / Hiuchi-class support ship

Hiuchi-class support ship
Hiuchi-class support ship

概要と開発の背景

ひうち型多用途支援艦は、2000年代初頭(平成11年度〜平成16年度計画)に日本の防衛庁(現・防衛省)および日本鋼管株式会社(現:ジャパン マリンユナイテッド株式会社)、ユニバーサル造船株式会社、三井造船株式会社によって開発・建造され、2002年(平成14年)より海上自衛隊へ導入された多用途支援艦(AMS)である。海上自衛隊では、1960年代末から1970年代にかけて整備された旧式の「81号型特務艇(ASU)」が老朽化に伴い更新時期を迎えていた。従来の特務艇は小型(基準排水量約480トン)であり、射撃訓練の標的曳航能力や救難・物資輸送能力に制限が存在した。また、自走不能となった大型護衛艦や補給艦(AOE)などの大型艦艇を曳航できる強力な洋上曳航能力、ならびに大規模災害や離島災害派遣における物資輸送支援など、多角的な支援能力を併せ持つ次世代アセットへの転換が強く求められた。これを受け、従来の特務艇の枠組みを超えた全天候型の多目的支援プラットフォーム(計画時名称:980トン型多用途支援艦)として開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、民間オフショア市場で実績のあるサプライボート(作業船)の設計思想を取り入れ、前部船首楼型船体に広い木甲板仕様の後部作業デッキを備える点にある。前級81号型特務艇(約480トン)から980トン(満載約1,400トン)へと艦体を拡大し、強力なトウイング(曳航)ウインチを装備することで、自衛隊最大の補給艦をも曳航できる優れた曳航能力を獲得した。推進機関にはダイハツディーゼル株式会社(Daihatsu Diesel Mfg. Co., Ltd.)製「6DKM-28」ディーゼルエンジン2基(計5,000馬力)を搭載し、バウスラスターや可変ピッチプロペラとの組み合わせにより、過酷な洋上環境下でも優れた保形・定置操縦性能を発揮する。また、デッキクレーンを備え、自走式水上標的「バラクーダ」の展開・回収や車両・物資の自力荷役を可能にした。なお、4番艦「げんかい」以降の後期建造艦では、アンチローリングタンク(減揺水槽)や潜水艦訓練支援用の水中電話が追加搭載されている。

運用実績と評価

2002年3月に1番艦「ひうち(AMS-4301)」が就役して以降、2008年までに同型艦計5隻(ひうち、すおう、あまくさ、げんかい、えんしゅう)が順次制式配備され、横須賀、呉、舞鶴、佐世保、大湊の5個地方隊(警備隊)へ各1隻ずつ配備された。制式採用以降、艦艇の水上射撃や魚雷発射訓練における標的曳航・回収支援、退役艦(標的艦)の処分海域までの曳航任務を日常的に遂行した。実際の運用においては、2011年の東日本大震災における福島第一原子力発電所冷却用真水バージの緊急曳航や被災地物資輸送、災害時の入浴・充電支援、ならびに外国艦艇の警戒監視任務に至るまで極めて広範な多用途性を具体的に証明した。優れた曳航力と作業デッキの拡張性を活かした支援実効性は高く評価され、2026年3月の組織改編に伴い全艦が新編の「第1水上訓練支援隊」へ集約されるなど、現代の海上自衛隊において艦隊訓練と沿岸警備・災害派遣を影で支える極めて重要な立ち位置を占めている。

Official Name (正式名称)ひうち型多用途支援艦 / Hiuchi-class support ship
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)三井造船 玉野事業所(※1番艦「ひうち」はユニバーサル造船 鶴見工場〈旧:日本鋼管 鶴見造船所〉で建造。2番艦以降の「すおう」「あまくさ」「げんかい」「えんしゅう」は三井造船玉野事業所で建造)
Designed (設計年)平成11年度(1999年度)計画において基本設計・予算化が行われ、1番艦「ひうち」が2002年3月27日に竣工・就役して運用を開始した補助艦艇
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊 水上艦隊隷下 第1水上訓練支援隊
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量 980 t / 満載排水量 1,400 t
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水全長 65.0 m × 最大幅(W) 12.0 m × 深さ(H) 5.8 m × 喫水(D) 3.5 m
Propulsion (機関):ディーゼル推進、新潟鐵工所(現:新潟原動機)6MG28HX ディーゼルエンジン 2基2軸駆動、総出力 5,000 PS
Speed (速力):15 kt
Range (航続距離):非公開
Complement (乗員数):約40人
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):OPS-20 航海用レーダー ×1基、OAX-2 赤外線暗視装置(※後期型3隻には水中通話機などの潜水艦訓練支援用センサーも搭載)
Armament (兵装):固定武装はなく、必要に応じて艦橋両舷の銃架に12.7mm機関銃M2を設置
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
搭載機数:固有の有人艦載ヘリ・無人機は0機(航空機運用能力なし)
ヘリコプター運用能力:なし(飛行甲板、発着艦能力は非装備)
車両・貨物運搬能力:後部甲板に広い作業デッキとデッキクレーン(能力:約5.2〜5.3トン)を備え、災害時や物資輸送時には2tトラックや電力復旧車両、救援物資などの積載・揚降能力を有する。また、訓練支援用の自走式水上標的(バラクーダ)などを搭載・運用可能。

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Sengoku2501 – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=118818155

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