



概要と開発の背景
てんりゅう(JS Tenryū, ATS-4203)は、1990年代後半に日本で計画され、住友重機械工業浦賀造船所で建造された海上自衛隊の訓練支援艦(ATS)である。海上自衛隊では、水上艦艇の対空射撃訓練や各種ミサイル評価試験を支援するため、高速無人標的機を発射・管制する専用の訓練支援艦を運用してきた。1960年代末に配備された初代訓練支援艦「あづま(42ATS)」の老朽化に伴い、その更新・代替ニーズから開発がスタートした。先行して導入されていた前級「くろべ(61ATS)」の基本設計や運用実績を踏まえつつ、より高度化する対空ミサイルや誘導兵器の評価試験に対応するため、複数機の同時管制能力と速力向上を図った機能向上型として平成9年度(1997年度)計画にて建造が決定された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、前級「くろべ」の長船首楼型船体レイアウトを踏襲しながらも、最大4機もの高速無人標的機(BQM-34AJ ファイアービーやBQM-74E チャカIII等)を同時に追尾・管制できる高度な対空射撃訓練支援装置を統合している点にある。艦橋上部構造物には4面固定式フェーズドアレイ・レーダーやドーム型テレメーターアンテナが配置され、全周囲での精密なデータ伝送と追尾を実現している。パワートレインには新潟鐵工所(現IHI原動機)製8MG28HXディーゼルエンジン4基(出力12,800馬力)によるCODAD方式を採用し、最高速力を前級より向上させた22ノットに設定した。さらに、海上に着水した標的機を安全かつ確実に回収するため、自衛艦として初めてスリッピング・クラッチを導入し、微速航行時における優れた操縦性と作動安定性を確保している。
運用実績と評価
2000年3月の就役以降、日本の海上自衛隊(呉基地を母港とする水上艦隊隷下の訓練支援部隊等)において主要な対空訓練支援アセットとして運用されている。護衛艦部隊が実施する実艦的対空射撃訓練や新装備の評価試験において、高速標的機の発射・誘導および着水後の回収・整備任務を安定して遂行し、防空戦闘能力の維持・向上に不可欠な役割を果たしている。日常的な訓練支援にとどまらず、2011年の東日本大震災における大規模な救援活動や周辺海域での警戒監視行動など、緊急時には支援艦艇の機動性を生かした多角的な任務にも投入された。前級と比較して自動化・省力化が進み乗員数が約15名削減されたほか、女性自衛官の搭乗に対応した船内環境が整備された点も含め、現代的な艦艇運用に即した基幹アセットとして高い信頼を獲得している。
| Official Name (正式名称) | てんりゅう (訓練支援艦)/ JS Tenryū |
| Country of Origin (開発国) | 日本 |
| Manufacturer (製造メーカー) | 住友重機械工業 浦賀造船所 |
| Designed (設計年) | 平成9年度(1997年度)計画において計画・設計され、2000年3月17日に竣工して運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本: 海上自衛隊 護衛艦隊 第1水上訓練支援隊 |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 基準排水量 2,450 t / 満載排水量(公式非公表。各種資料に基づく推算値は約2,900 t〜2,950 t前後) |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | 全長 106 m × 最大幅(W) 16.5 m × 深さ(H) 8.6 m × 喫水(D) 4.1 m |
| Propulsion (機関): | ディーゼル推進、新潟鐵工所 8MG28HX ディーゼルエンジン 4基2軸駆動、出力 12,800馬力 |
| Speed (速力): | 22 kt(約41 km/h) |
| Range (航続距離): | 非公開 |
| Complement (乗員数): | 約140人(※公式定員は170名、近年の防衛省公式実数要目では約140人) |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | 対空射撃訓練支援装置一式(イージス艦への支援を考慮したテレメータ空中線等の誘導・評価管制システム、最大4発のミサイル同時評価能力)、OPS-28 対水上捜索レーダー、81式射撃指揮装置2型(FCS-2-21C/D) |
| Armament (兵装): | 艦砲:62口径76mm単装速射砲 ×1基 |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | 搭載機数:搭載機数:無人標的機(BQM-34AJ 高速標的機ファイアー・ビー、および BQM-74E 無人標的機チャカIII)を各4機、計8機積載。 ヘリコプター運用能力:艦後部に標的機発射甲板を兼ねたヘリコプター発着甲板(飛行甲板)を備え、有人ヘリコプターの発着艦能力を有する(固有の有人艦載ヘリは0機)。 車両・貨物運搬能力:非装備(標的機運用・揚収クレーン等を除き、一般的な貨物や車両の積載・輸送能力は持たない)。 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
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- By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=76138547




