あわじ型掃海艦 / Awaji-class minesweeper

Awaji-class minesweeper
MSO-304 あわじ

概要と開発の背景

あわじ型掃海艦は、2010年代(平成25年度計画)から日本の防衛省およびジャパン マリンユナイテッド株式会社によって開発・建造され、2017年(平成29年)より海上自衛隊へ導入された新世代の掃海艦(MSO)である。海上自衛隊では、平成初期より深水深・深海域の機雷除去を担う掃海艦として木造船体の「やえやま型」を運用していた。しかし、やえやま型は艦体の老朽化が進んでいたことに加え、技術的な進化に伴いより深い海域へ敷設されるようになった複雑な感応機雷への対処が大きな課題となっていた。さらに、高度な加工技術と大径木材を要する従来の木造船体建造は、資材確保や維持コストの面で限界を迎えつつあった。これを受け、前級やえやま型の後継として、船体構造を最新の複合材料へと転換し、深海における機雷探知・処分能力と大幅な長寿命化を両立させた最新鋭の機雷戦アセットとして開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、伝統的な木造構造から脱却し、船体構造全体に新素材である繊維強化プラスチック(FRP)を採用した点にある。全長66.8m、基準排水量690トンに及ぶ船体は世界最大級のFRP製軍事艦艇であり、磁気機雷に反応しない非磁性構造と優れた耐久性・軽量化を実現している。前級やえやま型(基準排水量1,000トン)と比較して艦体は小型・軽量化されつつも、木造船の耐用年数(約20年)を約30年以上へと大幅に延伸させた。機雷捜索メカニズムにおいては、最新の可変深度ソナー(VDS)を備えた「OQQ-10 掃海艦ソーナーシステム」を搭載し、深水深海域での目標探知能力を高めている。さらに、自走式機雷処分用弾薬(EMD)や自律型水中無人機(UUV:OZZ-2 / OZZ-4)を標準装備し、乗員が危険海域へ直接接近することなく自律的かつ安全に機雷の探知から無効化までを完結させる最先端システムを備える。

運用実績と評価

2017年3月に1番艦「あわじ(MSO-304)」が就役して以降、2番艦「ひらど」、3番艦「えたじま」、4番艦「のうみ」、5番艦「けらま」など同型艦の建造が進められ、海上自衛隊の機雷戦部隊(水陸両用戦機雷戦群等)へ順次制式配備されている。実際の部隊運用においては、深海・重要海峡における機雷戦演習や各種実地訓練へ投入され、従来の掃海艦艇を凌駕する高い機雷捜索精度と無人機連携による処分実効性を具体的に証明した。自衛用の火器として、手動型から遠隔操作型の「20mm遠隔管制機関砲(JM61R-MS)」へ変更されたことで、安全な艦内から光学照準器を用いた精密な射撃が可能となった。また、災害派遣時には一部装備を陸揚げして支援物資用コンテナを搭載できる多用途性も確保されている。世界最高水準のFRP建造技術と無人化技術が統合された最新鋭の機雷戦プラットフォームとして極めて高い評価を獲得している。

Official Name (正式名称)あわじ型掃海艦 / Awaji-class minesweeper
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)ジャパン マリンユナイテッド(JMU)横浜事業所 鶴見工場
Designed (設計年)2010年代初頭から、深海に敷設された新型機雷への対処能力向上と、船体の長寿命化および磁気シグネチャー低減を目的とした海上自衛隊初となる大型FRP(繊維強化プラスチック)製掃海艦として設計が進められ、2014年に1番艦の建造を開始
2017年に1番艦「あわじ」が就役したことで、深海域における優れた機雷探知・処分能力を備えた最新鋭掃海艦としての本格的な運用が開始された艦艇である。
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊(水陸両用戦機雷戦群 機雷戦部隊 1番艦「MSO-304 あわじ」、2番艦「MSO-305 ひらど」、3番艦「MSO-306 えたじま」4番艦「MSO-307 のうみ」5番艦「MSO-308 けらま」の各艦を配備・運用中)
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量:690 t / 満載排水量:約 780 t
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水L: 67 m(全長) × W: 11.0 m(最大幅) × D: 2.7 m(深さ:5.2 m)
Propulsion (機関):ディーゼル方式、2x 新潟原動機 6AZ20G ディーゼル機関、2軸推進(および電動推進を併用)、出力:2,200 hp
Speed (速力):14 kt(約 26 km/h)
Range (航続距離):非公開(低磁性・軽量なFRP船体と効率的な巡航ディーゼルにより、優れた洋上航行性能を維持)
Complement (乗員数):約 50 名
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):ZQS-5 可変深度ソナー(VDS)システム
OPS-20G 対水上レーダー
Armament (兵装):艦砲:1x JM61R-MS 20mm多銃身機関砲(遠隔操作型)
OZZ-4 遠隔操作型機雷処分具、自走式機雷処分用弾薬
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
ヘリコプター運用能力および飛行甲板などは非装備
車両・貨物運搬能力:非装備(自艦用の機雷捜索・処分用機材、資機材以外の車両や貨物の運搬能力は持たない)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

PR:関連商品

¥4,950 (2026/07/24 16:19時点 | Yahooショッピング調べ)
楽天ブックス
¥4,620 (2026/10/26 09:31時点 | 楽天市場調べ)
画像の引用元
  1. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=107015847

上部へスクロール