えのしま型掃海艇 / Enoshima-class minesweeper

Enoshima-class minesweeper
MSC-606 はつしま

概要と開発の背景

えのしま型掃海艇は、2000年代末(平成20年度〜22年度計画)に日本の防衛省およびユニバーサル造船株式会社(現:ジャパン マリンユナイテッド株式会社)によって開発・建造され、2012年(平成24年)より海上自衛隊へ導入された第7世代の中型掃海艇(MSC)である。海上自衛隊では昭和期より、磁気機雷の感知を避ける目的で非磁性の木造構造を採用した掃海艇を継続的に整備してきた。前級である「ひらしま型」においても高度な国産機雷戦システムを備えた木造艇が整備されたが、良質な構造用大径木材の調達難航や、木造艇ゆえの船体老朽化に伴う高額な維持保守整備コスト(耐用年数約20年)が大きな課題となっていた。さらに、周辺海域における敷設機雷の多様化や長期運用の経済性が強く求められた。これを受け、従来の木造から強度と耐候性に優れる繊維強化プラスチック(FRP)製構造へと全面的に移行し、長寿命化とライフサイクルコストの削減を両立させた新世代のアセット(計画時名称: 20MSC)として開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、海上自衛隊の掃海艇として初めて船体および上部構造物にガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を採用した点にある。全長60.0m、基準排水量570トンに及ぶ船体は磁気に反応しない非磁性特性を維持しつつ、木造船体と比較して腐食や劣化に極めて強く、耐用年数を従来の約20年から約30年以上へと大幅に延伸させた。前級ひらしま型(全長57.0m)とほぼ同一の排水量や兵装配置を保ちつつ、FRP化による船体構造の最適化と腐食防止が図られている。機雷戦メカニズムには、国産の高周波アクティブ・ソナー「ZQQ-7」や、光ファイバー誘導式の自走式「S-10 機雷処分具」を統合した。自衛用火器には前級同様、艦内から遠隔操作可能な「JM61R-MS 20mm遠隔管制機関砲」を備え、ディーゼルエンジンと補助電動推進器を組み合わせた高度な微速保持・位置維持能力を備えている。

運用実績と評価

2012年3月に1番艇「えのしま(MSC-604)」が就役して以降、2013年に2番艇「ちちじま(MSC-605)」、2015年に3番艇「はつしま(MSC-606)」の計3隻が順次制式配備され、横須賀地方隊などの掃海部隊へ配備された。実際の部隊運用においては、陸奥湾や日向灘での機雷戦演習をはじめ、日本周辺海域における重要海峡の常時警戒監視や海上交通路の安全確保任務に従事している。現場運用においては、木造艇時代と比較して船体の水漏れや経年劣化に伴う補修作業が大幅に減少し、高い稼働率と整備容易性、優れた静粛性が具体的に高く評価された。本型で確立された大型FRP構造の建造技術および運用知見は、後続の深海対応型である「あわじ型掃海艦(MSO)」の設計基盤となった。木造掃海艇の歴史に終止符を打ち、海上自衛隊の機雷戦艇を現代的なFRP世代へと移行させた先駆けのアセットとして極めて重要な立ち位置を占めている。

Official Name (正式名称)えのしま型掃海艇 / Enoshima-class minesweeper
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)ユニバーサル造船 京浜事業所(現・ジャパン マリンユナイテッド)
Designed (設計年)2008年度計画において設計・予算化が行われ、2009年に1番艇の建造が開始された後、2012年3月21日に1番艇「えのしま」が就役したことで本格的な運用が開始された
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊(自衛艦隊 掃海隊群:第1掃海隊に3番艦「はつしま」を配備・運用中、また横須賀地方隊:第41掃海隊に1番艦「えのしま」および2番艦「ちちじま」を配備・運用中)
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量:560 t / 満載排水量:約 640 t
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水L: 57 m(全長) × W: 9.8 m(最大幅) × D: 2.6 m(深さ:4.4 m、喫水:3.0 m)
Propulsion (機関):CODOE方式、2x 三菱6NMUディーゼルエンジン + 2x 補助電動機、2軸推進、出力:2,200 PS
Speed (速力):14 kt(約 26 km/h)
Range (航続距離):非公開(低速での精密な自動定点保持能力・巡航能力を有する)
Complement (乗員数):約 45 名
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):ZQS-4 可変深度ソナー(VDS)システム
OPS-20B 航海用レーダー
OYQ-201 対機雷戦情報処理装置
Armament (兵装):艦砲:1x JM61-M 20mm多銃身機関砲(手動操作型)
S-10 遠隔操作型機雷処分具、機雷敷設装置
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
ヘリコプター運用能力および飛行甲板などは非装備
車両・貨物運搬能力:非装備(自艦用の機雷捜索・処分用機材、資機材以外の車両や貨物の運搬能力は持たない)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Sengoku2501 – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=170372762

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