






概要と開発の背景
すがしま型掃海艇は、1990年代半ば(平成7年度〜12年度計画)に日本の防衛庁(現・防衛省)および日本鋼管株式会社(現:ジャパン マリンユナイテッド株式会社)、日立造船株式会社によって開発・建造され、1999年(平成11年)より海上自衛隊へ導入された第5世代の中型掃海艇(MSC)である。海上自衛隊では、昭和末期から平成初期にかけて量産された木造掃海艇「うわじま型」の運用が進められていたが、1991年のペルシャ湾派遣(湾岸戦争後の機雷除去作戦)における実地経験から、浅海域のみならず中深水深に敷設された高度な感応機雷に対処する掃海・掃討能力の大幅な引き上げが急務となった。特に、従来の繋維掃海や音響・磁気掃海といった「掃海」方式から、高精度ソナーで機雷位置を特定して個別に無効化する「機雷掃討」重視へのシフトが強く求められた。これを受け、英国海軍のサンダウン級掃海艇で実績のあった欧州製の最新鋭機雷処分システムを積極的に統合・導入し、高い機雷処理精度を備えた次世代の沿岸機雷戦アセット(計画時名称: 07MSC)として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、磁気機雷に反応しない伝統的な木造(構造用集成材・ベイツガやベイマツ等)船体構造を維持しつつ、イギリスやフランスをはじめとする欧州の先進的な機雷処理メカニズムを取り入れた点にある。前級うわじま型(基準排水量490トン)から510トンへと艦体を拡大し、英国Thomson Marconi Sonar(現 Thales)製の可変深度ソナー(TYPE 2093)を自衛隊艇として初搭載した。これにより、水深の変化や海洋環境に左右されず、深水深に潜む機雷を正確に探知・識別する能力を獲得した。機雷処分システムにはフランスECA社製の自走式機雷処分具「PAP 104 MK 5」を採用し、遠隔操作による安全かつ確実な無効化処理を実現している。推進装置には、低速時の精密な位置保持と静粛性を高めるため、ウォータージェット推進器を備えた補助電動推進装置や可変ピッチプロペラを組み合わせるなど、高度な操縦性能と非磁性・静音化設計が具現化されている。
運用実績と評価
1999年3月に1番艦「すがしま(MSC-681)」および2番艦「のとじま(MSC-682)」が同時に就役して以降、2004年までに同型艦計12隻(つのしま、なおしま、とよしま、うくしま、いずしま、あいしま、あおしま、みやじま、ししじま、くろしま)が順次制式配備された。制式採用以降、日本周辺海域における重要海峡の警戒監視や機雷戦訓練に従事したほか、陸奥湾や日向灘での各種実地訓練で高い機雷探知・処分実効性を証明した。欧州製アセットの導入により、従来の国産システムと比較して深海水域での目標識別能力が画期的に向上した点が具体的に高く評価された。就役から20年以上が経過し、船体の木造耐用年数の到達に伴い順次退役や「ひらしま型」「えのしま型」、あるいは最新の「もがみ型護衛艦(FFM)」への任務引き継ぎが進められているが、日本の機雷戦能力を欧州先進水準へと引き上げた重要な技術的架け橋として高く評価されている。
| Official Name (正式名称) | すがしま型掃海艇 / Sugashima-class minesweeper |
| Country of Origin (開発国) | 日本 |
| Manufacturer (製造メーカー) | ユニバーサル造船 京浜事業所(現・ジャパン マリンユナイテッド)、日立造船 神奈川工場、三井造船 玉野事業所 |
| Designed (設計年) | 1990年代半ばから、湾岸戦争での教訓を踏まえた対機雷戦能力の刷新と深海域での処分能力向上を目的に、イギリス海軍のサンダウン級掃海艇のシステムを導入した新世代の木造中型掃海艇として設計が進められ、1996年に1番艦の建造を開始 1999年に1番艦「すがしま」が就役したことで、高度な自動化情報処理能力と精密な定点保持能力を備えた主力掃海艇としての本格的な運用が開始された艦艇 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本: 海上自衛隊(自衛艦隊 掃海隊群:第1掃海隊、第2掃海隊、第3掃海隊、または各地方隊(大湊・舞鶴・佐世保・呉・横須賀)の掃海隊において、現役の各艦を配備・運用中) 1番艦: MSC-681 すがしま (JS Sugashima) / 2番艦: MSC-682 のとじま (JS Notojima) / 3番艦: MSC-683 つのしま(JS Tsunoshima) / 4番艦: MSC-684 なおしま (JS Naoshima) / 5番艦: MSC-685 とよしま (JS Toyoshima) / 6番艦: MSC-686 うくしま (JS Ukushima) / 7番艦: MSC-687 いずしま (JS Izushima) / 8番艦: MSC-688 あいしま (JS Aishima) / 9番艦: MSC-689 あおしま (JS Aoshima) / 10番艦: MSC-690 みやじま (JS Miyajima) / 11番艦: MSC-691 ししじま (JS Shishijima) / 12番艦: MSC-692 くろしま (JS Kuroshima) |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 基準排水量:510 t / 満載排水量:約 590 t |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | L: 54 m(全長) × W: 9.4 m(最大幅) × D: 2.5 m(深さ:4.2 m) |
| Propulsion (機関): | ディーゼル方式、2x 三菱6NM-TA型ディーゼル機関、2軸推進(電動推進用の推進器およびバウスラスターを併用)、出力:1,800 hp |
| Speed (速力): | 14 kt(約 26 km/h) |
| Range (航続距離): | 非公開(精密な自動操船システムと連動した低速巡航能力を有する) |
| Complement (乗員数): | 約 45 名 |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | TYPE 2093 可変深度ソナー(VDS)システム OPS-20 航海用レーダー NAUTIS-M(またはNAUTIS-M-1)情報処理装置 |
| Armament (兵装): | 艦砲:1x JM61-M 20mm多銃身機関砲(手動操作型) PAP-104 Mk.5 遠隔操作型機雷処分具 |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | ヘリコプター運用能力および飛行甲板などは非装備 車両・貨物運搬能力:非装備(自艦用の機雷捜索・処分用機材、資機材以外の車両や貨物の運搬能力は持たない) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
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