ひらしま型掃海艇 / Harishima-class minesweeper

Harishima-class minesweeper
MSC-603 たかしま

概要と開発の背景

ひらしま型掃海艇は、2000年代半ば(平成15年度〜17年度計画)に日本の防衛庁(現・防衛省)およびユニバーサル造船株式会社(現:ジャパン マリンユナイテッド株式会社)によって開発・建造され、2008年(平成20年)より海上自衛隊へ導入された第6世代の中型掃海艇(MSC)である。海上自衛隊では、前級である「すがしま型」において欧州製の最新機雷戦システム(英国製可変深度ソナーやフランス製機雷処分具)を導入し、機雷処理能力を大幅に向上させていた。しかし、輸入アセットに依存することによる維持・運用コストの増大や、国内防衛産業における技術基盤の維持・向上、さらに迅速な自力整備体制の構築が課題となっていた。これを受け、すがしま型の運用実績と高度な技術を継承しつつ、システムの中核となる機雷探知用ソナーや機雷処分具、指揮統合システムなどの国産化を達成し、対感応機雷・対深水深機雷戦能力を完結させた新世代の機雷戦アセット(計画時名称: 15MSC)として開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、伝統的な非磁性木造船体(構造用集成材)を維持しながら、掃海・掃討アセットの徹底的な国産高度化を実現した点にある。前級すがしま型(基準排水量510トン)から570トンへと艦体を拡大し、耐候性と復原性を向上させている。戦闘システムには、新開発された国産の「ZQQ-7 掃海艇用ソナーシステム」を搭載し、高周波を用いて海底や海中に隠蔽された目標の形状を正確に描出する。また機雷処分機構には、国産の光ファイバー誘導式「S-10 機雷処分具」を初搭載し、遠隔操作により安全かつ高精度な機雷の無効化処理が可能となった。自衛火器には、手動操作の機関砲から遠隔操作型の「JM61R-MS 20mm遠隔管制機関砲」に変更され、艦内の安全な区画から光学照準器を用いて精密な射撃が行える。推進系にはディーゼルエンジンと補助電動推進器を組み合わせ、極めて精密な微速航行と位置保持メカニズムを備えている。

運用実績と評価

2008年3月に1番艇「ひらしま(MSC-601)」が就役して以降、2009年に2番艇「やくしま(MSC-602)」、2010年に3番艇「たかしま(MSC-603)」の計3隻が順次制式配備され、海上自衛隊の掃海隊群および地方配備部隊で運用が開始された。実際の部隊運用においては、陸奥湾や日向灘での機雷戦演習をはじめ、日米共同掃海特別訓練などに参加し、国産化されたZQQ-7ソナーとS-10処分具による優れた機雷探知・処分実効性を具体的に証明した。従来の輸入アセットと比較して国内での維持保守性やデータ共有機能が飛躍的に高まり、乗員の安全性と任務効率が向上した点が高く評価された。本型は海上自衛隊において伝統的に引き継がれてきた木造構造を採用した最後の掃海艇クラスとなり、後続のFRP(繊維強化プラスチック)船体を採用した「えのしま型」への直接の技術的基礎を築いた。現代においても、日本の主要海峡や沿岸海域の安全確保を支える重要な基幹アセットとして運用が続けられている。

Official Name (正式名称)ひらしま型掃海艇 / Harishima-class minesweeper
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)ユニバーサル造船 京浜事業所(現・ジャパン マリンユナイテッド)
Designed (設計年)2000年代初頭から、前型である「すがしま型」の優れた対機雷戦能力を継承しつつ、機雷処分具の国産化や居住性の向上、機雷敷設能力の復活などを盛り込んだ新型の木造中型掃海艇として設計が進められた。平成16年度(2004年度)計画において1番艦の建造が決定し、2005年に起工、2008年3月に1番艦「ひらしま」が就役したことで本格的な運用が開始された艦艇
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊(自衛艦隊 掃海隊群:第2掃海隊に1番艦 MSC-601「ひらしま」および3番艦 MSC-603「たかしま」を配備・運用中、また佐世保地方隊:佐世保掃海隊に2番艦 MSC-602「やくしま」を配備・運用中)
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量:570 t / 満載排水量:約 650 t
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水L: 54 m(全長) × W: 9.4 m(最大幅) × D: 2.5 m(深さ:4.2 m)
Propulsion (機関):CODOE方式、三菱6NMUディーゼルエンジン2基 + 補助電動機2基、2軸推進、総出力:2,200 PS
Speed (速力):14 kt(約 26 km/h)
Range (航続距離):非公開(CODOE方式の採用により、優れた低速巡航能力と燃費性能を両立)
Complement (乗員数):約 45 名
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):ZQS-4 可変深度ソナー(VDS)システム
OPS-20B 航海用レーダー
OYQ-201 対機雷戦情報処理装置
Armament (兵装):艦砲:1x JM61-M 20mm多銃身機関砲(手動操作型)
MN-M-2 遠隔操作型機雷処分具、機雷敷設装置
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
ヘリコプター運用能力および飛行甲板などは非装備
車両・貨物運搬能力:非装備(自艦用の機雷捜索・処分用機材、資機材以外の車両や貨物の運搬能力は持たない)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

PR:関連商品

画像の引用元
  1. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=160173265
  2. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=160172119
  3. By hygeta – 著作者から委譲, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=46423496

上部へスクロール