あさひ型護衛艦 (2代) / Asahi-class destroyer (Ⅱ)

Asahi-class destroyer
DD-120 しらぬい

概要と開発の背景

あさひ型護衛艦(2代)は、2010年代半ばに日本の防衛省の要求のもと、Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.(三菱重工業株式会社長崎造船所)によって開発・建造され、2018年(平成30年)より海上自衛隊へ導入された5,100トン級の汎用護衛艦(DD)である。海上自衛隊では、老朽化したはつゆき型やあさぎり型護衛艦の更新と、第2世代汎用護衛艦部隊の近代化が急務とされていた。前級にあたるあきづき型護衛艦(19DD)がイージス艦を補助する僚艦防空(LAD)能力に重点を置いたのに対し、広大かつ複雑な周辺海域における静音化潜水艦の脅威増大に対応するため、対潜戦(ASW)能力を極めて高く強化した艦艇の確保が求められた。これにより、あきづき型の優れた基本船体設計をベースにしつつ、高効率な新推進システムと先進的な潜水艦捜索機能を統合した第2世代汎用護衛艦の最終グループとして開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、海上自衛隊の護衛艦として初めてガスタービン・電気複合推進(COGLAG方式)を採用した点にある。低速から巡航時にはガスタービン発電機と電気モータによる効率的な推進を行い、高速時にはガスタービンエンジン(General Electric LM2500IEC)を直結併用することで、優れた静粛性と高い燃料効率(航続性能)の両立を実現している。技術的な工夫として、あきづき型で搭載された僚艦防空機能を整理・軽量化する一方、最新のソナーシステム「OQQ-24」を導入した。自艦の艦首ハルソナーからの発信音に対する反響を、艦尾から繰り出す曳航式ソナー(OQR-4 TASS)や僚艦で受信・処理するバイ/マルチスタティック・オペレーションに対応し、静音潜水艦の探知能力を飛躍的に向上させている。さらに、AESA構造のOPY-1多機能レーダーや潜望鏡探知能力を持つOPS-48レーダーを統合し、過酷な洋上環境下でも高い状況把握能力を発揮する。

運用実績と評価

2018年3月に1番艦「あさひ(DD-119)」、2019年3月に2番艦「しらぬい(DD-120)」が制式就役し、海上自衛隊の護衛隊群(現・水上戦隊)へ配備された。実際の運用においては、COGLAG推進がもたらす極めて高い静粛性と低燃費性能を生かし、長時間の対潜警戒や洋上パトロール任務において優れた運用実効性が高く評価された。ソマリア沖・アデン湾における派遣海賊対処行動や中東地域での情報収集活動といった実任務、さらには日米英をはじめとする多国間共同訓練にも投入され、広域の防空・対潜・対水上警戒をマルチにこなす汎用護衛艦としての高い完成度を示した。同型艦の建造は2隻で完了したものの、本型で確立されたハイブリッド推進構造や高度な信号処理技術は後続の新世代護衛艦開発にも引き継がれ、現代の海上自衛隊における海上防衛と兵站線を維持する重要アセットとして位置づけられている。

Official Name (正式名称)あさひ型護衛艦 (2代) / Asahi-class destroyer (Ⅱ)
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)三菱重工業 長崎造船所
Designed (設計年)2010年代前半から、前型である「あきづき型」の優れた船体設計をベースに、新開発の「OPY-1」多機能レーダーや新型ソナーシステムを搭載して対潜戦闘能力の強化にシフトし、海自初の「COGLAG」ハイブリッド推進方式による高い静粛性を備えた新型汎用護衛艦(25DD)として設計が進められ、2015年に1番艦の建造を開始
2018年に1番艦「あさひ」が就役し、2019年までに同型艦2隻すべてが就役したことで、多様化する水中脅威に対処する新世代の対潜・多目的水上戦闘艦としての本格的な運用が開始された護衛艦
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊(自衛艦隊 護衛艦隊:第2護衛隊群第2護衛隊に1番艦 DD-119「あさひ」、第1護衛隊群第5護衛隊に2番艦 DD-120「しらぬい」を配備・運用)
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量:5,100 t / 満載排水量:約 6,800 t
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水L: 151 m(全長) × W: 18.3 m(最大幅) × D: 5.4 m(喫水)
Propulsion (機関):COGLAG(コンバインド・ガス・ガスタービン・エレクトリック・アンド・ガスタービン)方式、2x 川崎重工業 スペイSM1C ガスタービン、2x 水中推進用電動機、2x 発電用ガスタービン、2軸推進、出力:62,000 hp
Speed (速力):30 kt(約 56 km/h)
Range (航続距離):約 4,500 nm(マイル)(20 kt 巡航時)
Complement (乗員数):約 220 名
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):OYQ-13 艦載情報処理サブシステム(CDS)
OPY-1 多機能レーダー(Cバンド+Xバンド、アクティブ・フェーズドアレイ・レーダー)
OPS-20E 対水上レーダー
OQQ-24 水上艦用ソナーシステム(艦首バウ・ソナーおよび新型のOQR-4 曳航ソナーを統合)
Armament (兵装):Mk.41 VLS(垂直発射システム):16セル(艦首配備。07式垂直発射魚雷(VLA)および発展型シースパロー(ESSM)短SAMを装填。将来的には新型の12式地対艦誘導弾能力向上型(艦載型)等の搭載も視野に省スペース化を考慮)
1x 62口径5インチ単装砲(アメリカ・BAEシステムズ社製 Mk.45 Mod 4、日本製鋼所ライセンス生産)
2x 20mm CIWS(高性能20mm機関砲ブロック1B)
2x HOS-303 3連装短魚雷発射管(97式または12式魚雷)
2x 4連装17式SSM(対艦誘導弾)発射筒
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
搭載機数:定数1機(最大2機)。船体後部にヘリコプター格納庫および着艦拘束装置(新・ベアトラップシステム)を装備。SH-60K哨戒ヘリコプターを1機(緊急時等には最大2機)艦載・運用可能。
車両・貨物運搬能力:専用の貨物・車両格納エリアは非装備。汎用護衛艦としての標準的な自艦用物資・戦闘消耗品の積載能力に留まる。

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

PR:関連商品

画像の引用元
  1. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=88918655
  2. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=82216031
  3. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=109663697
  4. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=109428740
  5. By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=83112471

上部へスクロール