あさぎり型護衛艦 / Asagiri-class destroyer

DD-158	うみぎり
DD-158 うみぎり

概要と開発の背景

あさぎり型護衛艦は、1980年代(昭和58年度〜61年度計画)に日本の防衛庁(現・防衛省)および石川島播磨重工業(現:株式会社IHI)、住友重機械工業、三菱重工業、日立造船によって開発・建造され、1988年(昭和63年)より海上自衛隊へ導入された第2世代の汎用護衛艦(DD)である。海上自衛隊では冷戦期、八八艦隊(護衛艦8隻・ヘリ8機)構想に基づき、初のオールガスタービン汎用護衛艦である「はつゆき型」を量産していた。しかし、はつゆき型はコンパクトな船体に各種装備を極力詰めたため機内の容積的余裕が乏しく、ヘリコプター運用の安定性や居住性、機関配置における抗たん性(被爆後の生存性)に課題が残されていた。これを受け、はつゆき型の基本バランスを踏襲しつつ船体を大型拡張し、戦術データ通信能力や対潜・対水上戦闘能力の機能向上を図る後継クラスとして開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、前級はつゆき型(全長130m、基準排水量2,950トン)から全長137m、基準排水量3,500トン(後期型は3,550トン)へ船体を大型化させ、上層構造物の材質をアルミ合金から耐火性に優れる鋼鉄(スチール)へ変更して耐久性と抗たん性を飛躍的に高めた点にある。推進機関にはCOGAG(ガスタービン複合)方式を採用し、Rolls-Royce plcが開発し川崎重工業がライセンス生産する「Spey SM1A」ガスタービンエンジン4基を搭載している。はつゆき型では左右の主機を同一機械室に並べるパラレル配置であったのに対し、本型では左右舷の機械室を前後に分離配置する「シフト配置」を採用し、万一の被弾時にも推進機能の全滅を防ぐメカニズムを実現した。兵装面ではシースパロー短SAM、ハープーンSSM、アスロックSUM、76mm単装速射砲、CIWS、SH-60K哨戒ヘリ1機を完備し、対水上捜索レーダー「OPS-28」や新情報処理システムの導入によりチーム戦能力が強化されている。

運用実績と評価

1988年3月に1番艦「あさぎり(DD-151)」が就役して以降、同型艦計8隻(あさぎり、やまぎり、ゆうぎり、あまぎり、まぎり、せとぎり、はまぎり、うみぎり)が順次建造・配備された。制式採用以降、海上自衛隊の護衛隊群や地方配備部隊の中核として、日本周辺海域の警戒監視任務や日米共同演習、さらにはソマリア沖・アデン湾での海賊対処行動などの国際平和協力活動へ幅広く投入された。実際の運用においては、シフト配置による高い信頼性をはじめ、拡大された艦体による優れた居住性やヘリコプター発着艦の安定性が具体的に高く評価された。一時期は一部の艦が訓練需要から練習艦(TV)へ種別変更されたものの、護衛艦数の増強計画に伴い再び全艦が汎用護衛艦(DD)へと復帰した歴史を持つ。就役から30年以上が経過した現代においても、新型の「もがみ型」フリゲート等への移行が進む中で、海上自衛隊の艦隊基盤を長年支え続けた信頼性の高いベストセラー汎用アセットとして重要な立ち位置を維持している。

Official Name (正式名称)あさぎり型護衛艦 / Asagiri-class destroyer
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)石川島播磨重工業(現:IHI)東京第1工場、三菱重工業 長崎造船所、三井造船 玉野事業所、住友重機械工業 追浜造船所浦賀工場、日立造船 舞鶴工場
Designed (設計年)1980年代前半から、前型である「はつゆき型」の設計をベースに、船体の大型化や抗堪性の向上、ヘリコプター運用能力の強化を図った発展型汎用護衛艦(58DD)として設計が進められ、1985年に1番艦の建造を開始
1988年に1番艦「あさぎり」が就役し、1989年までに同型艦8隻すべてが就役したことで、日本の周辺海域における警戒監視や対潜戦・対空戦能力の基盤となる本格的な運用が開始された護衛艦
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊(地方隊:大湊地方隊大湊護衛隊に1番艦「あさぎり」(退役済み)・2番艦「やまぎり」・5番艦「はまぎり」、舞鶴地方隊舞鶴護衛隊に6番艦「せとぎり」、佐世保地方隊佐世保護衛隊に4番艦「あまぎり」・7番艦「さわぎり」を配備・運用。また、自衛艦隊 護衛艦隊:第11護衛隊に3番艦「ゆうぎり」、練習艦隊に8番艦「うみぎり」を練習艦として配備・運用)
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量:3,500 t(最終2隻は3,550 t) / 満載排水量:約 4,900 t(最終2隻は約 4,950 t)
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水L: 137 m(全長) × W: 14.6 m(最大幅) × D: 4.5 m(喫水)
Propulsion (機関):COGAG(コンバインド・ガス・ガスタービン・アンド・ガスタービン)方式、2x 川崎重工業 オリンパスTM3B ガスタービン、2x 川崎重工業 タイインRM1C ガスタービン、2軸推進、出力:54,000 hp
Speed (速力):30 kt(約 56 km/h)
Range (航続距離):約 6,000 nm(マイル)(20 kt 巡航時)
Complement (乗員数):約 220 名
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):OYQ-6またはOYQ-7 戦術データ処理装置
OPS-14C 対空レーダー(1〜4番艦) / OPS-24 3次元対空レーダー(5〜8番艦、アクティブ・フェーズドアレイ・レーダーの先駆)
OPS-28C 対水上レーダー
OQS-4A 艦首バウ・ソナー
OQR-1 曳航ソナー(TACTAS)
2x FCS-2 火器統制装置(短SAMおよび艦砲用)
Armament (兵装):1x Mk.29 8連装短SAM(シースパロー)発射機
1x 74式アスロック 8連装発射機
1x 62口径76mm単装速射砲(イタリア・OTOメラーラ社製、日本製鋼所ライセンス生産)
2x 20mm CIWS(高性能20mm機関砲)
2x HOS-301 3連装短魚雷発射管(Mk.46魚雷など)
2x 4連装ハープーンSSM(対艦ミサイル)発射筒
※VLS(垂直発射システム)は非装備
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
搭載機数:定数1機。船体後部にヘリコプター格納庫を1基常設(前型のはつゆき型より拡張され、格納庫内に2機を収容することは物理的に可能)。SH-60J(全機退役済み)またはSH-60K哨戒ヘリコプターを1機艦載・運用。
車両・貨物運搬能力:専用の貨物・車両格納エリアは非装備。汎用護衛艦としての標準的な自艦用物資積載能力に留まる。

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=123615646

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