




概要と開発の背景
たかなみ型護衛艦は、1990年代末から2000年代初頭にかけて日本の防衛庁(現・防衛省)および三菱重工業株式会社、石川島播磨重工業株式会社(現:株式会社IHI)、住友重機械工業株式会社によって開発・建造され、2003年(平成15年)より海上自衛隊へ導入された第3世代汎用護衛艦(DD)の改良型である。海上自衛隊では、平成期における基幹アセットとして「むらさめ型護衛艦」の量産が推し進められていた。しかし、対水上射撃能力の強化や新型哨戒ヘリコプター(SH-60K)の導入対応、垂直発射装置(VLS)の集約化など、多機能化する現代洋上戦闘への即応性と各種運用性能の更なる向上が求められた。これを受け、むらさめ型の基本設計をベースに兵装や航空運用艤装、C4Iシステムへ改修を加えた「むらさめ型小改造型(改むらさめ型)」として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、前級むらさめ型(基準排水量4,550トン)の優れたステルス型船体構造を踏襲しつつ、兵装の大型化に伴い基準排水量を4,650トンへ拡大し、主砲およびVLSの構成を大幅に強化した点にある。主砲には、むらさめ型の76mm単装速射砲から、長射程と優れた連射威力を備えるOto Melara社製の54口径127mm速射砲(127mm Compact)へと変更された。また、むらさめ型では艦首(Mk 41 VLS・16セル)と中央部(Mk 48 VLS・16セル)に分散されていたミサイル垂直発射装置を、艦首側の「Mk 41 VLS(32セル)」へ統合・一本化した。これにより対潜ロケット(VLA)と短SAM(シースパロー/ESSM)の柔軟な装填運用が可能となった。航空艤装面でも、大型化されたSH-60K哨戒ヘリコプターの運用・格納に対応する装置類が導入されている。
運用実績と評価
2003年3月に1番艦「たかなみ(DD-110)」が就役して以降、2006年までに同型艦計5隻(たかなみ、おおなみ、まきなみ、さざなみ、すずなみ)が制式配備された。制式採用以降、海上自衛隊の護衛隊群の中核として日本周辺海域での警戒監視や日米共同演習に従事した。さらに、ソマリア沖・アデン湾での海賊対処行動をはじめ、2020年からは中東海域における日本関係船舶の安全確保のための情報収集活動へ単独派遣されるなど、海外での平和協力活動にも幅広く投入された。前級むらさめ型からの主砲口径拡大とVLS集約による火力・防空即応性の向上、ならびにSH-60Kヘリコプター運用能力が高く評価されている。後続の「あきづき型」へ続く艦隊基盤の架け橋となり、現代の海上自衛隊においても主要護衛隊に配備される主力汎用アセットとして極めて重要な立ち位置を維持している。
| Official Name (正式名称) | たかなみ型護衛艦 / Takanami-class destroyer |
| Country of Origin (開発国) | 日本 |
| Manufacturer (製造メーカー) | 三菱重工業 長崎造船所、石川島播磨重工業(現:IHI)東京第1工場、三井造船 玉野事業所、住友重機械工業 追浜造船所浦賀工場(現:ジャパン マリンユナイテッド) |
| Designed (設計年) | 1990年代後半から、前型である「むらさめ型」の優れた設計をベースに、艦砲の大型化やVLS(垂直発射システム)の一括集約化など兵装を大幅に強化した発展型汎用護衛艦(10DD)として設計が進められ、2000年に1番艦の建造を開始 2003年に1番艦「たかなみ」が就役し、2006年までに同型艦5隻すべてが就役したことで、より高い打撃力とミサイル運用能力を備えた水上戦闘艦としての本格的な運用が開始された護衛艦 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本: 海上自衛隊(自衛艦隊 護衛艦隊:第1護衛隊群第5護衛隊に1番艦「たかなみ (DD-110)」・2番艦「おおなみ (DD-111)」、第2護衛隊群第6護衛隊に3番艦「まきなみ (DD-112)」、第4護衛隊群第4護衛隊に4番艦「さざなみ (DD-113)」、第4護衛隊群第8護衛隊に5番艦「すずなみ (DD-114)」を配備・運用) |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 基準排水量:4,650 t / 満載排水量:約 6,300 t |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | L: 151 m(全長) × W: 17.4 m(最大幅) × D: 5.3 m(喫水) |
| Propulsion (機関): | COGAG(コンバインド・ガス・ガスタービン・アンド・ガスタービン)方式、2x 川崎重工業 スペイSM1C ガスタービン、2x 石川島播磨重工業(現IHI)LM2500 ガスタービン、2軸推進、出力:60,000 hp |
| Speed (速力): | 30 kt(約 56 km/h) |
| Range (航続距離): | 約 4,500 nm(マイル)(20 kt 巡航時) |
| Complement (乗員数): | 約 175 名 |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | OYQ-9D 戦術データ処理装置(CDS) OPS-24B 3次元対空レーダー OPS-28E 対水上レーダー OQS-5-1 艦首バウ・ソナー OQR-2 曳航ソナー(TACTAS) 2x FCS-3(1番艦〜3番艦はFCS-2-31C 火器統制装置、4番艦・5番艦は発展型のFCS-3系コンポーネントを一部適用) |
| Armament (兵装): | Mk.41 VLS(垂直発射システム):32セル(艦首に一括集約。VLAアスロック対潜魚雷、および発展型シースパロー(ESSM)短SAMを混載して装填) 1x 54口径127mm単装速射砲(イタリア・OTOメラーラ社製、日本製鋼所ライセンス生産) 2x 20mm CIWS(高性能20mm機関砲) 2x HOS-302 3連装短魚雷発射管(Mk.46または97式/12式魚雷) 2x 4連装90式SSM(対艦誘導弾)発射筒 |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | 搭載機数:定数1機(最大2機)。船体後部にヘリコプター格納庫およびベアトラップ(強制着艦拘束装置)を装備。SH-60J(退役済み)またはSH-60K哨戒ヘリコプターを1機(緊急時等には最大2機)艦載・運用可能。 車両・貨物運搬能力:専用の貨物・車両格納エリアは非装備。汎用護衛艦としての標準的な自艦用物資・戦闘消耗品の積載能力に留まる。 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=96417038
- By Royal Australian Navy Leading Seaman Ernesto Sanchez – https://www.dvidshub.net/image/7332113/hmas-supply-ras-with-js-takanami, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=121729509
- By Seaman Travis Alston – http://www.navy.mil/view_image.asp?id=43310, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1700754
- By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=116086688
- By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=88915382




