Kawasaki CH-47J / J(LR) Chinook (JASDF)

CH-47J(LR)
CH-47J(LR)

概要と開発の背景

川崎 CH-47J は、1980年代にアメリカの Boeing Vertol(現 The Boeing Company)が開発した大型輸送ヘリコプター CH-47D Chinook を基盤とし、日本の防衛庁(現防衛省)の要求に基づいて川崎重工業がライセンス生産を行った双発タンデムローター型大型輸送ヘリコプターである。開発および調達の背景には、昭和期から陸上自衛隊および航空自衛隊で主力輸送ヘリコプターとして運用されてきた前世代機 KV-107 の老朽化に伴う全面更新ニーズと、自衛隊の統合運用における航空機動展開能力の大幅な強化が存在した。従来の KV-107 はキャビン容積や最大積載量が限られており、大型車両の直接自走積載や大量の物資・要員の迅速な長距離空輸に対応しきれない課題を抱えていた。これらを解決するため、卓越した重量物吊り下げ能力と広大な貨物室を備える CH-47D の導入が決定し、昭和59年度(1984年度)予算より調達がスタート、1986年より部隊配備が開始された。さらに1990年代後半からは、胴体両側の燃料スポンソンを膨らませて航続距離を約2倍に延伸させた長距離型(陸自仕様: CH-47JA / 空自仕様: CH-47J(LR))の調達が行われた。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、機体前後の上部に配置された2組の3枚羽メインローターが互いに逆回転するタンデムローター方式と、大容積の箱型キャビンを統合した設計にある。推進システムには Honeywell International Inc. 製 T55-K-712 ターボシャフトエンジン(後に大出力型 T55-L-714A へ更新)2基を搭載し、最大離陸重量約22.7トン、機内積載量約8トンまたは機下フックによる吊り下げ輸送約10トンという高い輸送能力を誇る。前級の KV-107 と比較してキャビン容積が約2倍に拡大し、高機動車などの大型車両が後部大型スロープから直接自走して乗り込める構造を実現した。長距離型である J(LR) / JA 仕様では、胴体両側面の燃料スポンソンタンクが大型化され、標準型(航続距離約540km)の約2倍にあたる約1,000km超の無給油航続性能を獲得している。コクピットには二重化された航法装置(GPS/INS)、気象レーダー、暗視装置(NVG)対応アビオニクスが組み込まれ、夜間や悪天候下での低空飛行を安定して行う機構を備える。

運用実績と評価

1986年の配備開始以降、CH-47J / J(LR) は陸上自衛隊(第1ヘリコプター団や各方面航空隊)および航空自衛隊(航空救難団の各ヘリコプター空輸隊)に制式採用され、通算100機以上が集中運用されている。実際の運用においては、南西諸島を含む離島への部隊や車両の即応展開任務、ならびに全国の基地・演習場間における重重量資材の空輸任務へ投じられた。東日本大震災や熊本地震、能登半島地震などの大規模自然災害派遣では、陸路が断たれた孤立地域への救援物資大量空輸や住民避難、大型消火バケットを用いた林野火災の消火活動において主要な輸送手段として貢献した。長距離型 J(LR) / JA 仕様の整備により、給油を挟まずに日本列島の主要拠点を直行で結ぶ長距離機動力が確立された点が評価されている。デジタル・アビオニクスや自衛機器の継続改修が行われており、自衛隊の基幹輸送アセットとして第一線で現役運用が続けられている。

Official Name (正式名称)Kawasaki CH-47J / J(LR)
Country of Origin (開発国)日本 (ベース機は アメリカ合衆国)
Manufacturer (製造メーカー)川崎重工業 (ライセンス生産)
Designed (設計年)開発ベースとなった原型機(ボーイング・バートルCH-47)の初飛行は1961年9月21日に実施され、1962年8月16日より運用が開始されている。仕様共通のライセンス生産に伴う製造着手は1984年に行われた。運用開始年については、CH-47Jが1986年度より引き渡しが開始され、1987年から運用が始まっている。また、大型燃料タンクや近代化アビオニクスを適用したCH-47J(LR)については、1995年以降に開発および調達が開始され、順次配備と運用が行われている。
Primary Operators (主な運用組織)日本:航空自衛隊(航空総隊航空救難団飛行群三沢ヘリコプター空輸隊、入間ヘリコプター空輸隊、春日ヘリコプター空輸隊、那覇ヘリコプター空輸隊)
Crew (乗員)3名 または 5名(航空自衛隊の公式データ内で、防府北基地ページでは「3人(操縦士2名、機上整備員1名)」、航空救難団ページ等では「5名」と異なる記載が存在する)。最大輸送人員は 48名 または 55名。
Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高L (全長): 15.88 m (52 ft 1 in) [ローター回転時の全長は 30.18 m (99 ft)]
W (全幅/翼幅): 4.80 m (15 ft 9 in) [一部の公式データでは 4.88 m (16 ft) と記載される、ローター回転時の全幅は 18.29 m (60 ft)]
H (全高): 5.69 m (18 ft 8 in)
Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量)自重 (Empty Weight): 約11.5 t (約25,353 lb) [航空自衛隊防府北基地データによる]
最大離陸重量 (Max Takeoff Weight) / 全備重量: 約22.7 t (約50,045 lb)
Powerplant (エンジン):型式、推力型式: 2x 川崎重工業 T55-K-712 ターボシャフトエンジン
出力: 1基あたり 3,149 shp
Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度マッハ表記: Mach 0.25
最大速度として約163 kt (約302 km/h)、巡航速度として 140 kt (約265 km/h) または 200 km/h
Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離)航続距離 (Ferry Range): 約1,000 km (6t搭載時) [防府北基地データでは約750 km (約7t搭載、燃料満載) ]
Service Ceiling (実用上昇限度)2,590 m (8,500 ft)[防府北基地データの引用]、陸上自衛隊仕様機CH-47J/JAにおけるデータでは約2,670 m
Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力None
機外に最大約10 tの貨物を吊り下げて輸送するためのスリング機構を備える
Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数None

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=47894275

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