M939 5-ton 6×6 truck

M939 5-ton 6×6 truck

概要と開発の背景

M939 5トン 6×6 トラックシリーズは、1970年代末にアメリカのAM Generalによって製品改良プログラム(PIP)として開発が進められ、1982年よりアメリカ軍へ本格導入された5トン級の6×6中型汎用戦術トラック群である。開発の背景には、1950年代から1970年代にかけて運用されていた従来型のM39シリーズやM809シリーズにおけるメカニズムの陳腐化と老朽化が存在した。当時、アメリカ軍内ではマニュアルトランスミッションの操作に慣れていない兵士が増加しており、運転操作の簡略化と後方支援の効率化が大きな課題となっていた。これらを解決するため、実績のあったM809の強固なフレーム構造を基礎としながら、オートマチックトランスミッションの標準採用や前方傾斜型(チルティング)フード付きキャビンの導入を図り、あらゆる気象・地形条件下で確実な物資および人員輸送を遂行できる次世代の基幹車体として開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、従来機M809の手動変速機からAllison製5速自動変速機(MT654CR)へ変更され、操作負担の大幅な軽減と駆動系への衝撃低減を達成している点にある。パワートレインには、初期型およびA1仕様でCummins製14.0L自然吸気ディーゼル(NHC 250)、改良型のA2仕様では小型・高効率化されたCummins製8.3Lターボディーゼル(6CTA8.3)が搭載された。2速ハイ/ロー切替トランスファーは、ローレンジ選択時に前輪駆動が自動接続される優れた駆動機構を備える。また、従来型の空気油圧複合ブレーキから完全空気式(フルエア)ブレーキへと刷新された。A1仕様では大口径のシングルタイヤ「スーパーシングル」が導入され、A2仕様では運転席から走行中に空気圧を変更できる中央タイヤ内圧調整装置(CTIS)が標準統合されたことで、泥濘地や砂漠などの過酷な不整地における走破性能を飛躍的に高めている。

運用実績と評価

1982年の制式配備以降、アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ空軍に大量配備されたほか、エジプト、台湾、サウジアラビア、トルコなど世界各国の安全保障機関へ合計4万4,000両以上が供給・運用された。1990年の湾岸戦争(砂漠の嵐作戦)やイラク戦争、アフガニスタン紛争などの実戦へ投入され、過酷な砂漠や泥道において優れた物資輸送能力と堅牢性を発揮した。基本カーゴ型(M923/M925)をはじめ、長車体型(M927/M928)、ダンプ型(M929/M930)、トラクター型(M931/M932)、拡大型移動通信バン(M934/M935)、中型レッカー回収車(M936)など極めて多彩な派生型が整備され、後方支援の屋台骨として機能した。現在は後継のFMTV(中型戦術ファミリー)への更新が進むが、その高い信頼性と汎用性から、現在においても世界各地で現役運用や予備役運用が続けられている。

Official Name (正式名称)M939 5-ton 6×6 truck
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)AM General Corporation / BMY(1986年以降の製造・改良型M939A2を担当)
Designed (設計年)M939シリーズは1970年代後半に旧式トラックの刷新を目的として設計開発が開始され、AM General社が最初の量産・リビルド製造を開始した1982年に公式に運用を開始
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海軍、アメリカ空軍の各後方支援・ロジスティクス部隊にて、後継のFMTVシリーズへの移行を進めつつも、カーゴ、ダンプ、レッカー(M936)などの仕様車を引き続き一部現役運用中 ※アメリカ海兵隊 (1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争(イラク自由作戦)などの実戦に投入、長期で運用されていたが現在はMTVR等へ更新済み)
アルゼンチン:アルゼンチン陸軍(Ejército Argentino)の後方輸送部隊にて、米国からの防衛装備支援プログラムを通じて導入された各種カーゴ・特殊仕様車両を現役運用中
コロンビア:コロンビア陸軍(Ejército Nacional de Colombia)の各補給・輸送大隊にて、不整地における物資・兵員輸送用として公式導入されたフリートを現役運用中
エクアドル:エクアドル陸軍(Ejército Ecuatoriano)の輸送・ロジスティクス部門にて、前線展開部隊の物資供給用アセットとして現役運用中
エジプト:エジプト陸軍(エジプト武装軍後方支援・輸送部門)にて、米国からの大規模なFMS調達を通じて供給されたM923系カーゴ等の車両を現役運用中
ジョージア:ジョージア陸軍(ジョージア国防軍)の各後方支援部隊にて、軍の近代化・西側規格移行プログラムに伴い米国より公式供与された車両を現役運用中
インドネシア:インドネシア陸軍(TNI-AD:Tentara Nasional Indonesia Angkatan Darat)の後方支援部隊にて、大型物資の空挺・陸上輸送用として調達されたM939系トラックを現役運用中
イラク:イラク陸軍(イラク軍後方支援司令部)にて、戦後の軍再建プログラムに伴い米国政府より公式供与・移管された大量のM939シリーズを、主要な野戦輸送用として現役運用中
サウジアラビア:サウジアラビア陸軍(王立陸軍兵站・輸送部隊)にて、地上部隊の機動補給および機材運搬用として米国より対外有償軍事援助ルートで調達された各種車両を現役運用中
レバノン:レバノン陸軍(レバノン国軍輸送旅団)にて、米国からの公式な対テロ安全保障援助パッケージ(EDA)として継続的に引き渡された車両を現役運用中
モロッコ:モロッコ王立陸軍(王立武装軍兵站部隊)にて、広大な砂漠・国境地帯における地上部隊の長距離物資輸送および機動支援用として米国より取得した車両を現役運用中
メキシコ:メキシコ陸軍(メキシコ武装人道・輸送部隊)にて、物資輸送および災害派遣時の人道支援用高機動アセットとして米国より調達されたフリートを現役運用中
マレーシア:マレーシア陸軍(Tentara Darat Malaysia)の輸送・兵站部隊にて、野戦重機材の運搬および要員輸送用として公式に導入された車両を現役運用中
フィリピン:フィリピン陸軍(フィリピン国防軍後方支援コマンド)にて、米国の余剰防衛装備品(EDA)供与プログラムを介して公式取得した各種5トントラックを現役運用中
台湾(中華民国):中華民国陸軍(各軍団後方支援指揮部・輸送大隊)にて、重機材の牽引、弾薬輸送、および災害時の緊急展開用として調達されたM923/M925等のカーゴ仕様、M936レッカー仕様を大量現役運用中
タイ:タイ王立陸軍(王立陸軍輸送・兵站局)にて、野戦における機械化部隊の兵站維持および重物資運搬用として公式導入された中核車両を現役運用中
トルコ:トルコ陸軍(トルコ陸軍後方支援司令部)にて、長年にわたる米国との同盟安全保障ルートに基づき調達されたM939シリーズの各カーゴ、ダンプ、トラクター仕様を現役運用中
大韓民国:大韓民国陸軍、および大韓民国海兵隊にて、AMゼネラル社の公式ライセンスを保有する起亜自動車(Kia Motors)がM939の基本構造(シャシー・駆動系)をベースに国産開発した独自の公式派生品ファミリー「KM500シリーズ(KM500カーゴ、KM501ダンプ、KM502レッカー、KM503トラクター等)」を地上軍の主力5トントラックとして大量現役運用中
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)1x 運転手 + 2x 助手席(キャビン座席) + 後部荷台への兵員輸送数:最大 20名
Combat Weight (戦闘重量)W: 2,440 mm / L: 7,900 mm / D: 3,020 mm(※キャンバスカバー最頂部までの全高。取り外し時は 2,360 mm まで全高の縮小が可能)
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)W: 2.48 m, L: 7.13 m, D: 2.76 m
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)なし(※基本仕様はソフトスキン車両であり、複合装甲や爆発反応装甲(ERA)は非搭載。イラク戦争等の近代戦区においては、生存性向上を目的にキャビン外部へ後付けの現地改修用簡易追加装甲板(M939 Armor Kit)をボルト留め装着した車両が一部運用された)
Main Armament (主武装)なし
Secondary Armament (副武装)1x 12.7mm重機関銃 M2、または 1x 7.62mm機関銃 M240(※キャビン上部にオプション装着可能なリングマウント「M66」を配置した場合のみ、対空・自衛用として機関銃の搭載運用が可能)
Engine (エンジン出力 hp/kW)M939 / M939A1: Cummins NHC-250 14.0L 直列6気筒自然吸気ディーゼルエンジン / 出力:240 hp (180 kW)
M939A2: Cummins 6CTA8.3 8.3L 直列6気筒ターボチャージド・ディーゼルエンジン / 出力:240 hp (180 kW)
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地):101 km/h(※軍推奨の制限最高速度は 65 km/h 〜 89 km/h) / Unpaved (不整地):約 40 km/h 〜 50 km/h(地形および路面状況による)
Operational Range (航続距離)約 563 km(350 miles ※燃料タンク容量 81ガロン(約307L)の満タン時仕様基準)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By U.S. Navy photo by Photographer’s Mate 1st Class Brien Aho. – This image was released by the United States Navy with the ID 030212-N-5319A-008 (next).This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing.العربية ∙ বাংলা ∙Bahaso Jambi ∙Deutsch ∙ Deutsch (Sie-Form) ∙ English ∙ español ∙ euskara ∙ فارسی ∙ français ∙ italiano ∙ 日本語 ∙ 한국어 ∙ македонски ∙ മലയാളം ∙ Plattdüütsch ∙ Nederlands ∙ polski ∙ پښتو ∙ português ∙ русский ∙ slovenščina ∙ svenska ∙ Türkçe ∙ українська ∙ 简体中文 ∙ 繁體中文 ∙ +/−, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8171809
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