はしだて (特務艇) / JS Hashidate

JS Hashidate
ASY-91 はしだて

概要と開発の背景

はしだて(ASY-91)は、1990年代末(平成9年度計画)に日本の防衛庁(現・防衛省)および日立造船株式会社(神奈川工場)によって開発・建造され、1999年(平成11年)より海上自衛隊へ導入された自衛隊初となる専用設計の特務艇(ASY)である。海上自衛隊では、1960年代の東京オリンピックにおけるヨット競技支援や各国の式典・賓客をもてなす「海の迎賓館(迎賓艇)」として、旧式の掃海艇を改修した初代「ゆうちどり」や、駆潜艇を改修した「はやぶさ」「ひよどり」などの退役小型艇を転用して運用してきた。しかし、3代目の「ひよどり(ASY-92)」の老朽化に伴う除籍が迫り、後継艇の確保が急務となった。さらに、従来の単なる式典・接遇用途のみならず、大規模災害や有事における傷病者・被災者の医療支援や輸送、広報活動など多様な任務に対応できる専用プラットフォームが求められた。これを受け、従来の旧式艇改造方式から脱却し、海自史上初となる完全新造の多機能特務艇(計画時名称: 平成9年度計画400トン型特務艇)として開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、基準排水量400トン(満載490トン、全長62.0m)のアルミニウム合金(軽合金)製平甲板型船体を備え、自衛隊艦艇として唯一の白とグレーに塗り分けられた「ホワイト&グレー」の特別塗色を採用している点にある。推進機関には三菱重工業製ディーゼルエンジン2基(5,500馬力)を搭載し、速力20ノットの機動性能を発揮する。艦橋には操舵と主機出力を1人で一括制御できる統合艦橋システム(IBS)を導入し、省力化を推進した。艇内には会議室、待機室、休憩室、全天候型プロムナード・デッキを備え、高い接遇能力を備える。最大の技術的・設計的工夫は接遇空間と災害医療機能の高度な統合にあり、災害発生時にはプロムナード・デッキが軽傷者収容区画に、休憩室が折りたたみベッドを並べた簡易病室兼被災者収容施設(約60名以上収容可能)へと迅速に転換される。このため、艦内には各種医療器具や救助器材が常時搭載されている。

運用実績と評価

1999年11月に就役して以降、海上自衛隊の横須賀地方隊横須賀警備隊へ配備され、横須賀基地を定係港として一貫して制式運用されている。制式採用以降、国内外の軍高官や要人を迎える洋上迎賓・行事任務へ投入されるとともに、日本各地の港湾において体験航海や一般公開などの広報活動に精力的に配備された。実際の運用においては、海自で特に選抜された優れた調理員(料理人)による極めて質の高い料理と接遇サービスが高く評価されてきた。また、2011年の東日本大震災においては発生からわずか75分後に横須賀から緊急出港して被災地救援に即応したほか、首都圏における帰宅困難者輸送訓練などでも多目的な実効性を具体的に証明した。非武装の支援艇でありながら、「海の迎賓館」としての外交・広報機能と、被災地に真っ先に駆けつける即応医療プラットフォームとしての実用性を高次元で兼ね備えた主要アセットとして極めて重要な立ち位置を占めている。

Official Name (正式名称)はしだて (特務艇) / JS Hashidate
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)日立造船 神奈川工場
Designed (設計年)平成9年度(1997年度)計画において基本設計や建造予算が計上され、1999年11月30日に竣工・就役して運用を開始
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊 横須賀地方隊隷下 横須賀警備隊
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量 400 t / 満載排水量 約490 t(※満載排水量は公表資料によって約480t〜500tの幅がある)
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水全長 62.0 m × 最大幅(W) 9.4 m × 深さ(H) 4.6 m × 喫水(D) 2.0 m
Propulsion (機関):ディーゼル推進 / 三菱重工業製 S16R-MTK ディーゼルエンジン 2基、2軸駆動、総出力 5,000 PS
Speed (速力):20 kt
Range (航続距離):9,500nm(20 kt巡航時)
Complement (乗員数):約30名(※このほかに賓客等を多数乗艇させることが可能な接遇スペースを有する)
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):航海用レーダー(OPS-20等)
Armament (兵装):なし
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
搭載機数:0機(固有の有人艦載ヘリ・無人航空機はなし、格納庫等もない)
ヘリコプター運用能力:なし(発着艦甲板の装備なし)
車両・貨物運搬能力:一般的な車両やコンテナ、貨物を大量輸送するための設計・設備はない。ただし、プロムナードデッキ、多目的会議室、休憩室などの広大な接遇スペースを艦内に完備。これらは大規模災害発生時において、被災者への給食支援(炊き出し能力)、医療支援スペース、または臨時の洋上指揮支援拠点(前線指揮所)として機能・転用できる仕様となっている。

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Kaijō Jieitai (海上自衛隊 / Japan Maritime Self-Defense Force) – http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/asy/hashidate/91.html, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=59350775

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