むらさめ型護衛艦 / Murasame-class destroyer (III)

Murasame-class destroyer
DD-104 きりさめ

概要と開発の背景

むらさめ型護衛艦は、1990年代(平成3年度〜7年度計画)に日本の防衛庁(現・防衛省)および石川島播磨重工業(現:株式会社IHI)、三菱重工業、住友重機械工業、日立造船、三井造船(現:株式会社三井E&S)によって開発・建造され、1996年(平成8年)より海上自衛隊へ導入された第3世代の汎用護衛艦(DD)である。海上自衛隊では、昭和期に導入された第1世代の汎用護衛艦「はつゆき型」の老朽化に伴う更新対応と、八八艦隊(護衛艦8隻・ヘリ8機)構想に基づく広域防空・対潜水艦戦・対水上戦能力の大幅な底上げが急務となっていた。前級「あさぎり型」における運用知見を踏まえつつ、飛来する対艦ミサイルへの対応力強化、全天候下での高い洋上運動性能、ならびに艦内システムの自動化による大幅な省人化・省力化を図る次世代基幹アセットとして開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、前級あさぎり型(基準排水量3,500トン)から4,550トンへと艦体を大きく拡大し、上層構造物を含めた傾斜設計による本格的なステルス形状を自衛隊の艦艇として本格導入した点にある。推進機関にはCOGAG(ガスタービン複合)方式を採用し、General Electric社製「LM2500」ガスタービン2基と、Rolls-Royce plc開発・川崎重工業ライセンス生産の「Spey SM1C」2基を組み合わせた異種ガスタービン構成を備える。主要兵装には垂直発射装置(VLS)を本格統合し、対潜ロケット用の「Mk 41 VLS(16セル)」と短SAM用の「Mk 48 VLS(16セル)」を艦前後に分散配置した。これにより、従来の旋回式発射機と比較して連続射撃能力と全方位への即応性が飛躍的に高められた。さらに国産の日本電気製3次元レーダー「OPS-24B」や統合C4Iシステム「OYQ-9」を搭載し、自動化された高度なデータリンク・対空追尾メカニズムが確立された。

運用実績と評価

1996年3月に1番艦「むらさめ(DD-101)」が就役して以降、2002年までに同型艦計9隻(むらさめ、はるさめ、ゆうだち、きりさめ、いなづま、さみだれ、いかづち、さざなみ、ありあけ)が制式配備された。実際の部隊運用においては、護衛隊群の中核として日本周辺海域の警戒監視任務や日米共同演習に従事したほか、ソマリア沖・アデン湾での海賊対処行動や中東海域での情報収集活動といった国際平和協力活動へ継続投入された。前級あさぎり型と比較して乗員数が約220名から約165名へと大幅に削減されつつも、優れた居住性と全自動VLSによる高い戦闘即応性を維持した点が具体的に高く評価された。本型で確立された艦体構造と高度な統合戦闘システムは、改良発展型である「たかなみ型」や「あきづき型」へと引き継がれ、現代の海上自衛隊における艦隊基盤を支える主力アセットとして就役から30年近くを経た現在も確固たる立ち位置を維持している。

Official Name (正式名称)むらさめ型護衛艦 / Murasame-class destroyer (III)
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)石川島播磨重工業(現:IHI)東京第1工場、三菱重工業 長崎造船所、三井造船 玉野事業所、住友重機械工業 追浜造船所浦賀工場(現:ジャパン マリンユナイテッド)、日立造船 舞鶴工場(現:ジャパン マリンユナイテッド)
Designed (設計年)1990年代初頭から、前型である「あさぎり型」の設計を一新し、初の本格的なステルス形状やVLS(垂直発射システム)を全面導入した新型汎用護衛艦(03DD)として設計が進められ、1993年に1番艦の建造を開始
1996年に1番艦「むらさめ」が就役し、2002年までに同型艦9隻すべてが就役したことで、現代的な対空・対潜の同時対処能力を備えた艦隊の主力としての本格的な運用が開始された護衛艦
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊(自衛艦隊 護衛艦隊:第1護衛隊群第1護衛隊に1番艦「むらさめ」・2番艦「はるさめ」、第2護衛隊群第2護衛隊に7番艦「いかづち」、第4護衛隊群第4護衛隊に5番艦「いなづま」・6番艦「さみだれ」、第11護衛隊に3番艦「ゆうだち」・4番艦「きりさめ」・8番艦「あけぼの」・9番艦「ありあけ」を配備・運用)
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量:4,400 t / 満載排水量:約 6,100 t
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水L: 151 m(全長) × W: 17.4 m(最大幅) × D: 5.2 m(喫水)
Propulsion (機関):COGAG(コンバインド・ガス・ガスタービン・アンド・ガスタービン)方式、2x 川崎重工業 スペイSM1C ガスタービン、2x 石川島播磨重工業(現IHI)LM2500 ガスタービン、2軸推進、出力:60,000 hp
Speed (速力):30 kt(約 56 km/h)
Range (航続距離):約 4,500 nm(マイル)(20 kt 巡航時)
Complement (乗員数):約 165 名
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):OYQ-9 戦術データ処理装置(CDS)
OPS-24 3次元対空レーダー
OPS-28D 対水上レーダー
OQS-5 艦首バウ・ソナー
OQR-2 曳航ソナー(TACTAS)
2x FCS-2-31 火器統制装置
Armament (兵装):Mk.41 VLS(垂直発射システム):16セル(艦首配備。VLAアスロック対潜魚雷を装填)
Mk.48 VLS(垂直発射システム):16セル(船体中央部配備。シースパロー、後に発展型シースパロー(ESSM)短SAMを装填)
1x 62口径76mm単装速射砲(イタリア・OTOメラーラ社製、日本製鋼所ライセンス生産)
2x 20mm CIWS(高性能20mm機関砲)
2x HOS-302 3連装短魚雷発射管(Mk.46または97式/12式魚雷)
2x 4連装90式SSM(対艦誘導弾)発射筒
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
搭載機数:定数1機(最大2機)。船体後部にヘリコプター格納庫およびベアトラップ(強制着艦拘束装置)を装備。SH-60J(退役済み)またはSH-60K哨戒ヘリコプターを1機(緊急時等には最大2機)艦載・運用可能。
車両・貨物運搬能力:専用の貨物・車両格納エリアは非装備。汎用護衛艦としての標準的な自艦用物資・戦闘消耗品の積載能力に留まる。護衛艦としての標準的な自艦用物資積載能力に留まる。

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By 海上自衛隊 – http://www.mod.go.jp/msdf/formal/jmp/img/gallery/201612/201612_all.zip, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=56838445

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