


概要と開発の背景
Type 26 frigate(26型フリゲート / City級フリゲート)は、2000年代末よりイギリスのBAE Systems Maritime – Naval Ships(グラスゴーのScotstounおよびGovan造船所)が設計・開発を進め、2010年代末から建造が進められている8,000t級の多目的・対潜フリゲートである。開発の背景には、1980年代から1990年代にかけて主力対潜水艦艇として大量導入された23型フリゲート(Duke級)の老朽化に伴う大規模な更新ニーズと、冷戦後の対潜・対水上・対地打撃および広域海洋安全保障作戦への対応要請が存在した。イギリス国防省(MoD)が推進した「FSC(Future Surface Combatant:将来水上戦闘艦)」構想を発端とし、BAE Systems主導の「GCS(Global Combat Ship)」グローバル展開戦略へと発展した。1番艦「グラスゴー(HMS Glasgow F88)」をはじめとする全8隻の建造が決定され、イギリス海軍の次世代水上艦隊の中核を担う主力対潜艦艇としての配備が進められている。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、徹底した水中音響シグネチャの抑制による卓越した静粛性能と、コンテナ化された各種ミッションモジュールや無人機(UAV / USV / UUV)を自由に移送・運用できる拡張ミッション・ベイ(Mission Bay)構造にある。主機関には静粛性と高速推進を両立するCODLOG(複合ディーゼル・エレクトリックまたはガス)推進方式を採用し、Rolls-Royce製MT30ガスタービンエンジン1基、MTU製ディーゼル発電機4基、および2基の電動モーターを備えている。低速の対潜捜索時には電動モーター駆動により静粛性を確保して航行し、緊急進出時にはガスタービンを作動させて26ノット以上の最高速力を発揮するメカニズムを有する。センサにはBAE Systems製Type 997 Artisan 3D多機能監視レーダー、Thales製Type 2087曳航ソナー(TASS)、およびUltra Electronics製Type 2150艦首ソナーを統合装備している。兵装には対空ミサイル「Sea Ceptor(CAMM)」用垂直発射装置(48セル分)と、トマホーク巡航ミサイルや各種対艦・対地ミサイルを収容可能な24セルのMk 41 VLS(ストライク・レングス)を備えている。後部飛行甲板および大型格納庫は、Merlin HM2やWildcat HMA2、さらにはCH-47チヌーク大型ヘリコプターの着艦に対応する設計となっている。
運用実績と評価
2017年の1番艦「グラスゴー(HMS Glasgow F88)」の起工以降、26型フリゲートはイギリス海軍での建造にとどまらず、海外の同盟国海軍へ派生型(GCSデザイン)が相次いで制式採用されている。オーストラリア海軍においては「ハンター級フリゲート(Hunter-class frigate)」、カナダ海軍においては「リバー級駆逐艦(River-class destroyer)」として制式採用され、ノルウェー海軍などの次世代水上戦闘艦構想においても最有力候補として評価されている。実際の評価において、前級の23型フリゲート(満載排水量約4,900t)と比較して、船体容積の飛躍的大型化(満載排水量8,000t)に伴う高い長距離航続力(7,000海里以上)と長期洋上自活性能、Mk 41 VLSの導入による長距離対地・対水上精密打撃能力、およびミッション・ベイによる無人アセットや小型艇の柔軟な展開能力がイギリス国防省および各国の海軍組織から極めて高く評価されている。2020年代後半からの順次制式就役に向けて各種建造・試験作業が継続されている。
| Official Name (正式名称) | Type 26 frigate / City-class frigate |
| Country of Origin (開発国) | イギリス |
| Manufacturer (製造メーカー) | BAE Systems Maritime – Naval Ships (Scotstoun & Govan Shipyards, Glasgow, Scotland, UK) |
| Designed (設計年) | 1998年にイギリス国防省の将来水上戦闘艦(FSC:Future Surface Combatant)構想として開発が始まり、2010年にBAE Systemsと「グローバル・コンバット・シップ(GCS)」としての詳細設計契約が締結。運用開始(初期運用能力の獲得)に関しては、1番艦であるHMS Glasgowが2028年に就役・運用開始を予定しており、計画されている全8隻が2028年から2035年にかけて順次運用開始となる予定。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | イギリス:イギリス海軍(水上艦隊:26型フリゲート[City級]全8隻を発注・建造・試験中であり、1番艦HMS Glasgowの海上試験を経て2028年からの順次就役を予定) オーストラリア:オーストラリア海軍(水上艦隊:多国籍ライセンス生産・派生型であるハンター級フリゲート[Hunter-class frigate]全6隻を発注・建造中であり、2030年代からの順次就役を予定) カナダ:カナダ海軍(水上艦隊:多国籍ライセンス生産・派生型であるリバー級駆逐艦[River-class destroyer]全15隻を発注・設計建造中であり、2030年代初頭からの順次就役を予定) ノルウェー:ノルウェー海軍(水上艦隊:26型フリゲート少なくとも5隻の導入を決定し調達手続きを推進中であり、2029年からの順次受領を予定) |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 基準排水量: 6,900 tonnes 満載排水量: 8,000 tonnes |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | L: 133.0 m (436 ft 4 in / 13,300 cm / 全長) W: 16.1 m (52 ft 10 in / 1,610 cm / 最大幅) D: 7.3 m (23 ft 11 in / 730 cm / 喫水) |
| Propulsion (機関): | CODLOG方式 (Combined Diesel-Electric or Gas / 複合ディーゼル・エレクトリックまたはガス推進) ガスタービン: 1 × Rolls-Royce MT30 ガスタービンエンジン (出力: 36 MW / 約 48,945 PS) ディーゼル発電機: 4 × MTU 20V 4000 M53B 高速ディーゼル発電機 (出力: 各 3,015 kW [約 4,100 PS] / 4基計 約 16,400 PS) 電動モーター: 2 × 電動推進モーター (2 shafts / 2 controllable-pitch propellers) |
| Speed (速力): | 26 kt 以上 |
| Range (航続距離): | 15 kt 巡航時 7,000 nm 以上 (電動モーター駆動時) |
| Complement (乗員数): | 標準乗組員 157名 〜 161名 (最大収容人数 208名) |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | 対空・対水上監視レーダー: BAE Systems Type 997 Artisan 3D 多機能監視レーダー 航海・対水上レーダー: Kelvin Hughes SharpEye 航海レーダー、Terma SCANTER 6000 2D X-Band 航海レーダー ソナーシステム: Thales Sonar 2087 曳航ソナーシステム (TASS)、Ultra Electronics Type 2150 艦首ソナー 光学・火器管制: 3 × Sea Eagle FCEO (Fire Control Electro Optical) 自衛・電子戦・通信: IRVIN-GQ DLF デコイシステム、Surface Ship Torpedo Defence (SSTD) 魚雷防御システム、SCOT-5 衛星通信 (SATCOM) |
| Armament (兵装): | 垂直発射システム (VLS): 12セル (48発分) Sea Ceptor (CAMM) 対空ミサイル用垂直発射装置 24セル Mk 41 VLS (ストライク・レングス / Tomahawk 巡航ミサイル、VL-ASROC 対潜ロケット、FC/ASW 対艦・対地ミサイル、ESSM 等に対応) 艦砲: 1 × BAE Systems Mk 45 Mod 4 5インチ (127mm) / 62口径 単装艦砲 機関砲 / CIWS: 2 × DS30M Mk 2 30mm 機関砲システム 2 × Mk 15 Phalanx 20mm CIWS (近接防空火器システム) 4 × 7.62mm M134 Minigun / 汎用機関銃 (GPMG) 架台 魚雷: 艦載固定魚雷発射管非搭載 (対潜魚雷は艦載ヘリコプターおよびVL-ASROCから運用) |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | 艦載機: 最大2機 搭載可能 (AgustaWestland Wildcat HMA2 または AgustaWestland Merlin HM2)、無人航空機 (UAV) 運用対応 ヘリコプター運用能力: CH-47 Chinook 着射対応の大型後部飛行甲板、密閉式大型ヘリコプター格納庫 積載能力: 拡張ミッション・ベイ (Flexible Mission Bay) を備え、コンテナ化ミッションモジュール、無人水上艇 (USV)、無人水中航走体 (UUV)、小型強襲艇 (ORC / RHIB) 等の積載・展開・移送機能に対応 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
PR:関連商品
画像の引用元
- By Ian Dick from Glasgow, UK – HMS Glasgow, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=127295484
- By Ministry of Defence – https://www.defenceimagery.mod.uk/, OGL v1.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=155489854
- By Dave souza – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=151749008



