
概要と開発の背景
MP7は、1990年代末にドイツのHeckler & Koch (H&K)が開発し、2001年に制式採用された個人防衛火器(PDW)および小型短機関銃である。1980年代末、NATO(北大西洋条約機構)は後方支援要員や車両・航空機搭乗員の自己防衛用装備として、防弾チョッキを着用した目標に対抗できる新たな小火器規格(CRISAT要求仕様)を制定した。当時広く普及していた9×19mmパラベラム弾を使用する従来型短機関銃(同社のMP5等)では、ケブラーやチタン板で補強された防護装備に対する貫通能力が不足していた。こうした課題を解決するため、小型・軽量でありながら高い防護装備貫通力を発揮する新開発の小口径高速弾を使用する次世代火器の開発がスタートした。FN HerstalのP90に対抗する形でHeckler & Kochが独自の4.6×30mm弾とともに提示したプロトタイプが改良を経て、MP7として正式に導入された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、ガラス繊維強化ポリマーを多用した軽量レシーバーと、同社のG36アサルトライフルに由来するショートストローク・ガスピストン作動および回転ボルト閉鎖機構を採用している点にある。従来のブローバック方式短機関銃と比較して射撃時の作動が滑らかであり、フルオート射撃時における銃口の跳ね上がりや反動が大幅に抑えられている。専用の4.6×30mmボトルネック型弾薬は、小口径でありながら高い初速を誇り、近〜中距離において優れた防護装備貫通能力と目標に対する効果的な低反動特性を高次元で両立している。伸縮式ストックや折りたたみ式フォアグリップ(MP7A2ではピカティニー・レールへ変更)を備え、ハンドガンサイズへのコンパクト化を達成した。左右どちらからでも操作可能なアンビ仕様の操作レバー群やピカティニー・レールによる各種光学照準器の拡張性など、現代的な設計思想が組み込まれている。
運用実績と評価
2001年の制式採用以降、ドイツ連邦軍(Infanterist der Zukunft計画等)をはじめ、アメリカ海軍特殊戦開発群(DEVGRU)やイギリス国防省警察、ノルウェー軍など世界各国の軍事組織・法執行機関で広く採用されている。実際の特殊作戦や警護ミッションにおいて、ハンドガン用ホルスターに収まる小型・軽量性と、防護服を着用した目標を低反動で無力化できる高い集弾性が具体的に高く評価された。初期型から滑り止めグリップやレールを改良した「MP7A1」、フロントグリップをピカティニー・レールに変更して各種アクセサリー装着に対応した「MP7A2」などの派生型が展開された。従来型サブマシンガンとアサルトライフルの隙間を埋める高機能PDWとして、現在に至るまで特殊部隊や要人警護の最前線で強固な立ち位置を獲得している。
| Official Name (正式名称) | H&K MP7 |
| Country of Origin (開発国) | ドイツ |
| Manufacturer (製造メーカー) | Heckler & Koch |
| Designed (設計年) | 1990年代後半にHeckler & KochがNATOのPDW要求に応じて設計・開発を進め、試験評価を経て、2001年頃から各国軍・特殊部隊で運用が開始された。その後、NATO加盟国を中心に採用が拡大している。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ海軍(SEAL Team Sixなど特殊部隊)、アメリカ陸軍(Delta Forceなど特殊作戦部隊)、アメリカ空軍(特殊戦術部隊)※MP7A1 ドイツ:ドイツ連邦軍(陸軍・海軍・空軍・特殊部隊:Kommando Spezialkräfte)※MP7/MP7A1 フランス:フランス軍(特殊部隊・憲兵治安部隊)※MP7A1 ノルウェー:ノルウェー軍(陸軍・特殊部隊)※MP7A1 オランダ:オランダ軍(海兵隊・特殊部隊)※MP7A1 韓国:大韓民国国軍(特殊戦司令部・海軍特殊戦旅団)※MP7A1 日本:海上保安庁(特殊警備隊)、警察庁(SAT)※MP7A1、陸上自衛隊特殊作戦群(4.6mm短機関銃(B)という名称の装備名で運用されている可能性が高いとされている) オーストリア:オーストリア軍(特殊部隊)※MP7A1 アイルランド:アイルランド国防軍(陸軍レンジャー部隊)※MP7A1 シンガポール:シンガポール軍(特殊作戦部隊)※MP7A1 マレーシア:マレーシア軍(特殊部隊)※MP7A1 インド:インド軍(特殊部隊)※MP7A1 イギリス:イギリス陸軍(Special Air Service)、イギリス海軍(特殊舟艇部隊SBS)※陸軍および海軍ともに、評価・限定調達をしている可能性があると長年指摘されているが詳細は不明(公式インベントリではない) |
| Type (種類) | 短機関銃 |
| Caliber (口径) | HK 4.6×30mm |
| Action (作動方式) | Gas-operated, short stroke piston, rotating bolt(ガス圧作動方式・ショートストロークピストン・回転式ボルト) |
| Overall Length (全長) | ストック展開時:638 mm (25.1 in) 折り畳み時:415 mm (16.3 in) |
| Barrel Length (銃身長) | 180 mm |
| Weight (重量) | MP7A1 : 1.9 kg MP7A2 : 1.96 kg |
| Rate of Fire (発射速度) | MP7 : 950-1,000 rpm MP7A1 : 850 rpm |
| Effective Range (有効射程) | 200 m |
| Feed System (給弾方式) | 20-, 30- or 40-round magazine |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
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