



概要と開発の背景
B&T APC9K PROは、2010年代末にスイスのB&T社(B&T AG / Brügger & Thomet)が開発した9x19mmパラベラム弾を使用する短機関銃(サブマシンガン)である。従来、要人警護(PSD)や特殊任務、車両搭乗員の近接防衛火器としては小型拳銃やH&K MP5Kなどが長年使用されてきた。しかし、拳銃では殺傷力や即応火力が不足し、従来の短機関銃では衣服の下や車内での隠蔽携帯(コンシールメント)性および最新光学照準器への拡張性に課題が生じていた。これを受け、アメリカ陸軍は2017年に高精度な隠蔽型火器を求める「サブ・コンパクト・ウェポン(SCW)」計画を発足させた。各国有力メーカーとの熾烈な比較試験を経て、2019年にB&T社の「APC9K PRO」が選定され、アメリカ軍において約50年ぶりとなる新型短機関銃としての制式調達が開始された。
構造と技術的特徴
本機の内部機構における特筆すべき工夫は、ボルト後退時の衝撃を著しく軽減するハイドロリック・バッファー(油圧緩衝装置)システムを組み込んでいる点にある。これにより、超小型ボディでありながらフルオート射撃時における跳ね上がり(マズルライズ)と体感反動が飛躍的に抑えられている。作動方式にはクローズドボルト方式のブローバック機構を採用し、高い初弾命中精度を確保した。従来型のAPC9から進化した「PRO」仕様では、射撃時に前後動しない非往復式(ノンリシプロケーティング)かつ自動折りたたみ可能なアンビ仕様チャージングハンドルが装備され、引っかかりを防止して操作安全性が向上している。さらに、フレーム(ロアレシーバー)部がシリアルナンバー非刻印の交換可能モジュールとなっており、B&T純正マガジン用だけでなく、Glock用やSIG P320用のマガジンに対応するロアへ即座に変更できる優れた拡張性を備えている。操作系もAR-15に準拠した配置となっており、兵士が熟練した操作感をそのまま活かせる点も設計上の強みである。
運用実績と評価
2019年にアメリカ陸軍のSCW(サブ・コンパクト・ウェポン)として採用されたことを皮切りに、アメリカ空軍や国土安全保障省(DHS)、さらにはアメリカ国内の各種法執行機関(マイアミビーチ警察等)や世界各国の特殊部隊において導入が進められた。実戦・訓練運用においては、全長約13〜15インチ(約330〜380mm程度)という圧倒的なコンパクトさと低反動性、そして高い信頼性が極めて高く評価されている。要人警護部隊がアタッシュケースや衣服の下に秘匿携行し、突発的な近接戦闘(CQB)へ即座に対応する火器として理想的な性能を発揮している。多種多様なマガジンやアクセサリー(M-LOKレールやサイレンサー用トライラグ等)を柔軟に組み合わせられる機能性から、現代のサブ・コンパクト・スモールアームズ分野における最新鋭の決定版として確固たる地位を確立している。
| Official Name (正式名称) | APC9K PRO |
| Country of Origin (開発国) | スイス |
| Manufacturer (製造メーカー) | B&T |
| Designed (設計年) | ベースシリーズであるAPC9の設計年は2010年であり、翌2011年より初期モデルの運用が開始されている。改良型であるAPC9 PROシリーズ、およびそれをベースに小型化したAPC9Kの設計および発表は2019年3月であり、同月にアメリカ陸軍の短機関銃(SCW)選定プログラムにおいて制式採用が決定したことで同年2019年より運用が開始されている。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(米陸軍憲兵隊傘下の要人警護部隊[PSD]やCID[犯罪捜査局]等においてAPC9K PROモデルを運用)、アメリカ空軍(要人警護部隊[PSD]や専門保安要員向けにAPC9K PROモデルを運用) アルゼンチン:アルゼンチン陸軍(特殊作戦部隊集団[Agrupación de Fuerzas de Operaciones Especiales]においてAPC9KおよびAPC9 PRO Gモデルを運用) ウクライナ:ウクライナ国防軍(国防省情報総局特殊部隊[クラーケン連隊]等において派生品であるAPC45モデルを運用) |
| Type (種類) | 短機関銃 |
| Caliber (口径) | 9×19mm Parabellum |
| Action (作動方式) | Roller-delayed blowback(ローラーディレード・ブローバック式) |
| Overall Length (全長) | ストック展開時:約522 mm 折り畳み時:約345 mm |
| Barrel Length (銃身長) | 約110 mm |
| Weight (重量) | 2.7 kg |
| Rate of Fire (発射速度) | 1,080 rpm |
| Effective Range (有効射程) | 100 m |
| Feed System (給弾方式) | 30-round magazine |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By PEO Soldier – https://www.army.mil/article/228980/peo_soldier_team_wins_2019_packard_award, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=121302338
- By Photo by Senior Airman Matt Porter Joint Base McGuire-Dix-Lakehurst Public Affairs – https://www.dvidshub.net/image/7803978/us-army-reserve-holds-last-iteration-guardian-shield, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=132246598
- By Sgt. 1st Class Richard Wooten – https://www.dvidshub.net/image/9965919/military-police-ready-force-train-day-and-night, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=201174006
- By Photo by Senior Airman Matt Porter Joint Base McGuire-Dix-Lakehurst Public Affairs – https://www.dvidshub.net/image/7803980/us-army-reserve-holds-last-iteration-guardian-shield, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=132246527




