あぶくま型護衛艦 / Abukuma-class destroyer escort

Abukuma-class destroyer escort
DE-232 せんだい

概要と開発の背景

あぶくま型護衛艦は、1980年代末(昭和61年度〜平成元年度計画)に日本の防衛庁(現・防衛省)および三井造船株式会社、日立造船株式会社、住友重機械工業株式会社によって開発・建造され、1989年(平成元年)より海上自衛隊へ導入された乙型護衛艦(DE)である。冷戦末期の昭和60年代、海上自衛隊では地方隊(沿岸警備部隊)において昭和40年代から運用されていた旧式護衛艦(「いすず型」や「ちくま型」等)の老朽化が進んでおり、近海・沿岸海域における防備網の維持および刷新が喫緊の課題となっていた。前級である「いしかり」や「ゆうばり型」は、省力化と運用性の高さを目指して開発されたコンパクトな船体(基準排水量1,400〜1,470トン)であったが、各種兵装の集積限界や将来の拡張性の乏しさが課題として示されていた。これを受け、対潜・対水上戦能力を汎用護衛艦(DD)と同等水準まで大幅に引き上げ、全天候下での継続的な沿岸警戒と即応力を兼ね備えた次世代沿岸防備アセットとして開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、前級ゆうばり型(基準排水量1,470トン)から2,000トンへと船体を拡大し、上甲板の傾斜設計(V字型シェルター甲板)や防音・耐候性能を向上させた点にある。推進機関にはCODAG方式に代わりCODOG(ガスタービン・ディーゼル複合)方式を採用し、Rolls-Royce plcが開発し川崎重工業がライセンス生産する「Spey SM1A」ガスタービン2基と、三菱重工業製「S12U-MTK」ディーゼルエンジン2基を組み合わせることで、優れた省燃費巡航と27ノット以上の高速追尾性能を両立した。前級ゆうばり型や汎用護衛艦「はつゆき型」の優れた戦闘要素を統合しており、主砲にはOto Melara社製の62口径76mm単装速射砲、対潜兵装には74式アスロック8連装発射機、対水上兵装にはハープーンSSM 4連装発射筒2基、さらに艦尾にはCIWS(高性能20mm機関砲)を標準配備した。ヘリコプター格納庫は持たないものの、高い運動性能と各種センサの統合メカニズムを備えている。

運用実績と評価

1989年12月に1番艦「あぶくま(DE-229)」が就役して以降、1993年までに同型艦計6隻(あぶくま、じんつう、おおよど、せんだい、ちくま、とね)が順次建造・配備された。制式採用以降、日本全国の地方隊(後の地方配備部隊・護衛隊)へ配置され、重要海峡の常時警戒監視や沿岸警備、日米共同演習などの各種実地訓練に従事した。実際の運用においては、コンパクトな船体でありながらアスロックやハープーンなどの強力な各種兵装を高密度に搭載した優れた即応性と全天候対応能力が具体的に高く評価された。ヘリコプター着艦設備を欠く点や後年の戦術データ処理統合能力の制限はあるものの、近海防備の要として30年以上にわたり極めて高い稼働率を維持した。2020年代に入り「もがみ型」護衛艦(FFM)への更新に伴う全艦除籍の方針が示される中、フィリピン海軍等への装備移転に関する協議が進められるなど、日本の造船技術と信頼性の高さを証明する実績を残している。

Official Name (正式名称)あぶくま型護衛艦 / Abukuma-class destroyer escort
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)三井造船 玉野事業所、住友重機械工業 追浜造船所浦賀工場、日立造船 舞鶴工場
Designed (設計年)1980年代半ばから、DE(沿岸護衛艦)として初のガスタービン・ディーゼル複合推進(CODOG)や本格的なステルス設計を取り入れ、沿岸防衛・警備能力の大幅な近代化を目指した「61中期防(昭和61年度中期防衛力整備計画)」に基づく新型護衛艦として設計が進められ、1988年に1番艦の建造を開始
1989年に1番艦「あぶくま」が就役し、1993年までに同型艦全6隻が地方隊へ配備されたことで、日本近海やチョークポイントの防衛を担う主力沿岸護衛艦としての本格的な運用が開始された護衛艦
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊(各地方隊 護衛隊:大湊地方隊大湊護衛隊に「ちくま」、舞鶴地方隊舞鶴護衛隊に「あぶくま」、呉地方隊呉護衛隊に「とね」、佐世保地方隊佐世保護衛隊に「じんつう」などを配備・運用中)
1番艦: DE-229 あぶくま (JS Abukuma) / 2番艦: DE-230 じんつう (JS Jintsu) ・3番艦: DE-231 おおよど (JS Ōyodo) / 4番艦: DE-232 せんだい (JS Sendai) ・5番艦: DE-233 ちくま (JS Chikuma) / 6番艦: DE-234 とね (JS Tone)
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量:2,000 t / 満載排水量:2,500 t
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水L: 109 m(全長) × W: 13.4 m(最大幅) × D: 3.8 m(喫水)
Propulsion (機関):CODOG(コンバインド・ディーゼル・アンド・ガスタービン)方式、2x 川崎・ロールスロイス オリンパスTM3B ガスタービン(加速用)、2x 三菱・中島第一機関 12V24HZ ディーゼル(巡航用)、2軸推進、出力:27,000 hp(ガスタービン使用時) / 4,600 hp(ディーゼル使用時)
Speed (速力):27 kt(約 50 km/h)
Range (航続距離):非公開(一般的な沿岸護衛艦に準ずる約 4,000 nm / 15 kt 巡航程度と推定)
Complement (乗員数):約 120 名
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):OYQ-7 艦載情報処理サブシステム(CDS)
OPS-28C 対水上レーダー(のちに一部艦はOPS-28W等へ換装)
OPS-14C 対空レーダー
OQS-8 艦首バウ・ソナー(のちに5番艦・6番艦にはOQR-1 曳航ソナー(TASS)を追加装備、初期艦も順次後日装備)
Armament (兵装):VLS(垂直発射システム):非搭載(セル数:0)
1x 76mm 62口径単装速射砲(イタリア・OTOメラーラ製、日本製鋼所ライセンス生産)
1x 20mm CIWS(高性能20mm機関砲)
1x Mk.16 8連装アスロック(ASROC)対潜ロケット発射機(艦中央部配置)
2x 3連装短魚雷発射管(HOS-301)
2x 4連装ハープーン(Harpoon)対艦ミサイル発射筒
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
搭載機数:0機
船体にヘリコプター格納庫および飛行甲板(ヘリデッキ)は装備しておらず、哨戒ヘリコプター等の常時艦載・運用能力はない。ただし、艦尾の甲板スペースを利用したVERTREP(空中荷役・ヘリによる物資吊り上げ)や人員の揚収には対応可能。
車両・貨物運搬能力:専用の貨物・車両格納エリアは非装備。地方隊に所属する沿岸警備用の小型戦闘艦であるため、自艦用の物資積載能力に留まる。

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=57321661
  2. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=57322596
  3. By マカラパ – Own work, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=194261277
  4. By Kamezukakofun – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=51206876
  5. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=57321526
  6. By Los688 – Own work, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5921246

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