Blue Ridge-class (LCC-19/20)

Blue Ridge-class (LCC-19/20)
USS Mount Whitney (LCC 20) 

概要と開発の背景

ブルーリッジ級揚陸指揮艦(Blue Ridge-class amphibious command ship)は、1960年代半ばにアメリカ合衆国のPhiladelphia Naval Shipyard(1番艦)およびNewport News Shipbuilding and Drydock Co.(2番艦)で開発・建造が進められ、1970年にアメリカ海軍へ制式就役した世界初の一から指揮・統制用途専用として設計された揚陸指揮艦である。第二次世界大戦および朝鮮戦争期において、アメリカ海軍は商船(C2型やC3型)を改修したAGC/LCC級指揮艦やイオージマ級ヘリコプター揚陸艦等を指揮プラットフォームとして運用していたが、これら既存の改修艦艇は航行速度が遅く(約15ノット程度)、20ノット以上の高速機動能力を持つ新型揚陸艦隊へ追従できない点が明確な課題となった。また、近代戦における複雑なC4I(指揮・統制・通信・コンピューター・情報)システムを単一の船体に統合収容する必要性が強く求められた。こうしたニーズに応える「LCC」計画として発足し、1964年に発注され、1967年に1番艦「ブルーリッジ(LCC-19)」が起工された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、イオージマ級ヘリコプター揚陸艦(LPH)の基本船体設計を踏襲しつつ、広大な上部構造物とアンテナ群の電波干渉を防ぐフラットな甲板構造を備えている点にある。機関部にはボイラー2基と蒸気タービン1基(出力22,000馬力)を完備し、1軸推進ながら23ノットの速力を発揮することで、機動部隊との高速展開に完勝する追従性を備える。艦内には大規模な統合作戦指揮センター(JOC)や通信センター、広大な会議施設、最新のC4I通信システム、暗号化衛星通信アンテナ群が集中配置され、艦隊司令官や陸上部隊指揮官が洋上から広域な作戦指導を完遂できる構造上の設計思想が盛り込まれている。また、巨大な各種高周波・衛星アンテナから発せられる強大な電磁波が自艦の航空運用や兵装系に与える干渉を抑えるため、全通型飛行甲板(後部)とマストの配置に高度な設計上の配慮がなされている。自衛兵装としてはPhalanx CIWS 2基やMk 38 25mm機関砲などを完備する。

運用実績と評価

1970年の1番艦「ブルーリッジ(LCC-19)」および1971年の2番艦「マウント・ホイットニー(LCC-20)」の制式就役以降、アメリカ海軍専有の基幹旗艦アセットとして現在に至るまで運用されている。1番艦ブルーリッジは横須賀(日本)に前方配備され第7艦隊旗艦として、2番艦マウント・ホイットニーはガエタ(イタリア)等に配置され第6艦隊およびNATO打撃・支援部隊旗艦として半世紀以上にわたり就役している。ベトナム戦争末期の撤退作戦(フリークエント・ウィンド作戦)や1990年代の湾岸戦争、コソボ紛争、アフガニスタン紛争、イラク戦争、さらには東日本大震災における人道支援(トモダチ作戦)に至るまで、世界規模の戦略作戦における洋上総司令部として投じられた。商船改造の前級と比較して、圧倒的なC4I指揮通信能力と高速機動性が具体的かつ極めて高く評価された。度重なる通信・電子機器の近代化改修を重ねつつ、2039年までの長期運用が計画されており、現代のアメリカ海軍における最高峰の海洋指揮・統制プラットフォームとして不変の立ち位置を占めている。

Official Name (正式名称)Blue Ridge-class (LCC-19/20)
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)Philadelphia Naval Shipyard (1番艦 LCC-19 Blue Ridge)
Newport News Shipbuilding and Drydock Co. (2番艦 LCC-20 Mount Whitney)
Designed (設計年)1963年に構想・設計が開始され、約4年間の計画・設計期間を経て1967年に起工
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ海軍 (United States Seventh Fleet旗艦:USS Blue Ridge (LCC-19)/United States Sixth Fleet旗艦:USS Mount Whitney (LCC-20))
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量: 約 16,100 long tons (約 16,358 tonnes)
満載排水量: 18,874 long tons (約 19,177 tonnes) – 19,609 long tons (約 19,924 tonnes)
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水W (全長): 193.2 m (634 ft)
H (全幅/最大幅): 32.9 m (108 ft)
D (喫水): 8.15 m – 8.8 m (26.75 ft – 28.9 ft)
Propulsion (機関):2 × Boilers (ボイラー)
1 × Geared Steam Turbine (ギヤード蒸気タービン)
1 × Shaft (1軸推進)
出力: 22,000 shp (約 22,307 PS / 約 16,000 kW)
Speed (速力):23 kt (約 42.6 km/h)
Range (航続距離):16 kt 巡航時: 13,000 nm (約 24,076 km) (最高速巡航時等での表記: 10,000 nm / 約 18,520 km)
Complement (乗員数):艦固有乗員: 約 598名 (士官 34名 + 兵員 564名) – 約 842名 (士官 52名 + 兵員 790名)
司令部要員含む総収容数: 最大 約 1,441名 – 2,750名 (司令部士官・兵員および幕僚等の宿泊用施設含む)
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー)
AN/SPS-48E 3D Air Search Radar (対空3次元レーダー)
AN/SPS-40E Air Search Radar (対空2次元レーダー)
AN/SPS-67 / AN/SPS-73 Surface Search / Navigation Radar (対水上・航法レーダー)
AN/SLQ-32(V)3 Electronic Warfare System (電子戦装置)
AN/SLQ-25 Nixie Towed Torpedo Decoy (対魚雷デコイ)
USC-38 / WSC-3 等 各種高度衛星通信(SATCOM)・C4I戦術データリンク統合システム
Armament (兵装):機関砲: 2 × Mk 38 25mm Bushmaster Cannons (25mm単装機関砲 2基)
CIWS: 2 × Mk 15 Phalanx 20mm CIWS (近接防空火器システム 2基)
重機関銃: 4 – 8 × M2 .50 cal (12.7mm) 重機関銃
デコイ: Mk 36 SRBOC Chaff Launchers (チャフ発射機)
※過去に装備されていた Mk 33 3インチ連装砲および BPDMS シースパロー発射機は撤去済み
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
艦載機: CH-53 Sea Stallion を除く各種ヘリコプター (MH-60S / MH-60R 等) 最大2機運用可能 (後部大型飛行甲板および格納庫完備)
積載能力: 艦艇自体は司令部および通信機能に特化しているため、車両や重貨物の大量上陸揚陸用輸送能力(LCAC等バウドア/ウェルドック)は非搭載。主として各種指令部車載通信装置・幕僚用資機材・各種小型艇(作業艇・将官艇)等の揚収・積載に対応

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Cpl. DeAndre Dawkins – SeaPower, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=178681443
  2. By U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist Seaman Rachel N. Hatch – This image was released by the United States Navy with the ID 091117-N-6233H-591 , Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10207635

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