25式高速滑空弾 / Type 25 Hyper Velocity Gliding Projectile

25式高速滑空弾

概要と開発の背景

25式高速滑空弾(にいごしきこうそくかっくうだん / 25HGP)は、2018年度(平成30年度)より防衛省防衛装備庁と三菱重工業株式会社によって研究開発が進められ、2026年(令和8年)3月に陸上自衛隊へ制式配備された日本初の地対地極超音速滑空兵器(HVGP)である。開発段階では「島嶼防衛用高速滑空弾(HVGP)」の名称で呼ばれてきた。東アジア情勢の緊迫化に伴い、離島侵攻が発生した際、敵部隊の脅威圏外である遠方(本州や九州など)から迅速に侵攻勢力を阻止・無力化する「スタンド・オフ防衛能力」の確保が急務とされた。従来の地対地ミサイルや通常火砲では射程や飛翔速度に限界があり、既存の防空網を突破して島嶼部へ即応打撃を与える手段が十分ではなかった。これを受け、既存技術を応用した早期装備型(ブロック1)から長射程化・高機能化を図る段階的開発アプローチのもと、新世代の長距離精密打撃火器として整備がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、大型の固体ロケットブースターで高高度(高度40km〜80kmの大気圏上層)まで打ち上げられた後、弾頭部である「極超音速滑空体(HGV)」が分離し、大気圏内を超高速で滑空飛行する飛翔メカニズムを採用している点にある。最高速度はマッハ5以上の極超音速に達し、複雑な旋回・変則軌道を描きながら滑空するため、従来の弾道ミサイル防衛システムや地対空ミサイルによる迎撃を極めて困難にしている。誘導方式にはGPS(衛星測位)と慣性誘導(INS)を複合導入し、高高度から目標へ正確に突入する仕組みを持つ。発射機は大型の重装輪回収車の車台をベースに2連装のキャニスターを搭載した自走式であり、車体後部からランチャーを垂直に立ち上げて射撃を行う構造が採られている。巡航ミサイルと比較して圧倒的な飛翔速度と高い透過能力を両立している。

運用実績と評価

2026年3月に陸上自衛隊富士学校(富士駐屯地)の特科教導隊第5中隊をはじめ、北部方面隊や西部方面隊の特科部隊へ配備された。同年6月の富士総合火力演習において発射車両の展示および垂直発射姿勢が一般へ初公開され、自衛隊が運用する事実上の長射程長距離滑空兵器として大きな注目を集めた。実戦的演習においては、日本本土の安全な陣地から侵攻された離島や海上目標へ迅速な間接火力を投射できるスタンド・オフ能力の実効性が評価されている。早期装備型であるブロック1(射程約500km〜900km)に続き、ウェーブライダー技術の導入や極超音速化・射程3,000km化を目指す「ブロック2A/2B」の開発や、対艦用途・潜水艦発射型の検討も進められている。専守防衛の枠組みにおいて日本が保有する最も高度な長距離打撃アセットとして配備・運用が行われている。

Official Name (正式名称):25式高速滑空弾 / Type 25 Hyper Velocity Gliding Projectile (25HGP、25HVGP)
Country of Origin (開発国):日本
Manufacturer (製造メーカー):三菱重工業
Designed (設計年):防衛省技術研究本部(現・防衛装備庁)と三菱重工業による「25式高速滑空弾」の開発設計は、初期型(ブロック1)の開発が2018年度(平成30年度)から開始され、2025年(令和7年)6月から8月に米国での最終となる第2次発射試験等を成功させて開発を完了したのち、2026年(令和8年)3月31日に部隊使用承認が下りて「25式高速滑空弾」と正式に命名され、同月末に静岡県の富士駐屯地に所在する特科教導隊等へ配備されたことで正式な運用を開始
Primary Operators (主な運用組織):日本:陸上自衛隊(野戦特科部隊に配備。2026年3月31日の部隊使用承認に伴い、まずは教育訓練および運用の基盤構築を目的として、静岡県の富士駐屯地に所在する「富士教導団 特科教導隊」などの教導部隊・学校関係機関へ初期型(ブロック1)の配備が完了・運用を開始。なお、防衛省のロードマップとして自衛隊内での技術的派生・発展型である、射程を3,000km級に延伸し滑空体を高性能化した「高速滑空弾能力向上型(ブロック2)」の開発が三菱重工業等を中心に進められており、将来的に陸上自衛隊の長射程ミサイル部隊等へ追加配備される計画となっている)
Type (種類):地対地弾道弾 / スタンド・オフ・ミサイル
Caliber / Diameter (口径/ミサイル直径):約800mm〜900mm (※ブースターを含む本体直径。滑空弾頭自体は複雑な非円筒の翼付き形状構造)
Guidance System (誘導方式):GPS誘導 + 慣性誘導(INS) (※中途航程、さらに終末航程では移動標的への精密突入のため、アクティブ・レーダー・ホーミング方式や赤外線イメージング画像誘導等の複合シーカーを併用)
Overall Length (全長/キャニスターサイズ):ミサイル(ブースター+滑空体)全長 約8.0m〜9.0m
Wingspan (翼幅):展開時・折り畳み時ともに詳細な数値は非公表 (※大気圏内を極超音速で滑空・旋回するための小型の制御翼・安定翼を備えるが詳細は非公開)
Weight (重量/総システム重量):ミサイル単体重量 約3,000kg〜4,000kg級
総システム重量は非公表 (ただし、専用の自走式発射機(1両あたり2発搭載のコンテナ式等)をベースとした機動運用車両システムで構成)
Flight Speed (飛翔速度):最大速度 マッハ5〜マッハ7 (極超音速)
Effective Range (有効射程):約300km〜500km (※2026年3月に配備された初期型ブロック1の数値。報道や資料によっては最大約900kmともされる。なお、2030年代に向けて射程2,000km〜3,000kmの能力向上型ブロック2も開発中)
Warhead & Propulsion (弾頭/推進方式):装甲貫徹型高密度爆風破片(大領域制圧型)弾頭、または精密対地・対艦用弾頭 / 推進方式:高推力1段式固形燃料ロケット・ブースター(打ち上げ用) + 高速滑空体(大気圏内無動力滑空)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By 防衛省 (Ministry of Defense) – https://www.mod.go.jp/j/press/news/2025/02/07b.html, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=162746011
  2. By 防衛省陸上自衛隊(Ministry of Defense (Japan)Japan Ground Self-Defense Force) – 防衛省 陸上自衛隊 公式X https://x.com/JGSDF_pr/status/2038819968880627751?lang=ja, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=195440298

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