
概要と開発の背景
はたかぜ型練習艦は、1980年代に日本の防衛庁(現・防衛省)および三菱重工業株式会社(長崎造船所)、石川島播磨重工業株式会社(現:株式会社IHI)によって開発・建造され、2020年(令和2年)より順次練習艦へと種別変更・導入された海上自衛隊の練習艦(TV)である。本型はもともと、昭和50年代末から60年代にかけて旧式のミサイル護衛艦(DDG)「あまつかぜ」などの更新および第3世代のターター系ミサイル護衛艦として建造された。全通ガスタービン(COGAG)推進や優れた対空追尾機能を備え、長年にわたり護衛艦隊の防空中枢として運用されてきた。その後、最新鋭のイージス護衛艦「まや型」の就役に伴い、老朽化した旧型の練習艦「やまぎり型」や「せとゆき」などの代替・教育基盤の強化ニーズに応えるため、1番艦「はたかぜ(TV-3520)」が2020年に、2番艦「しまかぜ(TV-3521)」が2021年に練習艦へ種別変更された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、前級の「たちかぜ型」や蒸気タービン艦の設計から一転し、イージス艦以前の在来型ミサイル護衛艦として完成された重装備と高い機動性能をそのまま維持しつつ、教育実習用プラットフォームへと改装された点にある。主機関にはガスタービンエンジン4基によるCOGAG推進方式を採用し、30ノットの高速巡航性能を誇る。艦前後に54口径5インチ単装速射砲2基を備え、艦首には対空ミサイル用「Mk 13 単装発射機」、艦央にはハープーンSSMやアスロック発射機を高密度に配置する。練習艦への種別変更に際しては、5インチ砲前の第2甲板に乗員用女性専用区画を自衛隊潜水艦・旧型艦の知見を活かして新設したほか、士官室の一部を仕切って実習員用講堂や海図作業区画へと転用した。さらに、艦番号のロービジ(低視認)塗装化や一部通信アンテナの改修など、実戦能力と教育機能を両立させる工夫が凝らされた。
運用実績と評価
2020年3月に1番艦「はたかぜ」、2021年3月に2番艦「しまかぜ」がそれぞれ練習艦隊第1練習隊(呉基地)へ編入され、初任幹部自衛官の洋上教育に投入された。制式採用(練習艦転用)以降、幹部候補生を乗せた近海練習航海や遠洋練習航海に従事し、アメリカ海軍の航空母艦や巡洋艦との共同訓練、東南アジアや南米諸国との親善訓練を精力的に実施した。現場での運用においては、元ミサイル護衛艦ならではの多彩かつ本格的な各種兵装や各種レーダーシステムを活用した質の高い実践的訓練が可能である点が具体的に高く評価された。なお、1番艦「はたかぜ」は艦齢38年を超えた2025年3月17日に除籍となったものの、2番艦「しまかぜ」は整備状態の良さから引き続き練習艦として第一線で運用されており、現代の海上自衛隊における幹部育成と多国間海洋外交を支える極めて重要な立ち位置を占めている。
| Official Name (正式名称) | はたかぜ型練習艦 / Hatakaze-class training ship |
| Country of Origin (開発国) | 日本 |
| Manufacturer (製造メーカー) | 三菱重工業 長崎造船所 |
| Designed (設計年) | 五三・五六中業中の昭和56年度(1981年度)計画および昭和58年度(1983年度)計画において基本設計および予算化が行われ、護衛艦(DDG)として1番艦が1986年3月27日、2番艦が1988年3月23日に竣工・就役 その後、艦齢や後継艦の就役に伴う種別変更により、1番艦「はたかぜ」が2020年3月19日、2番艦「しまかぜ」が2021年3月19日にそれぞれ練習艦としての運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本: 海上自衛隊(防衛大臣直轄部隊 練習艦隊:練習艦隊司令部直轄の第1練習隊に練習艦「しまかぜ(TV-3521)」を配備・運用中)※1番艦「はたかぜ(TV-3520)」は2025年3月に除籍 |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 基準排水量:4,600 t(1番艦「はたかぜ」) / 4,650 t(2番艦「しまかぜ」) 満載排水量:5,900 t(1番艦「はたかぜ」) / 5,950 t(2番艦「しまかぜ」) |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | 全長 150.0 m × 最大幅 16.4 m × 喫水 4.8 m(深さ 9.8 m) |
| Propulsion (機関): | 全ガスタービン推進方式(COGAG方式)、ガスタービンエンジン4基、2軸推進、総出力:72,000 PS |
| Speed (速力): | 約30 kt(約56 km/h) |
| Range (航続距離): | 非公開 |
| Complement (乗員数): | 約260人(※実習幹部等を含む練習艦変更後の定員) |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | 3次元レーダー:AN/SPS-52C 対空捜索レーダー:OPS-11C 対水上捜索レーダー:OPS-28 射撃指揮装置:型式非公開(※公式主要要目シート上でのレーダー型式・FCS型式の指定・公開は「主要兵装」のみとなっており、センサーの細部型式は公式スペック上非公開扱い。旧護衛艦時代はFCS-2等搭載) ソナー:OQS-4(I) |
| Armament (兵装): | 艦砲:2x 73式54口径5インチ単装速射砲 CIWS:2x 高性能20mm機関砲 誘導弾発射装置:1x Mk.13 Mod4 単装ミサイル発射機(スタンダードSAM用) SSM(対艦ミサイル):ハープーンSSM 4連装発射筒 2基(SSM装置一式) SUM(対潜ミサイル):74式アスロック 8連装発射機 1基(アスロック装置一式) 魚雷:2x 68式3連装短魚雷発射管 |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | 載機数:定数としての常時艦載機は0機(固有の格納庫は持たない)。ただし、艦後部にヘリコプター発着甲板(飛行甲板)を備え、ヘリコプターの運用・発着艦能力を有している。 車両・貨物運搬能力:非装備(実習用の訓練設備、居住区、講堂以外の車両運搬用甲板や貨物倉庫等の積載能力は持たない)。 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- 海上自衛隊, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=136417616による



