
概要と開発の背景
L118A1(および折りたたみストック仕様の L118A2)は、1980年代末から1990年代初頭にかけてイギリスの火器メーカーである Accuracy International Ltd. が開発し、1990年代にイギリス軍や同盟国軍へ制式導入された7.62mm口径(7.62×51mm NATO弾)のボルトアクション式精密狙撃銃である。開発の背景には、1980年代半ばにイギリス軍へ導入された前身の L96A1(Accuracy International PM)が、極寒地や過酷な環境下においてボルトの凍結や作動障害を引き起こす可能性が指摘された事情が存在した。スウェーデン軍における -40 ℃の過酷な寒冷地環境下で行われた狙撃銃トライアル(Psg 90 選定)に対応するため、既存の L96A1 に凍結防止用のボルト溝(シャーシ・ボルトフラウティング)の施工や大型パーツの追加などの寒冷地改修(Arctic Warfare 対策)を施した新型プラットフォームが設計された。これにより、極寒地でも不全を起こさない絶対的な作動信頼性と高度な着弾精度を兼ね備えた標準狙撃アセットとして配備がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、アルミニウム合金製センタースルー・シャーシを2枚のポリマー製ストックパネルで挟み込む「AICS(Accuracy International Chassis System)」構造を基盤とし、極寒地での安定作動を追求したメカニズムを採用している点にある。ボルト本体の表面には螺旋状の溝(フリューティング)が刻まれており、氷結や泥・砂塵が侵入した際にも異物を逃がして確実にボルトの開閉・閉鎖動作を完遂させる工夫がなされている。作動方式には60度の短い回転角を持つ手動ボルトアクション機構とスチール製削り出しレシーバーを導入し、手袋を着用した状態でも素早いコッキングを可能にしている。ライバル機である従来のアメリカ製 M24 SWS などの伝統的な木製・グラスファイバー製ストック小銃と比較して、天候や温度変化による着弾点のズレ(ZEROシフト)が発生しない圧倒的な剛性と環境耐久性を実現した。L118A1 は固定ストック構造を持ち、L118A2 は可倒式(折りたたみ)ストック構造を採用することで携行性を高めている。
運用実績と評価
制式化以降、L118A1 および L118A2 はイギリス陸軍の歩兵部隊やイギリス軍特殊部隊(UKSF)、スウェーデン軍(Psg 90)、オーストラリア軍(SR-98)、オーストラリア警察、ドイツ連邦軍(G22原形)、ならびにNATO各国軍や法執行機関で広く制式採用・運用された。実際の運用においては、1990年代のバルカン半島での治安維持任務をはじめ、イラク戦争やアフガニスタン紛争における長距離警戒・過酷な山岳地帯での作戦行動に投入された。寒冷地から砂漠まで過酷な温度差や環境下においても一貫して高い動作信頼性と優れた精度を発揮し、遠距離の標的を精確に無効化できる性能が各国の精鋭部隊から高く評価された。後に導入される大口径の L115A3(.338 Lapua Magnum)や軽量半自動型の L129A1 シャープシューターライフルへの補完・更新が進められたものの、高精度ボルトアクション狙撃銃の最高峰として世界各国の防衛機関において確固たる評価を獲得し運用された。
| Official Name (正式名称) | L118A1/A2/A3 |
| Country of Origin (開発国) | イギリス |
| Manufacturer (製造メーカー) | Accuracy International |
| Designed (設計年) | Accuracy International社が開発したL118A1(固定銃床モデル[AW])は、スウェーデン軍向けのトライアル開発等を経て1980年代末(1988年頃)に設計され、1990年代にイギリス特殊部隊(UKSF)等へ導入される形で公式な運用を開始。その折り畳み銃床仕様(AWF)であるL118A2については、1990年代に設計・部隊配備されて運用が開始されている。さらなる改良型とされるL118A3に関しては、公式の設計年および運用開始年は不明 |
| Primary Operators (主な運用組織) | イギリス:イギリス陸軍、王立海兵隊、イギリス空軍(RAF連隊)、およびイギリス特殊部隊(UKSF:イギリス陸軍特殊部隊SASやイギリス海軍特殊部隊SBS等)(※L118A1[固定銃床仕様のAW]およびL118A2[折り畳み銃床仕様のAWF]が制式導入され、7.62x51mm NATO弾を使用する精密狙撃用アセットとして運用。L118A3に関しては、配備記録非公開のため不明) |
| Type (種類) | ボルトアクション式狙撃銃(Bolt-action sniper rifle) |
| Caliber (口径) | 7.62×51mm NATO |
| Action (作動方式) | ボルトアクション(Bolt-action) |
| Overall Length (全長) | L118A1(固定ストック):1,180 mm(46.5 in) L118A2(ストック展開時):1,180 mm(46.5 in) L118A2(ストック折り畳み時):折り畳みにより全長が約225mm(8.8 in)短縮されるが、公式データがないため不明 L118A3:不明 |
| Barrel Length (銃身長) | 660 mm(26 in)(一部仕様データ等の個別記載では 685.8 mm(27 in)とされる場合もあり) |
| Weight (重量) | 約 6.5 kg – 6.6 kg(14.3 – 14.5 lb)(弾薬およびスコープ等を含まない本体の空重量) |
| Rate of Fire (発射速度) | ボルトアクション(Bolt-action) |
| Effective Range (有効射程) | 約 800 m(875 yd) |
| Feed System (給弾方式) | 10-round detachable box magazine |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
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