
概要と開発の背景
12式地対艦誘導弾(ひとにいしきちたいかんゆうどうだん / SSM-2)は、2000年代半ばより防衛省技術研究本部(現:防衛装備庁)と三菱重工業株式会社によって開発が進められ、2012年(平成24年)に陸上自衛隊へ制式導入された第4世代の地対艦ミサイルシステムである。冷戦期に整備された前級の88式地対艦誘導弾(88SSM)は、東アジアにおける近隣諸国の水上艦艇の急速な近代化や対空防衛網の強化、さらには島嶼部防衛という新たな安全保障環境の変化に対して、誘導精度や対電子妨害能力(ECCM)の向上が課題となっていた。また、運用の省力化や再装填時間の短縮、ライフサイクルコストの削減も強く求められた。これを受け、南西諸島をはじめとする沿岸・島嶼地域への迅速な機動展開と、最新鋭艦艇の対空防衛網を打破できる高度な精密打撃能力を備えた後継装備として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、自衛隊の対艦ミサイルとして初めてミサイル先端シーカーにKaバンドAESA(有相アレイ)アクティブ・レーダーを採用した点と、中間誘導にGPS(衛星測位)と地形照合(TERCOM)を複合導入した点にある。これにより、従来の慣性誘導のみと比較して圧倒的な誘導精度と強固な耐電子妨害能力を獲得した。発射機車両の車台には、従来の73式大型トラックから走破性と自走力に優れる重装輪回収車ベースの8輪重装輪車台へ変更され、6連装の角型キャニスターを搭載する。推進器には推力偏向装置を備えた初期加速用固体ロケットブースターと巡航用小型ターボジェットエンジンが組み合わされている。さらに、自衛隊の戦術データリンクと連動し、自部隊のレーダーだけでなく他プラットフォームからの目標情報をリアルタイムで受け取って発射・修正を行う高度なネットワーク射撃構造が確立された。
運用実績と評価
2015年の本格配備開始以降、陸上自衛隊の第5地対艦ミサイル連隊(健軍駐屯地)を皮切りに、南西諸島防衛の要となる奄美大島、宮古島、石垣島、沖縄本島などの各警備部隊・地対艦ミサイル部隊へ集中配備された。日米共同演習や太平洋合同演習(RIMPAC)等の実弾射撃訓練へ投入され、GPS・AESA複合誘導による長距離からの確実な目標捕捉と高い着射精度が証明された。前級の88SSMと比較して、車台の悪路走破性能と離着陣速度、再装填効率が飛躍的に向上した点が具体的に実証された。また、本誘導弾は国家防衛戦略に基づく「スタンド・オフ防衛能力」の柱として位置づけられ、射程を大幅延伸(約200kmから900km〜1,200km以上へ)し、ステルス形状の導入や衛星データリンク機能を備えた「12式地対艦誘導弾(能力向上型)」への発展と、陸・海・空の各プラットフォームへの汎用展開が進められている。
| Official Name (正式名称): | 12式地対艦誘導弾 / Type 12 surface-to-ship missile |
| Country of Origin (開発国): | 日本 |
| Manufacturer (製造メーカー): | 三菱重工業 |
| Designed (設計年): | 日本の防衛省技術研究本部(現・防衛装備庁)と三菱重工業による「12式地対艦誘導弾」の開発設計は、2001年度(平成13年度)から「技術試験(部内研究含む)」や構成要素の開発が順次開始され、2006年度(平成18年度)から2011年度(平成23年度)にかけて本格的な試作・実用試験等のシステム開発が行われたのち、2012年度(平成24年度)に予算調達および部隊配備に向けた契約が開始されたことで正式な運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織): | 日本:陸上自衛隊(野戦特科部隊に配備。具体的には西部方面隊直轄の「第5地対艦ミサイル連隊(健軍駐屯地)」、南西諸島防衛の核心を担う「第7地対艦ミサイル連隊(勝連分屯地・瀬戸内分屯地・宮古島駐屯地・石垣駐屯地)」、および教育・教導機関である「陸上自衛隊富士学校」や「富士教導団 特科教導隊」等で運用) |
| Type (種類): | 地対艦誘導弾 |
| Caliber / Diameter (口径/ミサイル直径): | 約350mm (※前身の88式地対艦誘導弾とほぼ同径の弾体サイズ) |
| Guidance System (誘導方式): | 慣性誘導(INS) + GPS誘導 (中途航程) / アクティブ・レーダー・ホーミング方式 (終末航程) |
| Overall Length (全長/キャニスターサイズ): | 約5,000mm (5.0m) |
| Wingspan (翼幅): | 約1,200mm (1.2m ※主翼展開時、保管・角型キャニスター収納時は折り畳み式) |
| Weight (重量/総システム重量): | ミサイル単体重量 約700kg / 総システム重量は非公表 (ただし、重装輪回収車と共通の車台を用いた自走式発射機(ミサイル6発搭載)等を含めたシステム全体で運用) |
| Flight Speed (飛翔速度): | 亜音速 (高亜音速マッハ0.9前後) |
| Effective Range (有効射程): | 約200km (※なお、現在配備が始まっている「25式地対艦誘導弾(12式地対艦誘導弾能力向上型)」は最大射程約1,000km以上に延伸) |
| Warhead & Propulsion (弾頭/推進方式): | 徹甲榴弾(HE-AP) / 推進方式:固形燃料ロケット・ブースター(発射加速用) + ターボファン・エンジン(巡航用)の2段階推進 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By 防衛省 – 出典:防衛省ホームページ https://www.flickr.com/photos/90465288@N07/25066741637/in/set-72157632230016328/, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=88146564




