そうりゅう型潜水艦 / Sōryū-class submarine

Sōryū-class submarine
SS-502 うんりゅう

概要と開発の背景

そうりゅう型潜水艦は、2000年代半ばから2010年代にかけて日本の防衛省および三菱重工業株式会社、川崎重工業株式会社によって開発・建造され、2009年(平成21年)より海上自衛隊へ導入された第5世代の通常攻撃型ディーゼル潜水艦(SS)である。前級「おやしお型」では高い静音性と側面ソナーによる探知能力を確立したものの、シュノーケル(吸排気筒)航行を伴わない水中長期間滞空能力(潜航持続力)の更なる延伸が課題とされていた。周辺国海軍の対潜哨戒網が強化される中、シュノーケリング時に発生する熱・音響およびレーダー反射リスクを極限まで減らし、海中に長期間潜伏できる能力が強く求められた。これを受け、前級おやしお型の船体設計をベースに大型化を図り、日本で初となる非大気依存推進(AIP)システムおよび最新鋭リチウムイオン電池を統合した超長滞空型潜水艦(計画時名称: 16SS)として開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、前級おやしお型(基準排水量2,750トン)から2,950トン(水中排水量4,200トン)へと艦体を拡大し、スウェーデンのSaab Kockums社が開発し川崎重工業がライセンス生産したスターリング機関(V4-275R)を4基導入した点にある。これにより、バッテリーの急速消費を防ぎつつ低速での数週間に及ぶ連続潜航を可能にするAIP(非大気依存推進)メカニズムを確立した。舵の形状には従来の十文字型から、着底や接岸時の破損を防ぎ着底能力と舵効きを高める「X舵」を自衛隊潜水艦で初採用した。さらに11番艦「おうりゅう」および12番艦「とうりゅう」では、スターリング機関と鉛蓄電池を完全に撤去し、高エネルギー密度と急速充電性能を誇る株式会社GSユアサ製の「リチウムイオン電池」を世界で初めて実用搭載した。これにより、AIP以上の水中持続力と高速潜航性能を兼ね備える画期的なシステム革新を果たした。

運用実績と評価

2009年3月に1番艦「そうりゅう(SS-501)」が就役して以降、2021年までに同型艦計12隻(そうりゅう、うんりゅう、はくりゅう、けんりゅう、ずいりゅう、こくりゅう、じんりゅう、せきりゅう、せいりゅう、しょうりゅう、おうりゅう、とうりゅう)が順次制式配備され、自衛艦隊の潜水隊群へ集中配置されている。制式採用以降、日本周辺海域の重要海峡・警戒海域での監視任務や日米共同演習(RIMPAC等)、ハワイ沖派遣訓練へ投入されている。実際の運用においては、AIP機関やリチウムイオン電池による圧倒的な水中静粛性と潜航耐久能力を発揮し、対潜能力に長けた水上艦艇・航空機を相手にした演習で極めて高い隠密性と即応性を具体的に証明した。世界最高水準の通常動力型潜水艦として国際的にも高く評価され、オーストラリア海軍の次期潜水艦選定(SEA 1000)でも有力候補に挙げられたほか、後継である「たいげい型」への確固たる技術的架け橋として極めて重要な立ち位置を占めている。

Official Name (正式名称)そうりゅう型潜水艦 / Sōryū-class submarine
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)三菱重工業 神戸造船所、川崎重工業 神戸工場
Designed (設計年)2000年代初頭から、それまでのおやしお型潜水艦の設計をベースにしつつ、海上自衛隊初となる非大気依存推進(AIP)システム(スターリング機関)の導入や「X舵」の採用による運動性能の向上を目指した次世代型潜水艦として設計が進められ、2005年に1番艦の建造を開始
2009年に1番艦「そうりゅう」が就役したことで、水中持続力と隠密性を劇的に向上させた主力潜水艦としての本格的な運用が開始された潜水艦
Primary Operators (主な運用組織)日本: 海上自衛隊(自衛艦隊 潜水艦隊:第1潜水隊群、第2潜水隊群、および潜水艦教育訓練隊に、AIP搭載型の初期・中期建造艦「SS-501 そうりゅう」「SS-502 うんりゅう」「SS-503 はくりゅう」「SS-504 けんりゅう」「SS-505 ずいりゅう」「SS-506 こくりゅう」「SS-507 じんりゅう」「SS-508 せきりゅう」「SS-509 せいりゅう」「SS-510 しょうりゅう」、ならびに世界初のリチウムイオン電池搭載型である後期建造艦「SS-511 おうりゅう」「SS-512 とうりゅう」の全12隻を配備・運用中)
Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量基準排水量:2,950 t / 水中(満載)排水量:4,100 t(※11番艦「おうりゅう」以降のリチウムイオン電池搭載艦は基準排水量:3,000 t / 水中排水量:4,200 t)
Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水L: 84 m(全長) × W: 9.1 m(最大幅) × D: 8.5 m(深さ:10.3 m)
Propulsion (機関):【1〜10番艦】スターリング・エレクトリック方式(AIP)、2x 川崎重工 12V25/25SB ディーゼル機関、4x 川崎・コッカム V4-275R スターリング機関、1x 推進電動機、1軸推進、出力:水上 3,900 hp / 水中 8,000 hp
【11・12番艦】ディーゼル・エレクトリック方式(リチウムイオン電池駆動)、2x 川崎重工 12V25/25SB ディーゼル機関、1x 推進電動機、1軸推進、出力:水上 3,900 hp / 水中 8,000 hp
Speed (速力):水上:13 kt(約 24 km/h) / 水中:20 kt(約 37 km/h)
Range (航続距離):非公開(AIP(スターリング機関)および後期艦のリチウムイオン電池により、低速潜航時の水中持続力が従来型より劇的に向上)
Complement (乗員数):約 65 名
Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー):ZQQ-7 潜水艦ソナーシステム(艦首円筒形ソーナー、側面配置ソーナー、えい航ソーナー(TASS)、逆探ソーナー等で構成)
ZPS-6F 潜水艦用対水上レーダー
Armament (兵装):VLS(垂直発射システム):非搭載(セル数:0)
6x HU-606 533mm魚雷発射管(艦首上部に配置、89式魚雷・18式魚雷、および潜水艦発射型ハープーン対艦ミサイルを発射可能)
Aircraft Carried (艦載機)、
Carrying capacity(積載能力):
ヘリコプター運用能力および飛行甲板などは非装備
車両・貨物運搬能力:非装備(純粋な水中戦闘艦艇であるため、自艦用の作戦用資機材・魚雷等以外の車両や貨物の運搬能力は持たない)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Kaijō Jieitai (海上自衛隊 / Japan Maritime Self-Defense Force) – http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/ss/soryuu/501.html, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=59351247

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