M10 Booker

M10 Booker

概要と開発の背景

M10 Bookerは、2020年代初頭にアメリカ合衆国のGeneral Dynamics Land Systems(GDLS)が開発したアメリカ陸軍向けの装軌式装甲戦闘車両である。1990年代にM551シェリダン空挺戦車が退役して以降、アメリカ陸軍の歩兵旅団戦闘団(IBCT)においては、強力な直射火力で味方歩兵を直接支援する軽量な装軌車両が長年にわたり不在となっていた。重厚な主力戦車であるM1エイブラムスは70トンを超える重量ゆえに、C-17等の輸送機による機動展開や橋梁重量制限のある地域への迅速な投入が困難であった。歩兵部隊が敵の強固な陣地、コンクリート製バンカー、軽装甲車両と遭遇した際、即座に直接照準で撃破できる自走火器の配備が切望された。これに応えるため、アメリカ陸軍は「機動防護火力(MPF: Mobile Protected Firepower)」計画を発足させ、競合試作を経て2022年にGDLS社の提案モデルを採用し、2023年に第二次世界大戦およびイラク戦争の功労者に因んで「M10 Booker」と正式命名された。

構造と技術的特徴

構造面で特筆すべき点は、GDLS社が開発した「Griffin II」をベースとし、ASCOD歩兵戦闘車のシャーシ技術とM1A2エイブラムス主力戦車の最新射撃統制システムを融合させた点にある。主砲には手動装填式の105mmライフル砲M35を採用しており、軽量でありながら各種榴弾や装甲貫通弾を高精度で射撃することが可能である。砲塔部にはM1A2 SEPv3と同等規格の車長用独立熱線映像装置(CITV)や第3世代FLIR(前方向け赤外線照射装置)、火器管制コンピュータが組み込まれており、暗夜や悪天候下でも高い初弾命中精度を誇る。車体重量は約38〜42トン級に抑えられており、C-17大型輸送機1機につき2両を搭載して空中展開できる機動性を備える。エンジンにはフロントマウント(車体前部配置)方式のディーゼルエンジンが採用され、後部に乗員や資材の乗降用ハッチを配置する構造となっている。装甲面にはモジュール式複合装甲が施され、敵の機関砲弾や砲弾の破片、簡易爆発装置(IED)の脅威から乗員を保護する能力を維持している。

運用実績と評価

2023年の正式命名と制式採用決定以降、アメリカ陸軍への初期導入および部隊運用試験が開始され、2024年より第82空挺師団をはじめとする主力歩兵旅団戦闘団(IBCT)への本格的な配備計画が進められた。実戦および部隊演習での評価においては、主力戦車よりも軽量で機動性に優れながら、歩兵部隊と足並みを揃えて迅速に強固な目標を破壊できる火力が極めて高く評価された。従来のM1エイブラムスでは進入困難であった軟弱地盤や小規模な橋梁の通行が可能となったことで、歩兵部隊の作戦領域と戦闘持続能力が著しく拡張された。アメリカ陸軍公式には「軽戦車」ではなく「装甲戦闘車両(Combat Vehicle)」として位置づけられているものの、実質的に半世紀ぶりとなる陸軍への新世代軽戦車級火器の導入として大きな注目を集めている。今後は数百両規模の調達が予定されており、遠征先での歩兵直接支援を担う中核火器として確固たる立ち位置を築きつつある。

Official Name (正式名称)M10 Booker
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)General Dynamics Land Systems
Designed (設計年)2018年に始まったアメリカ陸軍のMobile Protected Firepower計画の一環として設計が開始され、2018~2020年に試作車が開発
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍
2024年4月より、完成したLRIP車両が順次アメリカ陸軍(ノースカロライナ州フォートリバティの第82空挺師団等)へ引き渡され、運用試験・評価(IOT&E)および部隊の戦術決定・乗員訓練用として実戦運用を見据えたテストに投入されている。
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)4名
Combat Weight (戦闘重量)約38 – 42t
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)L: 7.6m (hull) / W: 3.4m / H: 2.8m
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)Modular ballistic protection, lightweight composite(モジュール式防弾装甲、軽量複合装甲)
Main Armament (主武装)1105mm XM35 Rifled Gun
Secondary Armament (副武装)1x .50 cal M2HB, 1x 7.62mm M240 MG
Engine (エンジン出力 hp/kW)MTU Diesel (800 hp)
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)64 km/h (Road)
Operational Range (航続距離)305 km

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By United States Army – https://www.army.mil/article/267580/army_names_its_newest_combat_vehicle_after_wwii_and_operation_iraqi_freedom_soldiers, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=133198455

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