
概要と開発の背景
Centurion C-RAM(Centurion Counter-Rocket, Artillery, and Mortar)は、2000年代初頭(2004年)にアメリカのRaytheon Technologies(現 RTX)を中心に、Northrop GrummanやGeneral Dynamicsなどによって開発され、アメリカ陸軍へ導入された陸上設置型の近接防空・基地防衛火器システムである。正式名称はLand-Based Phalanx Weapon System(LPWS)とも称される。開発の背景には、2000年代初頭のイラク戦争やアフガニスタン紛争において、米軍および同盟軍の前線作戦基地(FOB)や首都バグダッドのグリーンゾーンが、非対称戦による無誘導ロケット弾や迫撃砲弾の断続的な奇襲攻撃に晒された経緯がある。従来の野戦防空装備では、短時間で飛来する不規則かつ小口径な飛翔体を即座に探知し迎撃することが困難であった。これらを解決し、拠点施設の防護と要員の安全を確保するため、アメリカ海軍の艦艇用近接防御システム(CIWS)であるPhalanx Block 1Bを陸上移動式トレーラーへ移植・統合した即応型近接防空アセットとして開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、35トン級の大型移動式トレーラー車体上に、6砲身の20mm M61A1ガトリング砲、捜索・追尾用Kuバンドドップラーレーダー、およびFLIR(前照型赤外線照準)光学センサーを一体化した単一防空モジュールを搭載している点にある。作動方式には、毎分約4,500発の超高射撃速度を活かした完全自動追尾・火器統制メカニズムが採用されている。自軍基地や周辺市街地への弾丸落下による副次被害を最小限に防ぐため、使用弾薬にはGeneral Dynamics社製の20mm M940 MPT-SD(またはHEIT-SD)自滅信管付き榴弾が標準採用された。この特殊弾薬は、飛行距離約2,000mから2,300mに達すると自動的に空中で自己破砕する設計となっており、地上における不必要な被害を防ぎながら空中目標を無効化する極めて高い安全性を備える。独立型ディーゼル発電機と水冷装置を内包し、AN/TPQ-53やAN/MPQ-64 Sentinelなどの対砲兵・対空レーダーおよびFAADC2ネットワークと連接して全自動で同時目標に対処する。
運用実績と評価
2005年のイラク実戦投入以降、アメリカ陸軍の防空砲兵部隊をはじめ、イギリス軍やオーストラリア軍などの同盟国軍で広く制式採用・運用された。イラクのグリーンゾーンや各地の前線作戦基地(FOB)、アフガニスタンの拠点、カブール国際空港などの防衛任務へ配備された。迫撃砲弾や無誘導ロケット弾の飛来に対し70%から80%という高い迎撃成功率を記録し、数百件におよぶ着弾攻撃を未然に阻止した実績が具体的に評価されている。さらに、早期探知センサー群とのデータ連動により、迎撃と同時に基地全域へサイレンを発令する「Sense and Warn(探知・警告)」機能を提供し、防空壕への退避行動を支援した。現在では従来のロケット弾や迫撃砲弾のみならず、小型の自爆型無人航空機(ドローン)に対しても高い対処能力が実証されている。現代のアメリカ陸軍における重要拠点防衛の中核アセットとして現役運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | Centurion C-RAM (Phalanx CIWS) |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Raytheon Company(現 RTX Corporation) / 車台・移動トレーラー供給:Oshkosh Corporation |
| Designed (設計年) | イラク戦争における前線基地へのロケット弾や迫撃砲による被害急増に対応する米陸軍の緊急要件に基づき2004年に設計開発が開始され、同年末までに実弾迎撃テストを完了したのち、2005年7月にアメリカ陸軍において公式に初期運用能力(IOC)を達成したことで本格的な部隊配備と実戦運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(防空砲兵(ADA)コミュニティ所属の「第5防空砲兵連隊第5大隊(5-5th ADAR)」、「第44防空砲兵連隊第2大隊(2-44th ADAR)」、およびオハイオ陸軍ナショナルガード(州兵)所属の「第174防空砲兵連隊第1大隊(1-174th ADAR)」などの各C-RAM迎撃中隊・任務部隊)にて、前線作戦基地(FOB)および重要拠点の対ロケット・迫撃砲・ドローン(CUAS)防衛の主軸として最大規模で現役運用中 イギリス:イギリス陸軍(王立砲兵隊所属の近距離・地上ベース防空(GBAD)専門部隊である「第16王立砲兵連隊(16 Regiment Royal Artillery)」)にて、イラク・バスラ等での前線部隊防護緊急要件に伴い導入された陸上型ファランクスシステム一式を、自国の防空・拠点ロジスティクス保護アセットとして現役運用中 オーストラリア:オーストラリア陸軍(王立オーストラリア砲兵隊所属の地上ベース防空・防空統制専門部隊である「第16空中陸上連隊(16th Air Land Regiment)」)にて、アフガニスタン派遣時の「タリンコット前線基地(FOB Tarin Kowt)」防衛を契機に米国から公式取得したCenturion C-RAMシステムを、自国地上軍の重要拠点防空火力として現役運用中 |
| Type (種類) | ガトリング砲(6銃身ロータリーカノン) |
| Caliber / Barrel Length (口径/砲身長・口径長) | 20 mm / 砲身長:1,981 mm(99口径・L/99 ※ベースとなったファランクスBlock 1B仕様の長砲身M61A1ガトリング砲アセンブリ構造基準) |
| Action / Mechanism (作動方式) | 外部動力式(モーター・油圧駆動式 ※外部電源および油圧駆動モーターによって6本の砲身ブロックを強制回転させ、連続装填・自動連射を行う外部動力チェーン駆動形式である) |
| Feed System (給弾方式) | 無リンク給弾(Linkless-fed ※弾薬を金属製リンクで繋がずに、弾薬ドラムからコンベア状のシュートを通じて砲室へ高速で連続送り込み、発射後の空薬莢もドラムへ回収する1,550発収容の循環式クローズドループ給弾システムを採用、シングルフィード仕様である) |
| Total Weight (総重量) | 機間砲・システム単体重量(マウント・レーダー含む):約 5,620 kg / 戦闘時総重量(35tクラスの移動式セミトレーラー車台、統合発電機、冷却ユニット、および弾薬フル装填状態を含む):24,000 kg |
| Dimensions (寸法) | 全長(システム単体):約 3,000 mm / システムサイズ(オシュコシュ製HEMTT大型重トラックと牽引トレーラーを直結した巡航輸送展開状態):W: 3,650 mm / L: 19,810 mm / D: 4,260 mm(※レーダードーム最頂部までの全高) |
| Rate of Fire (発射速度) | 最大:毎分 4,500発(固定バーストレート ※短時間に飛来するロケット弾や迫撃砲弾を濃密な弾幕で粉砕するため、毎秒75発の超高速連射に固定されており、選択可能な可変レートの仕様はない) |
| Effective Range / Max Range (有効射程/最大射程) | 有効射程:1,500 m 〜 2,000 m(飛来する対空ターゲットへの確実な迎撃・破壊限界) / 最大射程:2,300 m(※対空・対地ともに、使用弾薬に組み込まれた自爆信管が作動する物理的な限界到達距離) |
| Ammunition & Loading (使用弾薬/装填方式) | 20x102mm M940「自爆機能付多目的曳光榴弾(MPT-SD:Multi-Purpose Tracer, Self-Destruct / HEIT-SD)」 / 完全弾薬筒式(固定弾薬筒式) / 自動連続装填(フルオート ※Kuバンド高精度索敵・追尾レーダーおよびFLIR熱線センサーが弾道を完全自動計算し、人間のトリガー操作なしに自動装填・自動連射迎撃を行う) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
PR:関連商品
画像の引用元
- By U.S. Army photo by Staff Sgt. Bruce Daddis – This image was released by the United States Army with the ID 240922-A-RX235-1102 (next).This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing.العربية ∙ বাংলা ∙Bahaso Jambi ∙Deutsch ∙ Deutsch (Sie-Form) ∙ English ∙ español ∙ euskara ∙ فارسی ∙ français ∙ italiano ∙ 日本語 ∙ 한국어 ∙ македонски ∙ മലയാളം ∙ Plattdüütsch ∙ Nederlands ∙ polski ∙ پښتو ∙ português ∙ русский ∙ slovenščina ∙ svenska ∙ Türkçe ∙ українська ∙ 简体中文 ∙ 繁體中文 ∙ +/−, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=174843825
