





概要と開発の背景
はやぶさ型ミサイル艇は、1990年代末から2000年代初頭にかけて日本の防衛庁(現・防衛省)および三菱重工業株式会社(下関造船所)によって開発・建造され、2002年(平成14年)より海上自衛隊へ導入された高速ミサイル艇(PG)である。海上自衛隊では、前級である「ミサイル艇1号型(02PG)」において小型の水中翼船型(基準排水量50トン)を採用・運用していた。しかし、1号型は荒天時の日本近海における耐航性や航続距離、単独での行動能力に限界が指摘されていた。さらに1999年の能登半島沖不審船事件の発生を受け、高速で逃走する不審船や工作船への追撃・停船措置、臨検(立ち入り検査)能力の強化、赤外線暗視装置や防弾構造の追加、複合型作業艇の搭載など、多角的な対不審船対処能力が急務となった。これを受け、水中翼型から単胴滑走型船体へと変更し、船体を大型化・高機能化させた次世代小型沿岸警備アセット(計画時名称: 11PG)として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、前級1号型(50トン)から200トンへと船体を4倍に拡大し、耐候性に優れたアルミニウム合金(軽合金)製の単胴滑走型船体を導入した点にある。推進機関にはGeneral Electric社が開発し株式会社IHIがライセンス生産する「LM500-G07」ガスタービンエンジン3基(出力16,200馬力)と、三菱重工業製「MWJ-900A」ウォータージェットポンプ3基を搭載している。これにより、海上自衛隊初となる操舵後進(逆噴射・その場回頭)機構を備え、最大速力44ノット(約81km/h)以上の卓越した高速性と小回り性能を実現した。また、自衛艦として初めて本格的なステルス設計が導入されており、Oto Melara社(現 Leonardo S.p.A.)製62口径76mm単装速射砲の傾斜シールド化や上部構造物の傾斜配置が採用されている。さらに、艦橋部への防弾板設置や不審船対処用の6.3m複合型作業艇、赤外線暗視装置(OAX-2)の完備など、実戦的な防御・警備機構が組み込まれている。
運用実績と評価
2002年3月に1番艇「はやぶさ(PG-824)」および2番艇「わかたか(PG-825)」が就役して以降、2004年までに同型艦計6隻(はやぶさ、わかたか、おおたか、くまたか、うみたか、しらたか)が順次制式配備され、舞鶴、大湊、佐世保などの地方警備部隊へ配置された。制式採用以降、日本海や東シナ海といった重要海峡・沿岸海域での常時警戒監視任務や、海上保安庁との共同不審船対処訓練(追尾・停船措置等)へ継続的に投入された。実際の部隊運用においては、時速80kmを超える高速性とウォータージェットによる急停止・旋回性能、さらに76mm速射砲による精密な長距離射撃能力が高く評価された。前級1号型で問題視された波浪下の耐航性問題が劇的に改善し、長年にわたり日本の沿岸防備網を支える高速スクランブル部隊として第一線で運用された。近年では「さくら型哨戒艦」への移行に伴う順次退役が計画されているものの、日本の沿岸警備・機動対処能力を高めた実績は極めて高く評価されている。
| Official Name (正式名称) | はやぶさ型ミサイル艇 / Hayabusa-class patrol boat |
| Country of Origin (開発国) | 日本 |
| Manufacturer (製造メーカー) | 三菱重工業 下関造船所 |
| Designed (設計年) | 平成11年度(1999年度)計画において基本設計および予算化が行われ、2000年に1番艇の建造が開始された後、2002年3月25日に1番艇「はやぶさ」と2番艇「わかたか」が同日付で竣工・就役したことで本格的な運用が開始された |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本: 海上自衛隊(水上艦隊 哨戒防備群 第3哨戒防備隊 佐世保基地所属:おおたか(PG-826)、しらたか(PG-829) / 第4哨戒防備隊 舞鶴基地所属:はやぶさ(PG-824)、うみたか(PG-828) / 第5哨戒防備隊 余市基地所属:わかたか(PG-825)、くまたか(PG-827)) |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 基準排水量:200 t / 満載排水量:約 240 t |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | 全長:50.1 m × 最大幅:8.4 m × 喫水:1.7 m(深さ:4.2 m) |
| Propulsion (機関): | ガスタービン方式、3x 石川島播磨重工業(現・IHI)LM500-G07ガスタービンエンジン、3軸推進(ウォータージェット推進器×3基)、総出力:16,200 hp |
| Speed (速力): | 44 kt(約 81 km/h) |
| Range (航続距離): | 非公開(平時における我が国周辺海域の常続的な警戒監視任務に対応する優れた巡航・持続能力を有する) |
| Complement (乗員数): | 21 名 |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | OPS-18-3 対水上捜索レーダー OPS-20 航海用レーダー OYQ-8B 統合作戦情報処理装置(リンク11対応) 81式射撃指揮装置2型31(FCS-2-31C) |
| Armament (兵装): | 艦砲:1x 62口径76mm単装速射砲(ステルス型シールド仕様) 2x 90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)連装発射筒、2x 12.7mm重機関銃M2(銃架のみ装備、艇により適宜搭載) |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | ヘリコプター運用能力および飛行甲板などは非装備 車両・貨物運搬能力:非装備(自艇用の資機材、臨検等に使用する複合成形作業艇以外の車両や貨物の運搬能力は持たない) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
PR:関連商品
画像の引用元
- By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=61717657
- By 防衛省・自衛隊ホームページ, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=104676692
- By 防衛省・自衛隊ホームページ, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=104673528
- By 防衛省・自衛隊ホームページ, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=104671233
- By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=43125415
- By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=42888582
